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「映画を観て初めて吐いた」“容赦ない過激描写”に視聴者騒然…だけど「歴史に残る名作」“絶賛の嵐”を巻き起こした衝撃の一作

  • 2025.8.27

いつでもどこでも好きな時に映画を楽しめる、サブスクリプションサービス。しかし、その手軽さの一方で、権利関係の複雑さや制作者の意向など、様々な理由からラインナップに載らない名作映画も数多く存在します。今回は、そんな“サブスク配信されない”名作映画5作品をセレクトしました。

本記事では第5弾として、1989年公開の映画『その男、凶暴につき』をご紹介します。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

“サブスク配信されない”名作映画『その男、凶暴につき』

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遠藤憲一(俳優)(C)SANKEI
  • 作品名(配給):映画『その男、凶暴につき』(松竹富士)
  • 公開日:1989年8月12日

あらすじ

一匹狼の刑事・我妻諒介(ビートたけし)。「暴力には暴力で」を信条とし、容疑者への暴行も辞さない凶暴な捜査スタイルから、署内では異端視されていました。ある日、麻薬売人・柄本(遠藤憲一)が惨殺される事件を担当した諒介は、捜査線上に浮かんだ青年実業家・仁藤(岸部一徳)と、彼が雇う冷徹な殺し屋・清弘(白竜)の存在にたどり着きます。

しかし、事件の真相に近づくにつれ、衝撃の事実が判明。麻薬を横流ししていたのは、諒介の親友で防犯課係長の岩城(平泉成)だったのです。その岩城も口封じのため、自殺に見せかけて無残に殺されてしまいます。親友を奪われた諒介の怒りは限界を超え、彼の内に眠る狂気と暴力性が解き放たれていくのでした―。

映画『その男、凶暴につき』の見どころ※ネタバレあり

映画『その男、凶暴につき』では、極めて直接的で容赦のない暴力描写が映し出されます。男同士での殺し合いもあれば、女性や社会的弱者に対してもその暴力性は躊躇なく向けられているのが本作の特徴です。特に、無関係の女性が銃の流れ弾で倒れるシーンは、多くの観客にトラウマを与えたことでしょう。その冷たく残酷で理不尽な暴力テーマに「映画を観て初めて吐いた」というコメントも寄せられていたようです。

一方で、セリフを極限まで削ぎ落とし、表情を変えずに突然爆発する暴力描写は、従来の日本映画にはなかった生々しさと緊張感を生み出しました。また、静かな空気から一転して、乾いた銃声や暴力が突然訪れる静と動のコントラストは、観客の予想を裏切り、心に深いインパクトを残す圧巻の構成です。こだわりが詰まったカメラワークや演出、脚本などに対し、SNSでは「ラストまで一切言葉を言わなくなる演出が凄い」「何百万人と言ってきたと思うけど、これは傑作」「歴史に残る名作」と絶賛のコメントで溢れていました。

まさかの監督交代→“世界のキタノ”へ…衝撃の制作秘話

映画『その男、凶暴につき』は当初、映画『バトル・ロワイヤル』で知られる故・深作欣二氏が監督、ビートたけし氏が主演を務める予定だったそうです。しかし、たけし氏と撮影スケジュールの都合がつかなかったことなどから深作氏が監督を降板することに。本作の企画が白紙に戻りかける危機的状況のなか、たけし氏が監督兼主演を務めるというかたちで制作が始まりました。その後の制作について、本作で制作を務めた奥山和由氏が“京都国際映画祭2019”で次のように明かしました。

セリフがドンドン消え、キャストは全員入れ替え。でも、スタッフは一切いじらなかった
出典:京都国際映画祭2019 2019年10月20日開催

北野武監督は、元々あった脚本のセリフを次々と削除し、キャストも自身のイメージに合わせて一新するという大改革を断行しました。そんななか撮影や照明といった技術スタッフは変更せず、作品のクオリティを担保するという冷静な判断で作品を作り上げた北野監督。賭けとも言える北野監督のデビューは、後に“世界のキタノ”と呼ばれる天才監督の才能を爆発させることにつながったのです。

そんな本作ですが、現在は配信サイトでの配信はありません。DVDやBlu-rayでの視聴は可能なので、本作を観たことがない方、また本記事を読んで興味を持っていただけた方は、“映画界を震撼させた衝撃のデビュー作”をぜひ目撃してみてください!


ライター:天木拓海
映画・アニメ・ドラマなど、エンタメ作品を観ることを趣味としているライター。エンタメ関連のテーマを中心に、作品考察記事/コラム記事などを手掛ける。

※記事は執筆時点の情報です