「リハーサルでは額にキスする予定だった」主演・浅香航大が語るドラマ『三人夫婦』現場とキャストの絆【独占取材】

「おかっぱ頭だとツッコまれますが、僕は何の違和感も抱いていませんでした（笑）」そう屈託なく語ってくれたのは、ドラマ『三人夫婦』で三津田拓三を演じた俳優・浅香航大。三人で“夫婦”を名乗るという異色設定の本作で、どこか不器用で頑固ながら、人の心を静かに受け止める男・拓三をどう演じていたのか。そこには、役作りの細部へのこだわりと、現場で育まれた関係性があった。

髪型と性格の設計図

――今回の拓三役を演じるにあたって、最初にどんな準備をされましたか？
浅香さん「性格や思考、育ちからくる外見的な輪郭について監督とよく話し合いました。髪型についてはご覧になられた方から、おかっぱスタイルだとよくツッコまれますが、僕は撮影が終わるまで何の違和感も抱いていませんでした。笑」

役に入り込む過程で“外見”から内面へとにじんでいった拓三像。性格の輪郭を設計し、それを外見と繋げるように演じる。その工程こそ、浅香らしいストイックさだ。

――共演者との関係性はいかがでしたか？
浅香さん「朝倉さん、大河くんは本当に真面目で実直で、みんなが同じ方向を向いているという感覚がありました。大河くんが撮影序盤にキャパオーバーだったタイミングがあったと言いますが、周りには何も感じさせず(気付いてはいましたが 笑)、一生懸命だったのも印象的です。美山さんは淡々とされていて、天満の立ち回りとも重なる部分があると思っていました。」

――共演者からの刺激や学びがあれば、具体的に教えてください。
浅香さん「拓三の母親役の赤間さんは、物語の後半に登場されるのですが、若手の誰よりエネルギッシュに動いてお芝居をされていて、撮影現場にも新しい風を吹き込んでくださいました。」

即興と直感が生んだ“本物の空気”

――印象的だったシーンや、アドリブで印象に残っているものはありますか？
浅香さん「ラブシーンの後に新平に拓三の服を着せてみたり、楽しんで演じていました。」

――リハーサルと本番で大きく変わったシーンは？
浅香さん「新平が拓三にキスをするシーンです。リハーサルでは額にキスをする予定でしたが、(台本には場所についての明記はない)唇の方が良いのではないかと提案させていただきました。」

――拓三を演じて、ご自身に何か変化はありましたか？
浅香さん「こういうのって自分ではわからないんです。のちのち人から指摘されて、あの時は役の影響があったのかなー、と思うことはあります。」

――1番笑った撮影シーンや、オフショットの裏話があったら教えてください。
浅香さん「新平と拓三のラブシーンの後、美愛と鉢合わせるシーンは印象的でした。演出も相まって、面白くて現場に一体感が生まれた気がします。」

――あらためて、参加して良かったと思える瞬間は？
浅香さん「心から参加できて良かったと思っています！オファーをいただいた時は、内容も含めて、自分が演じるのに適しているのか少し葛藤もありましたが、こうして素晴らしいスタッフ、キャストのみなさんと一丸となって、真摯に悩みながら一緒に作り上げた作品を、視聴者の皆様にお届けできたこと大変嬉しく思います。観てくださった方が楽しんでご覧いただけたら、それが一番幸せです！」

---

TBSドラマストリーム『三人夫婦』

【TVer】1話と最終話 無料配信中
https://tver.jp/series/sr60s0sczr

ライター：北村有（Kitamura Yuu）
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X（旧：Twitter）：@yuu_uu_