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26年前、日本中が恋に揺れた“素直すぎる愛の歌” 恋の本音を描いた“何度も聴きたくなるラブソング”

  • 2025.6.12

「26年前の夏、どんなラブソングが胸に残ってるか覚えてる?」

1999年といえば、音楽シーンでは宇多田ヒカルや浜崎あゆみが旋風を巻き起こし、ドラマ『美しい人』(TBS系)『リング〜最終章〜』(フジテレビ系)が話題に。映画では『マトリックス』が日本でも公開され、デジタル世代の幕開けを告げていた頃。そんな中、一人の女性シンガーソングライターが静かに、でも確かにリスナーの心に火を灯した。

その名は、aiko。代表曲『花火』は、1999年8月4日にリリースされた。

恋する切なさと夏の情景を鮮やかに描いたこの楽曲は、今なお“夏の名曲”として語り継がれている。その理由を、当時の時代背景とともに振り返ってみよう。

“普通の女の子”が紡ぐ、リアルな恋心

aikoにとって3枚目のシングル『花火』は、彼女の名を世に広めた最初のヒット曲でもある。

イントロのピアノが印象的に響き、やがて始まるaikoの等身大の歌声ーー。どこか儚く、それでいてまっすぐなその声が、夏の終わりを感じさせるメロディとともに聴く人の胸を締めつけた。

歌詞に登場するのは、劇的な恋でも、大人びた駆け引きでもない。「好きな人の隣にいたい」「一緒に花火を見たい」と願う、あまりに普通で、だからこそリアルな“私”。特別な言葉はない。でも、誰もが一度は感じたことのある“あの気持ち”が、確かにそこにあった。

なぜ『花火』は、夏のラブソングの定番になったのか?

当時の音楽シーンは、R&Bや小室ファミリーなど華やかで革新的なプロデュースワークが時代をリードしていた。そんな中、aikoは独自のメロディと温かみのある歌詞で、リスナーの心に寄り添う存在となった。

特に『花火』は、恋の“はじまり”でも“終わり”でもなく、ただ「好き」という気持ちだけを丁寧に描いたことで、多くの共感を集めた。

花火という一瞬の美しさを象徴にしながら、その後に訪れる静けさや寂しさまでも表現したこの楽曲は、“あの夏の思い出”と結びついて、リスナーの中にずっと残り続けた。

aikoが切り開いた"恋のうた"の新しいかたち

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(C)SANKEI

aikoは、『花火』以降も『カブトムシ』『ボーイフレンド』『えりあし』など、数々の恋愛ソングを発表。恋する女性の揺れ動く心情を、飾らずリアルに描き続けてきた。

彼女の楽曲は、同時代の“強く生きる女性像”とは違い、不器用で感情に正直な“普通の私”に寄り添った。だからこそ、同性の支持が圧倒的に高く、女性アーティストとしての新たな地位を確立した。そして、その出発点ともいえるのが、『花火』だったのだ。

26年経った今も、あの夏の気持ちがよみがえる

『花火』は、年齢や時代を問わず、誰かを好きになったときの気持ちを思い出させてくれる。ふとした瞬間に流れるイントロ。あの頃の空、匂い、声が、心の奥からふわっと立ち上がってくるような感覚。

あれは、1999年の夏ーーまさに26年前、日本中が“恋に揺れた”季節だった。ドラマチックではないけれど、どこまでも“素直すぎる愛の歌”。

『花火』は、“好き”という気持ちの本音を、まっすぐに音に乗せてくれる。そこにあるのは、飾らない言葉と、胸の奥にそっとしまっていた“恋の本音”。だからこそ、ふとした瞬間にまた聴きたくなる。何度も、何度でも。この曲が、いまだに“夏の名曲”として愛されているのは、その理由に尽きるのかもしれない。

26年前、真夏の夜に打ち上がったaikoの"恋心"は、今も私たちの中で音を立てて輝いている。

『花火』ーーそれは、恋をしたことがあるすべての人に贈る、“何度も聴きたくなるラブソング”。


※この記事は執筆時点の情報です。