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40年前、日本中の心に触れた“青春の代名詞ソング” 音楽&アニメ業界を変革した“甘酸っぱい名曲”

  • 2025.7.1

「40年前、日本中の心に触れた青春の代名詞的な名曲を覚えてる?」

その曲は『タッチ』ーー同名のアニメ『タッチ』のオープニングテーマとして1985年3月21日にリリースされた岩崎良美のシングルだ。日本の音楽シーンに強い印象を残し、アニメとともに大ヒットを記録。そのメロディと歌詞は、今でも多くの人々に愛され続けており、幅広い世代の記憶に深く刻まれている。

今回は、そんな『タッチ』の魅力について、改めて振り返っていきたい。

アニメ『タッチ』とその影響

アニメ『タッチ』は、あだち充先生の原作漫画を基にしており、高校野球を舞台にした青春ドラマが展開される。登場人物の上杉達也、上杉和也、浅倉南の三角関係を中心に、野球を通じて彼らの成長と恋愛が描かれている。

この作品は、1980年代におけるアニメブームの代表作となり、数多くの視聴者に強い印象を与えた。

アニメ『タッチ』の成功要因は、単に視覚的な魅力だけでなく、登場人物たちのリアルな感情描写や成長を描いていたことだった。そのため、視聴者は登場人物に感情移入し、物語が進行するにつれて共感できる。この作品が放送される時期、1980年代中期の日本は、社会全体で若者文化が盛り上がり、テレビや音楽が大きな影響力を持っていた。このような背景の中で『タッチ』は、青春や恋愛、そして夢に向かって努力する姿を描くことで、多くの人々に感動を与えた。

そして、『タッチ』のオープニングテーマとなった岩崎良美の同名シングルは、このアニメの物語やテーマに完璧にマッチ。アニメと曲が一体となり、視聴者に強い印象を残した。

『タッチ』の歌詞とメロディの魅力

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(C)SANKEI

 

楽曲『タッチ』の最大の魅力は、岩崎良美の澄んだ歌声に、歌詞とメロディが絶妙にマッチングし、混ざり合うによって、“青春の代名詞”たり得ていることだ。

歌詞は、青春時代の甘酸っぱさや切ない恋愛がテーマだ。想い人に対するざわめき、これからのことを期待してしまう乙女心を、何も包み隠すことなくストレートに表現している。特に、サビ部分の「タッチ」というフレーズが繰り返される部分はキャッチーで、その前のめりな乙女の姿勢を強く印象に残させる。

恋愛における焦燥感を体現しているような疾走感のあるイントロ、それに連なる跳ねるような軽快でポップなリズムは、聞こえてくるだけで思わず体全体でノリたくなるような誘引力がある。その中にも、声を伸ばす伸ばさないの緩急、声や楽器の止めどころのメリハリを巧妙に混ぜ込むことによって、見事に引き出されている切ない感情の揺れ動き。その絶妙なバランスは、アニメの世界観をそのまま音楽に落とし込んだような感覚を与え、聴くたびにアニメのシーンが思い浮かぶような不思議な力を持っている。

『タッチ』がアニメ業界と音楽業界に与えたインパクト

『タッチ』は、ただのテーマ曲にとどまらず、アニメ業界と音楽業界、双方に衝撃を与え、人々の記憶に深く刻まれた一曲だ。

それまでは、アニメソング専門の歌手がアニメソングを歌うことが多かった。しかしこの曲の場合は、アイドル歌手の岩崎良美によって歌われたアニメソングだったということが、当時の音楽業界とアニメ業界において画期的だった。

そして、アニメと音楽がこれほど密接にリンクして一体となりつつ、独立した楽曲としても高い評価を受け、幅広い層に支持されるきっかけを作ったという点で、『タッチ』はアニメソングの新たなスタンダードを確立したと言えるだろう。

40年経っても色あせない名テーマソング

この曲は、青春時代や当時の時代背景を象徴する一曲となり、音楽史における重要な位置を占めることとなった。アニメソング界に革新をもたらした『タッチ』は、アニメとテーマ曲のリンクという形で、現代の日本が世界に誇るサブカルチャーを牽引したと言える。

アニメ『タッチ』は、放送が終了した後も何度も再放送され、その都度新たなファン層を獲得。アニメとともにこの曲が何度も取り上げられることで、世代を超えて多くの人々に知られているのだ。

リリースから40年が経過した今でもその魅力を色あせることなく、聴くたびに聴く人それぞれの青春を、ありありと思い出させてくれる。『タッチ』が描く恋愛模様や青春時代の輝きは、これからも多くの人々の心に深く刻まれ、時代を超えた名曲として聴き継がれていくのだろうと思う。


※この記事は執筆時点の情報です。