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保護者「納得できない」学年発表会の“主役”を決める『オーディション』 その結果の“抗議電話”に課題

  • 2025.7.21
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出典:Photo AC ※画像はイメージです

学校現場では、子どもたちの成長を見守る中で、時として保護者との難しい対応に直面することがあります。特に、子どもが期待した結果を得られなかった時の保護者の反応は、教師にとって大きな課題となることも。今回は、学年発表会の主役オーディションで自分のクラスの児童が選ばれなかった際、保護者から激しい抗議を受けた小学校教師Aさん(仮名)の体験談を紹介します。

「あなたのせいで大変なことになってる」突然の抗議電話

これは、ある小学校教員として働く投稿者Aさん(仮名)が、担任をしていた当時に経験した、忘れがたい保護者対応のエピソードです。

当時、Aさんは小学3年生のクラスを担当していました。学年合同の発表会を控え、主役を決めるために全クラスから希望者を募り、オーディション形式で選考を行うことになりました。主役を希望する児童に台本を渡し、当日に向けて指定されたセリフを練習するよう伝えていました。

オーディション当日、Aさんのクラスからも数名の児童が立候補。最終的に主役に選ばれたのは別のクラスの児童でした。

すると翌朝、Aさん宛てに1本の電話がかかってきます。電話の相手は、AさんのクラスにいるB君のお母さんでした。

電話を取るなり、相手は強い口調で言いました。

「ちょっと、あなたのせいで大変なことになってるんですけど」

「どうされましたか?」と返すと、

「昨日、うちの子が落とされたのは、どうしてなんですか?」「帰宅後ずっと泣いていて、毎日練習していたのに納得できないと言って。親としても上手だと思っていたのに、どうして落ちたのか理解できません」

と、激しい語気でまくし立てられました。

B君は確かに一生懸命取り組んでおり、台詞の練習にも熱心でした。Aさんはその努力を認めつつ、落ち着いてこう伝えました。

「B君が頑張ったことは決して無駄にはならないと思います。ほかの役でも活躍の場はあると思いますし、今回の経験が成長の一歩になると思いますよ」

しかし、この言葉にもお母さんの怒りはおさまらず、

「そんなこと言われても納得いかない!」

と、さらに語気を強められてしまいます。

その後も電話は一方的に続き、最終的には30分以上にわたって叱責を受けることに。最後には「あんたと話してもしょうがない!」という捨て台詞を残し、電話は唐突に切られました。

Aさんは教員として多くの保護者と接してきたものの、この出来事は今でも忘れられない苦い記憶として心に残っているといいます。

子どもの成長を支える教育現場での課題

この体験談は、教育現場でよく起こる保護者対応の難しさを浮き彫りにしています。

子どもを思う親心から発せられる感情的な反応に、教師はどのように対応すべきなのか。A先生は冷静に対応しようと努めましたが、一方的に怒鳴られ続けるという状況は、教師にとっても大きな精神的負担となったことでしょう。

オーディションのような競争的な場面では、必ず選ばれる子どもと選ばれない子どもが生まれます。その結果をどう受け止め、子どもの成長にどうつなげていくかは、学校と家庭が協力して取り組むべき課題です。感情的になりがちな場面だからこそ、冷静な対話の重要性が改めて問われる出来事といえるでしょう。


《取材協力》
現役小学校教諭・Aさん(30代・関東在住)
2010年より教職に就き、現在は5年生を担任。得意科目は体育。教職のやりがいは「子どもの『わかった!できた!』の瞬間」