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26年前、警察の『避難勧告』を再三無視したキャンパー18人…お盆に迎えた最悪の結末。なぜ逃げなかった?

  • 2025.8.9
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

夏の川辺は、澄んだ水の流れや木陰の涼しさが魅力のレジャースポットです。バーベキューの香り、子どもたちの笑い声──誰もが安心して過ごせる時間のように感じられます。

しかし、その穏やかな風景が一瞬にして命を奪う危険地帯へと変わることがあります。もし行政からの避難勧告を無視したら、どのような結末が待っているのでしょうか。

1999年8月14日、神奈川県山北町の玄倉川で起きた痛ましい事故は、その問いに明確な答えを示しました。

1999年8月14日、玄倉川水難事故

事故が起きたのは、神奈川県山北町を流れる玄倉川。当時、廃棄物処理会社の社員とその家族・友人、合わせて18人のグループが川の中州でキャンプをしていました。

普段は穏やかな川でしたが、この日は熱帯低気圧の影響で前日から雨が続き、川の水位は徐々に上昇していました。午前中から、ダム職員や警察官が「増水の危険があるから避難してください」と繰り返し警告。周囲の他のキャンパーは速やかに避難しましたが、このグループだけは「まだ大丈夫」と判断し、その場に留まり続けました。

やがて雨脚は強まり、川の水は急激に増水。ダムの放流も始まると、中州はみるみるうちに水に囲まれていったのです。

警告を無視した背景

この事故は、単なる自然災害ではなく、警告を無視したことによる人災でした。ではなぜ、彼らは避難しなかったのでしょうか。こうした観光客の行動について、「『正常性バイアス』が働いたことによるものではないか」という声が、ネットでも多数上がっているのです。

正常性バイアスとは? 

正常性バイアスとは、予期しない事態に直面した際に、「自分だけは大丈夫」「きっと大したことにはならない」と、危険性を自動的に過小評価してしまう脳の働きのことです。日常からかけ離れた事態に直面すると、かえって物事を正常の範囲内だと自動的に認識し、心の平穏を保とうとする働きが、避難の遅れにつながることがあります。

この心理について、警視庁警備部災害対策課もX(旧Twitter)で注意を呼びかけています。

 

この玄倉川の事故でも、当日の雨量が記録的な豪雨というほどではなかったことや、「過去にも増水したが大丈夫だった」という経験が、「この程度なら問題ない」という油断を生み、このバイアスを強めてしまったと考えられています。

訪れた最悪の結末

その後、川の流れは一気に激しさを増しました。取り残された18人は中州から脱出できなくなり、救助隊が必死にロープで救助を試みましたが、増水の速さと濁流の勢いに阻まれました。

最終的に、子どもを含む13人が濁流に流され死亡。この事故は日本中に衝撃を与えました。必死の救助活動と、間に合わなかった命──それは今も多くの人の記憶に深く刻まれています。

私たちへの教訓

玄倉川の悲劇を繰り返さないために、私たちは何をすべきでしょうか。政府広報オンラインでは、川の事故を防ぐために特に重要なポイントとして、次の3点を呼びかけています。

ポイント① 天気予報を必ず確認する

川のレジャーでは、現在地の天気に加え、川の上流の天候も必ず確認することが大切です。上流で大雨が降ると、下流は晴れていても急激に増水する危険があります。国土交通省の「川の防災情報」などを活用し、事前に情報を集めましょう。

ポイント② ライフジャケットを着用する

万が一、川に流されてしまった場合に備え、ライフジャケットを着用しましょう。特に子どもには必ず着用させてください。泳ぎが得意な大人でも、自然の川の流れは予測が難しく危険です。自分や家族の命を守るための重要な備えです。

ポイント③ 増水のサインを見たら、すぐに避難

川の水位が急に低くなったり、木の葉や流木が流れてきたりするのは、増水が始まる危険なサインです。こうした変化に気づいたら、ためらわずに川から上がり、すぐに安全な場所へ避難してください。

そして、これらの備えに加え、玄倉川の事故が示す最も重要な教訓は、警告を無視しないことです。ダムの放流警報や、警察・消防などからの避難勧告は、命を守る最後の砦です。「自分だけは大丈夫」という正常性バイアスの罠に陥らず、その声に迷わず従うこと。それこそが生きて帰るための絶対のルールなのです。


出典:水の事故を防ごう!海や川でレジャーを楽しむために知っておきたい安全対策 | 政府広報オンライン



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