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国際線CAが海外で“ひったくり被害”「中にパスポートも入っている」 フライト数時間前に起こった“予想外のトラブル”

  • 2025.7.28
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画像:photoAC

「国際線CAは旅慣れているから、海外でトラブルに遭ったりしないのでは?」

このように思われている方は多いのではないでしょうか?

確かに、国際線CAは常日頃から海外に行く機会が多く、旅慣れている人が多いのは事実です。

それでも、ちょっとした油断から予期せぬトラブルに遭ってしまうことも。

今日は、元国際線CAがステイ先で実際に経験した、ひったくり被害のエピソードをご紹介します。

慣れた街で油断が招いた一瞬の出来事

東南アジアの某国にステイしていた際の出来事です。フライトで何度も来ている街ということもあり、特に警戒心もなく、同僚CAと一緒にホテルから徒歩圏内にあるショッピングモールへ歩いていました。

すると突然、同僚CAが「あっ!」という悲鳴まじりの声をあげたのです。

先ほどまで彼女の手にあったバッグが、バイクの二人乗りの後部座席に座っている人の手にあり、フワフワと遠ざかっていく光景が......。

あまりにも一瞬の出来事で、何が起きたのか分かりませんでしたが、すぐにひったくり被害に遭ったことを理解しました。

慌てて追いかけましたがバイクのスピードに追いつくわけもなく、目の前のバッグはどんどん遠くに離れていってしまったのです。

まさかの衝撃告白...「中にパスポートも入っている」そして救世主の出現

なんと、彼女の口からは「中にパスポートも入っている」という耳を疑う言葉が。

パスポートがなければ、その日の夜のフライトに乗務できません。頭の中が真っ白になり、呆然と立ち尽くすことしかできませんでした。すると、この一部始終を目撃していたタクシー運転手が「追いかけよう!」と声をかけてくれたのです。

ただ、私たちはショッピングモールで両替するつもりだったので、現地通貨を持ち合わせていませんでした。

その旨を伝えると「問題ない。お金はいいから、早く!」と言って私たちを乗せて、ひったくり犯が進んだ方角に向かってくれたのです。

しかし、残念ながら交通量も多い道路だったこともあり、バイクの二人組を完全に見失ってしまいました。

タクシー運転手もひったくり犯の仲間!?

しばらくタクシーで周辺を探しましたが、ひったくり犯のバイクを見つけることはできませんでした。

ただ、仮にひったくり犯に追いついたとしても、相手は凶器などを持っている可能性も否定できないため、奪い返す行為はリスクが高かったでしょう。

そしてその後、タクシーの運転手はお金を持たない私たちを現地警察まで送ってくれたのです。私たちにとって、このタクシーの運転手は救世主でありスーパーヒーローでした。

しかし、少し気持ちが落ち着いてきた頃に「このタクシーの運転手も犯人の仲間で、どこかに連れ去られてしまうのでは...…」と不安に感じたのも事実です。

もし、このタクシー運転手もひったくり犯とグルで、誘拐されていたらと考えるとゾッとします。気が動転していたとはいえ、もう少し慎重に行動する必要があったと反省しなければなりません。

今回のケースでは、タクシー運転手は本当に親切心から私たちを助けてくださったのが、不幸中の幸いでした。

もし、海外でパスポートを紛失したら?

海外でパスポートを盗難されたり紛失したりした場合には、下記のような手続きが必要になります。

  1. 現地警察で紛失・盗難の届け出をして、ポリスレポートを発行してもらう
  2. ポリスレポートを持参し、最寄りの日本大使館もしくは総領事館で「紛失一般旅券等届出書」を提出する
  3. 緊急で帰国する場合は、帰国のための渡航書を申請する(帰国時の一回のみ使用可能)
  4. パスポートの再発行を希望する場合は、再発行の申請をする(再発行には時間がかかり、かつ戸籍謄本や一般旅券発給申請書、本人確認書類などが必要)

また、帰国のための渡航書やパスポートの再発行には、パスポート用の証明写真(6ヶ月以内に撮影されたもの)も必要です。

しかし、海外では日本のように簡単に証明写真を撮れないことが多いので要注意です。実際、同僚CAも現地で証明写真を撮れる場所を探すのにとても苦労しました。

海外旅行へお出かけになる際には、万が一に備えてパスポート用の証明写真を、荷物の片隅に入れて持参されることをおすすめします。

 無事にフライト乗務!ひったくり被害から学んだ教訓

乗務する便の出発まで半日ほどしかなかったため、現地の日本大使館で帰国のための渡航書を発行していただきました。

この同僚CAが空港の出国審査で渡航書を提出し無事に通過した時は、心の底から安堵したのをよく覚えています。

タクシーの運転手や親切な警察官(実は、パトカーで大使館まで送っていただきました)など、予期せぬ救世主の出現があったとはいえ、手続きが全て完了するまで数時間かかりました。

もし、この手続きが間に合わなかった場合、客室乗務員が欠員となり最悪の場合フライトがキャンセルになってしまう可能性もあったのです。多くのお客様に、多大なるご迷惑をおかけしてしまう事態になりかねませんでした。

どんなに慣れた場所であっても“油断は禁物”、と身をもって学んだ経験でした。

これから海外旅行される皆さまへ

これから夏休みで、海外旅行へお出かけになる方も多いのではないでしょうか。

観光やショッピングをされる際には、パスポートや貴重品は持ち歩かずにホテルのセキュリティーボックスなどにしまっておかれることをおすすめします。

海外旅行先でトラブルに遭って、貴重な時間を無駄にしないためにも、貴重品の管理にはくれぐれも気をつけてくださいね。

このエピソードを思い出していただくことで、皆さまの安全な旅に少しでもお役に立てれば幸いです。

それでは、素敵な空の旅を!


ライター:かくまるめぐみ
大学卒業後、日系航空会社に客室乗務員として入社。国際線をメインに乗務し、世界中を飛び回る。結婚を機に退職し、イタリアへ移住。現在も家族とともにイタリアに在住し、Webライターとして活動。客室乗務員の経験から培った「細やかな心配り」を大切に、コラム記事からSEO記事まで幅広く執筆中。