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マック『ハッピーセット』を粗末に…転売ヤーに待ち受ける「最悪1000万円の代償」 弁護士が“警鐘”

  • 2025.8.17
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

素敵なおもちゃがついてくるマクドナルドのハッピーセット。8月8日からポケモンのおもちゃのハッピーセットが発売され、さらに期間限定でポケモンカードが付いてくるキャンペーンもあり、大きな話題となりました。しかし、その一方で問題も発生しています。

SNS上で「ポケモンカード目当ての転売ヤーが、ハンバーガーやポテトなど食べ物を路上に大量に捨てている」といった趣旨の写真付きの投稿が多数され、「これって違法じゃないの?」「罪に問われるのでは」と話題になりました。

はたして、ファストフードを路上に捨てる行為はどのような罪に問われるのでしょうか?気になる疑問について、弁護士さんに詳しくお話を伺いました。

食べ物を路上に捨てるのは違法?弁護士が詳しく解説

今回は、NTS総合弁護士法人札幌事務所の寺林智栄弁護士に詳しくお話を伺いました。

そもそも捨てる行為自体は違法?

---ファストフード店のテイクアウトなど、食べ物を路上に捨てることは違法ではないのでしょうか?

まず、食べ物を路上に捨てる行為の違法性については、以下のように考えることになります。

(1)軽犯罪法違反の可能性

ファストフード店のテイクアウト品や包装容器などを路上や公園などの公共の場所に捨てた場合、軽犯罪法1条27号(みだりにごみ等を捨てる行為の禁止)に該当する可能性があります。 軽犯罪法違反は、拘留または科料(1万円未満の罰金に相当)に処せられる可能性があります。

(2)廃棄物処理法違反の可能性

家庭ごみや事業ごみを、自治体の定める回収ルート以外に捨てた場合、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)に違反する可能性があります。 特に、食べ残しや包装ごみは「一般廃棄物」に該当し、市区町村のルールに従って処分する必要があります。これに反して投棄すれば、5年以下の懲役または1000万円以下の罰金(法人は3億円以下)という重い罰則もありえます(廃棄物処理法25条)。

大量に捨てるとどうなる?

---今回のように「大量に捨てた」場合だと、どのような扱いになりますか?

「大量に捨てた場合」については、以下のように考えることとなります。

(1)悪質性の評価基準

少量であっても違法となる可能性はありますが、大量の場合は以下の点で悪質性が高いと判断されやすくなります。
ア、環境汚染や悪臭の発生
イ、通行人の安全・衛生への影響
ウ、景観の著しい毀損

これらの事情により、刑事罰の適用や罰金額が重くなる可能性があります。

(2)業務妨害罪の可能性

もし大量の投棄が特定の店舗や施設の前で行われ、その結果として清掃や営業に支障が出た場合、刑法233条の威力業務妨害罪(3年以下の懲役または50万円以下の罰金)が成立する可能性もあります。

(3)民事責任(損害賠償)

違法な投棄により、自治体や土地所有者、店舗が清掃や廃棄処理を行わざるを得なくなった場合、民法上の不法行為が成立し、その費用相当額の損害賠償請求を受けるおそれがあります(民法709条)。

自分と無関係なゴミ集積場に捨てるのは…

---食べ物を、路上にポイ捨てではなく、道路にある(自分の居住地や勤務地とはまったく無関係の)ゴミ集積場に無断で捨てることは、違法でしょうか?

この場合には、以下のような問題が発生する可能性があります。

(1)廃棄物処理法違反

自治体が設置している道路沿いのゴミ集積場は、その地域の住民や事業所が利用することを前提に運営されています。 自分の居住地や勤務地とまったく無関係な場所に無断でゴミを出す行為は、廃棄物処理法16条(みだりな廃棄の禁止)に違反する可能性があります。

違反した場合、5年以下の懲役または1000万円以下の罰金(法人は3億円以下)という重い罰則が科される可能性があります。 このような行為は、「不法投棄」として警察や自治体が取り締まる対象になりやすいものといえます。

(2)軽犯罪法違反

量が少なくても、地域外の集積所に勝手に捨てることは、先ほども紹介した軽犯罪法1条27号(みだりにごみ等を捨てる行為)に該当する可能性があります。 軽犯罪法では拘留または科料(1万円未満)に処されることがあります。

(3)条例違反

多くの自治体では、ゴミの排出場所や分別方法、排出者の資格を条例で定めています。 「住民以外が集積所を利用することを禁止」する規定があり、違反すると過料が科される場合もあります。

(4)大量投棄の場合

大量に持ち込んで捨てた場合は、(1)環境への影響、(2)清掃・処理の負担、(3)地域住民への迷惑といった理由から、刑事罰が重くなる可能性があります。監視カメラや通報により、警察が介入するケースも少なくありません。

大量に捨てられている現場を目撃したらどうすべき?

---このような行為を目撃した場合や、大量に落ちているのを発見した場合、どのような場所に通報したら良いのでしょうか?

(1)まず、代表的な通報先として、警察(110番、または最寄りの交番)が挙げられます。

投棄が進行中、現場に投棄者がいる等の場合には、110番通報するのが良いでしょう。 軽犯罪法違反や廃棄物処理法違反、場合によっては業務妨害罪等の対象になるため、警察が現場対応・捜査を行います。 防犯カメラ映像やナンバープレートなどがあれば、証拠として有効です。

(2)緊急でない場合や、投棄後しばらく経ってから発見したような場合には、自治体の環境課・清掃課・廃棄物対策課などに通報することとなります。

自治体は廃棄物処理法に基づく調査権限を持ち、清掃・撤去・警察との連携を行います。 公式サイトに通報フォームや専用電話がある場合もあります。

(3)状況によっては、以下の機関への連絡が有効です。

ア、道路上に投棄されている場合:道路管理者(国道なら国土交通省の事務所、都道府県道・市町村道なら道路管理課)
イ、特定の店の前や敷地内の場合:店舗や施設管理者
ウ、悪質かつ広域の不法投棄の場合:環境省の地方環境事務所

食べ物を大量に路上に捨てる行為は明確に違法

食べ物を路上に捨てる行為は明確に違法であり、最大で5年以下の懲役や1000万円以下の罰金という重い処罰もありえるとのことです。特に大量投棄の場合は、悪質性が高いと判断され、刑事罰が重くなる可能性があるという点も重要でしょう。

確かにポケモンカードは人気が高く、価値を感じる人が多いでしょう。しかし当然ながら、食べ物を無駄にし、環境を汚染してはいけません。

SNSでは「転売ヤーのモラルが問われる」「食べ物を粗末にするのは許せない」といった批判の声が多く上がっていますが、法的な観点から見ても、このような行為は決して許されるものではありません。

また、目撃した場合は110番通報や自治体への連絡など、適切な通報先に連絡することで、問題解決に協力することができます。

人気商品を求める気持ち自体は理解できますが、そのために他者や環境に迷惑をかける行為は、法的にも道徳的にも問題があることを改めて認識したいものです。


記事監修:NTS総合弁護士法人札幌事務所 寺林智栄 弁護士

 

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2007年、弁護士登録(札幌弁護士会所属)。 2013年から2017年まで東京家庭裁判所家事調停官を務める。 離婚・相続などの家事事件、労働問題、一般民事事件、企業法務など、幅広い分野を担当している。