中村ゆり「肉体的にも精神的にも支えてくれた」“新月曜ドラマ”で紡ぐ大人のラブストーリー　主演・草彅剛に対する“想い”

10月から放送が始まるカンテレ・フジテレビ系・月10ドラマ『終幕のロンド—もう二度と、会えないあなたに—』。草彅剛が、2年半ぶりの連続ドラマ主演、カンテレの連続ドラマとしては、通算9作目の主演となる。

今回、中村ゆりは草彅が演じる鳥飼樹とある出来事をきっかけに出会い、距離を縮めるなかで次第に惹かれていく大企業の次期社長の妻であり、絵本作家でもある御厨真琴を演じる。

TRILLでは、草彅と大人のラブストーリーを紡いでいく中村にインタビューを実施。作品の印象と役作りについて伺った。

自分軸で生きられない役柄に向き合う役作り

――脚本を読まれたときの感想と作品への印象を教えてください。

中村ゆり（以下、中村） 登場人物に寄り添った繊細な脚本だなと感じました。草彅さんが演じる鳥飼樹や私が演じる御厨真琴だけでなく、遺品整理業者で働く人や遺品整理を依頼する人のそれぞれの人生が描かれています。改めて人はいくつになってもいろいろな経験から学び、軌道修正しながら自分を見つめて生きていくんだなとしみじみと感じさせられました。本当に細やかな人間の機微が描かれた作品になっていると思います。

――中村さんが演じる御厨真琴はどのような人物だと思いますか？

中村 真琴は、大企業の次期社長の妻でありながら価値観の違いもあり、家庭環境になかなかなじめず戸惑っている女性です。周りから見ると幸せそうに見えますが、自分にとってマイナスな部分を抱えながらも、幸せになりたいと一生懸命生きています。一方で、現実でいっぱいいっぱいになっていて、幸せを他人任せにするような他責になってしまう人でもあると感じています。自分軸の幸せを見つけるのが少し下手な不器用な人なんですよね。

絵本作家という自分が望む仕事でのデビューを叶えていても、まだどこか他人任せな部分があるというか。そんな真琴が樹さんと出会って、自分にとっての本当の幸せとは何なのかということに向き合って、成長していく人物だと思っています。

――役作りで工夫されたところはありますか？

中村 人に流されやすく、周りからの言葉による影響を強く受けてしまう役柄ではあるんですが、真琴には絵本を描くという唯一自分自身が生み出している主張があるんです。真琴にとって絵本を描くということがどれくらい大切で特別なものなのかはきちんと分かるようにしたいと思っています。物語の中でも真琴の感情が動くフックとして説得力があるように見せていきたいということを、監督やプロデューサーと話していました。

作品を通して見えた幸せのシンプルさ

――共演者である草彅剛さんの印象を教えてください。

中村 視聴者の皆さんが感じているような優しく朗らかで包容力のある方だと感じています。私にとっては、学生時代からよく拝見していた大スターですし、共演を前にしてすごく緊張していたんですが、そんな緊張も受け止めてくださる気遣いがあって、勝手ながら人の痛みが分かる方なんだなと感銘を受けていました。役を通してお芝居で対峙しているときも、私が投げかけたアプローチを受けて返してくださったり、恋愛パートで接触があるような場面では物理的にも身体をしっかり受け止めてくださったりと、精神的にも肉体的にも力強く支えてくださっていて感謝しかありません。改めて先輩として尊敬する存在です。

――生と死にまつわる物語ですが、中村さんは生きることと死ぬことをどのように捉えていますか？

中村 死ぬことって皆さん少なからず恐れているものだと思うんですよね。ただ、今回遺品整理業者の仕事を通して、死ぬ時に何が残せたら幸せなんだろうと考えてみると、お金とか物質的な豊かさが残せたら幸せというのはしっくりこなくて。人間って本当はもっと本質的な幸せを求めているのかもしれないと思ったんです。死を意識することは、実は自分にとっての幸せとか、逆に寂しさとか、シンプルで正直な感情を見つめ直すことになるのかもしれないと思いました。

遺品整理って、亡くなった方の言葉なき言葉を聞ける仕事で、言葉で取り繕えないからこそ、人にとっての幸せが見えてくるものなんだなと思います。作品を通じて、そんなことを感じてもらえると嬉しいです。

――作品を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。

中村 『終幕のロンド』は、草彅さんと私が演じさせていただくラブストーリーも描かれるということで、ある程度歳を重ねた大人のやり取りがメインになっていきます。歳を重ねても、人生はいつでもトライ＆エラーの繰り返しなんだと改めて感じてもらえると思います。

恥ずかしい思いもしながら、自分の人生をどうにか良くしたくて、もがきながら進む一生懸命に生きている人たちの人間ドラマになっています。何度失敗しても、頑張って生きていけるんだということを感じ取ってもらえたら嬉しいです。ぜひご覧ください。

中村ゆり
大阪府出身。07年公開の映画「パッチギ！LOVE&PEACE」で多くの映画賞を受賞。
近年の主な出演作に、ドラマ「今夜はコの字で」シリーズ、「さよならのつづき」、「119エマージェンシーコール」。映画「窓辺にて」、「市子」、「鬼平犯科帳 血闘」など。待機作に、ドラマ「匿名の恋人たち」、映画「平場の月」がある。

■ヘアメイク：荒川英亮

■スタイリスト：栗田泰臣

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関西テレビ 『終幕のロンド －もう二度と、会えないあなたに－』 
【放送枠】2025年10月13日スタート 毎週月曜よる10時（カンテレ・フジテレビ系全国ネット）
【出演】 草彅剛 中村ゆり
八木莉可子 塩野瑛久 長井短 小澤竜心 石山順征 永瀬矢紘 ／
要潤 国仲涼子 古川雄大 月城かなと ／ 大島蓉子 小柳ルミ子 村上弘明
中村雅俊 風吹ジュン
【TVerお気に入り登録】終幕のロンド ―もう二度と、会えないあなたに― | TVer
【脚本】 高橋美幸
【音楽】 菅野祐悟
【プロデューサー】 河西秀幸 三方祐人 阿部優香子
【演出】 宝来忠昭 洞功二
【演出・プロデューサー】 三宅喜重
【制作協力】ジニアス
【制作著作】カンテレ

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ライター：古澤椋子
ドラマや映画コラム、インタビュー、イベントレポートなどを執筆するライター。ドラマ・映画・アニメ・漫画とともに育つ。
X（旧Twitter）：@k_ar0202