1. トップ
  2. 「未だに覚えてる」「忘れられない」放送から12年経ても“鮮烈に蘇る過激シーン”…当時“15歳”の演技派女優が魅せた名ドラマ

「未だに覚えてる」「忘れられない」放送から12年経ても“鮮烈に蘇る過激シーン”…当時“15歳”の演技派女優が魅せた名ドラマ

  • 2025.8.13

映画やドラマのなかには、観る人を恐怖の世界へ引き込む作品があります。今回は、そんな中から“じわじわ怖いヒューマンホラー作品”を5本セレクトしました。本記事ではその第4弾として、ドラマ『夜行観覧車』(TBS系)をご紹介します。憧れの高級住宅街で暮らし始めた平凡な家族に起きた異変。近所のセレブ一家で発生した殺人事件が、隠されていた家庭の闇をあぶり出すことに――。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

undefined
サントリー翠のCM発表会に参加した杉咲花(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『夜行観覧車』(TBS系)
  • 放送期間:2013年1月18日 〜 2013年3月22日
  • 出演: 鈴木京香(遠藤真弓 役)

無理をして憧れの高級住宅街・ひばりヶ丘に家を建てた遠藤真弓(鈴木京香)は、向かいに住む開業医のセレブ妻・高橋淳子(石田ゆり子)と親しくなっていきます。完璧に見える彼女の家庭に羨望を抱きながら、真弓は不安定な思春期の娘・彩花(杉咲花)と向き合い、慣れない近所づきあいに葛藤しながらも、日々を懸命に過ごしていました。

そんなある日、淳子の夫・弘幸(田中哲司)が何者かに殺害される事件が発生。その後、忽然と姿を消した妻・淳子と次男の慎司(中川大志)、ささやかれる噂――。警察は顔見知りの犯行と見て捜査を進めるなか、想像もしなかった人物に疑いの目が向けられていきます。

地上波ドラマ化は初!“イヤミスの女王”が描いた家族のサスペンス

2013年、TBS系「金曜ドラマ」枠で放送された連続ドラマ『夜行観覧車』は、“イヤミス(読後に嫌な気分になるミステリー)”の女王と称される湊かなえさんの同名小説を原作としたサスペンス作品です。湊さんにとっては、映画『告白』での鮮烈なデビュー以降、初めて“家族”をテーマに描いた意欲作であり、自身の作品として初めて地上波で連続ドラマ化された作品でもあります。

現在と過去を行き来しながら、事件の真相とともに、登場人物たちの心の闇にも迫っていく――。単なるミステリーにとどまらない、濃密な人間ドラマとして高く評価されました。

“理想の街”に住む“完璧な家族”が壊れるとき

本作は高級住宅街・ひばりヶ丘を舞台に、遠藤家、高橋家、小島家の3つの家庭が抱える矛盾や葛藤が描かれています。

真弓を中心とする遠藤家は、念願の一戸建てを建ててこの街に越してきた新参者。理想の暮らしに胸を躍らせていたものの、婦人会との付き合いで家計が圧迫され、次第に家族関係にもひずみが生じていきます。

一方、向かいの豪邸に暮らす高橋家は、開業医の弘幸を中心としたエリート一家。妻・淳子との間に次男・慎司、前妻との子に長男・良幸(安田章大)、長女・比奈子(宮﨑香蓮)がいます。表向きは完璧でも、淳子の中には前妻への対抗心と実子への過剰な期待があり、やがてひとつの事件をきっかけに、その完璧に見えた理想の家庭像は、もろくも崩れ去っていきます。

小島家では、自治会婦人部の部長・小島さと子(夏木マリ)が、新参者の真弓に嫌がらせを繰り返し、近隣住民を監視しています。自らを“街の品位の守り手”と信じて疑わず、事件当夜の高橋家での言い争いも耳にしていた彼女は、その後の誹謗中傷にも加担します。海外に住む息子とは疎遠になり、連絡も途絶えがち。そんな寂しさを、近隣への過干渉で埋めようとするかのように、地域の静かな支配者として不穏な存在感を放っています。

この3つの家庭が複雑に絡み合いながら展開するドラマ『夜行観覧車』。それぞれの家に“正しさ”があり、“ゆがみ”がある。誰もが「家族を守りたい」と願いながらも、現実は思い通りにならず、その思いは次第に空回りしていきます。

SNSでも、「ひばりヶ丘の人たちの選民思想がきつすぎる」「事件の真相より、そこに至る過程が全部おもしろい」「歪んだ空気感のドラマ」「最初はただのセレブドラマかと思ったら、気づけば湊ワールドに引き込まれていた」といった声が相次ぎ、緻密な脚本とリアルな人間描写に共感が集まりました。

家庭という密室に潜む、孤独と狂気

本作でとくに印象的なのが、鈴木京香さんの“怪演”が光る、母・真弓と娘・彩花の激しいバトルです。

ひばりヶ丘という土地に執着し、理想の家庭を築こうとする母と、思春期の痛みを抱えて感情を持て余す娘。2人のぶつかり合いは、家族のすれ違いを象徴する見どころのひとつです。彩花は中学受験に失敗し、学校ではいじめに遭い、家庭で癇癪を繰り返すようになります。母親に怒りをぶつける日々が続く中、真弓は高級住宅街に響く娘の叫び声を恥じ、次第に追い詰められていきます。

そんな中で描かれたのが、第7話の衝撃的なシーン。暴れる彩花を押さえつけ、真弓がその口に唐揚げやレタスを無理やり詰め込む場面です。当時15歳で彩花役を見事に演じきった杉咲花さんは、公式HPのインタビュー内で印象に残っているシーンについて、次のように語っています。

原作を読んだときに「このシーンはドラマに入ってくるのかな?」って思っていたのですが、台本を読んだらそのシーンがあったので、本当にやるんだとわかって不安でした。本番前もすごく緊張していましたが、撮影が終わったときはほっとして、京香さんとも笑い合ったりして、振り返ると楽しんでお芝居ができたと思います。全力で演技をさせていただいたので、原作を読まれた方にも満足いただけるシーンになったのではないかと思います
出典:TBSドラマ『夜行観覧車』公式HPインタビュー(杉咲花さん)

SNSでは、「唐揚げ回はすごい」「未だに覚えてる」「忘れられない」鳥肌が立った」「登場人物全員うまいけど、鈴木京香さんと杉咲花ちゃんは別格」といった声が相次ぎ、2人の迫真の演技に衝撃を受けた視聴者が続出しました。

一方で、「母親は余計な一言が多すぎ」といった厳しい声も。真弓のプライドや言葉の選び方が、彩花をさらに追い詰めたと感じた視聴者も少なくありません。

この親子の対立は、「子どもが求める親でいることの難しさ」を描いたリアルなシーンとして、多くの共感と議論を呼びました。彩花の叫びは、「家族とは何か」を問いかけるように、心に響きます。何気ない日常に潜む“狂気”と、すれ違う親子の痛みを描いたドラマ『夜行観覧車』は、“じわじわ怖いヒューマンホラー”の名作です。


※記事は執筆時点の情報です



客「それからは行ってません」半年前、カツ丼屋の厨房で目撃した"信じられない光景"に絶句…
客「それからは行ってません」半年前、カツ丼屋の厨房で目撃した"信じられない光景"に絶句…