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「今じゃ作れないドラマ」「よく放送しようと思ったな…」“挑戦的な描写”に視聴者騒然…だけど「とにかく好き」釘付け必至の衝撃作

  • 2025.8.12

映画やドラマのなかには、観る人を恐怖の世界へ引き込む作品があります。今回は、そんな中から“じわじわ怖いヒューマンホラー作品”を5本セレクトしました。本記事ではその第3弾として、ドラマ『ストーカー 逃げきれぬ愛』(日本テレビ系)をご紹介します。ささやかな親切が招いた、逃れられない地獄…。ストーカー”という言葉がまだ曖昧だった時代に放送された、サイコサスペンスです――。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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映画「コトバのない冬」公式舞台あいさつに出席した高岡早紀(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『ストーカー 逃げきれぬ愛』(日本テレビ系)
  • 放送期間:1997年1月6日 - 1997年3月10日
  • 出演: 高岡早紀(岸本海 役)

主人公の海(高岡早紀)は、ゴルフ練習場のショップで働きながら、レッスンプロ・田所(神田正輝)との不倫関係を続けていました。

クリスマスイブの夜、田所から花束とイヤリングを受け取った帰り道、彼が妻のために別の大きな花束を購入している場面を目撃してしまい、深く傷つきます。気持ちが沈んだまま歩く海の前に現れたのは、歩道に散らばった花びらを必死に拾い集める眼科医・三枝(渡部篤郎)の姿。海は思わず、田所からの花束を差し出し、「私ので良かったら」と声をかけます。そして「メリークリスマス」と告げ、その場を後にしました。

このささやかな親切が、やがて親友や妹、大切な人たちを巻き込み、海自身を恐怖の渦へと引きずり込むことになるのでした――。

二人のキャリアに訪れた大きな転機

このドラマで主人公・岸本海を演じたのは、高岡早紀さんです。本作は彼女にとって連続ドラマ初主演作であり、モデルから女優への本格的な転機となりました。

一方、ストーカーとなる眼科医・三枝辰也を怪演したのは、渡部篤郎さんです。本作で常軌を逸した役柄を演じたことで、俳優としての転機を迎えます。不気味な笑顔と粘着質な言動が視聴者に強烈な印象を与え、人気俳優としての道を歩み始めることに――。

この作品を通して、高岡さんは女優としての一歩を踏み出し、渡部さんも個性派俳優として注目を集める存在となりました。

“痴情のもつれ”と片づけられていた“名前のない犯罪”に光をあてたドラマ

1990年代後半、日本では「ストーカー」という言葉がようやく社会に浸透し始めた時期でした。

それ以前から“つきまとい”や執拗な嫌がらせは存在していたものの、男女間の痴情のもつれとして片付けられ、深刻な問題として扱われることはほとんどありませんでした。90年代前半には「ストーカー」という言葉すらなく、被害に遭っても警察は「民事不介入」として動かないケースが多かったのです。実際、ストーカー規制法が施行されるのは、このドラマの放送から3年後の2000年になってからです。

そんな社会状況の中で、1997年1月にドラマ『ストーカー 逃げきれぬ愛』(日本テレビ系)とドラマ『ストーカー・誘う女』(TBS系)が同時期に放送されます。テレビドラマがいち早く「ストーカー」という新しい社会問題に切り込み、視聴者にその恐怖を突きつけたのです。

特にドラマ『ストーカー 逃げきれぬ愛』は、当時まだ定まっていなかった“ストーカー像”を分かりやすく描き出し、加害者と被害者の関係性や執拗な追跡行為の恐ろしさを生々しく映し出しました。渡部篤郎さん演じるストーカーの常軌を逸した行動、そして高岡早紀さん演じる被害者が追い詰められていく過程は、多くの視聴者に衝撃を与え、社会にストーカーの危険性を認識させる大きなきっかけとなりました。

このドラマは「ストーカー」という言葉と概念を日本社会に広め、その危険性を認識させる一助となったと言われています。

視聴者を凍りつかせた侵入シーン

本作の最大の見どころは、渡部篤郎さん演じる三枝の異常なストーカー行為を描いた恐怖シーンの数々です。

なかでも、三枝が海の部屋に不法侵入するシーンはトラウマ級。ブラシについた髪の毛を手に取り、舐める。化粧品を勝手に使い、部屋の中を物色する。まさにやりたい放題です。そして極めつけは、浴槽に湯を張り、自ら湯船に浸かるという異様な行動。さらに、海が使用するボディスポンジに自分の髪の毛を絡め、帰宅した海に“置き土産”を残します。

位置が変わったスポンジ。そして、そこに付着した見知らぬ髪の毛――。異変に気づいた瞬間の海の恐怖は計り知れません…。

このほかにも、生々しいストーキング行為が次々と描かれた本作。不気味な演出と、渡部篤郎さんの迫真の演技が相まって、ただのサスペンスでは終わらない“ヒューマンホラー”として強く印象に残る作品となりました。SNSでも「今じゃ作れないドラマ」「よく放送しようと思ったな…」と衝撃を受ける視聴者が多くみられました。

サイコパスなのに泣ける?“最凶の男”が視聴者の心をつかんだ理由

本作で渡部篤郎さんが演じたストーカー・三枝辰也は、まさに「最凶」と呼ぶにふさわしい存在でした。無言電話に始まり、盗聴、ゴミあさり、不法侵入、そして拉致――。どの行為も常軌を逸しており、SNSには「最凶サイコパス過ぎて感動すら覚える「衝撃の連続」「とにかく好き」など、あまりの怪演ぶりに称賛する声が数多く寄せられました。

その異常性ゆえに強い恐怖を与える三枝ですが、物語はそこで終わりません。彼の行動の裏には、幼少期から続く毒親による影響が影を落としていたのです。本当はただ「愛されたい」と願っていただけなのではないか――。そう感じさせる描写が、視聴者の心に複雑な感情を呼び起こしました。

SNSでは「純粋に愛してほしかったんだろうな」「三枝さん…生きて幸せになってくれ…って思った」「サイコで怖くて最低な奴なのに、飛び降りる前の『ありがとう』で泣いた」などの声が。

渡部篤郎さんの怪演によって生まれた三枝という人物は、ただの悪役ではありませんでした。人間が内に抱える狂気や異常性、そして脆さや孤独を映し出す“鏡”のような存在として、多くの視聴者の記憶に深く刻まれています。まさに、“じわじわ怖いヒューマンホラー作品”として語り継がれる名作ドラマです。


※記事は執筆時点の情報です