1. トップ
  2. 「月8万円、ウーバーに使うのに…」タワマン20階住みの経営者が4年住んで分かった"大誤算"

「月8万円、ウーバーに使うのに…」タワマン20階住みの経営者が4年住んで分かった"大誤算"

  • 2025.6.1

元々都内のとある区に住んでいたのですが、治安が悪くて…

そんな率直な言葉で振り返るAさん(28)は、年収1000万円超のお酒の会社の経営者だ。治安への不安から脱出を図り、セキュリティを最重視して選んだのが関東のタワーマンション20階。憧れの住まいを手に入れ、毎日ウーバーイーツ生活を謳歌する彼を待っていたのは、思わぬ「大誤算」だった。

「俺ん家だぜこれ」みたいな優越感

Aさんがタワーマンションを選んだ理由は意外だった。「元々都内のとある区に住んでいたのですが、治安が悪くて…」と振り返る彼は、安全性を最優先に住まい探しを開始。セキュリティの充実したタワーマンションこそが理想の住環境だと判断した。

「ちゃんとセキュリティのあるところに住みたいなと思ったんです。調べてたら、タワーマンションだよねみたいな話になって」

もちろん「普通にやっぱかっこいいから」という憧れもあったが、それは二の次。治安への不安が彼をタワマンへと導いた原動力だった。

undefined
※実際にAさんが住まわれているタワーマンションの一室(出典:Aさん提供)

入居直後は設備の充実とステータス感で大満足。

「『自分がタワーマンションに入っていく姿をみんなに見られたい』という気持ちもあり、『俺ん家だぜこれ』みたいな優越感を存分に味わっていましたし、今も味わっています」と語るAさん。

月8万円の代償は「ドアtoドアtoドア」

ところが、このセキュリティの充実が思わぬ弊害を生んでいた。ほぼ毎日ウーバーイーツ生活を送るAさんにとって、配達の遅延は深刻な問題となった。

「ウーバーイーツを頼むじゃないですか。来ないんですよ。来るまでめちゃくちゃ遅いんですよ」

配達員はいくつものセキュリティを通過し、エレベーターで20階まで上がる必要がある。建物の複雑な構造も相まって、配達員が迷うケースも頻発。ついには「俺からウーバーイーツを迎えに行った方が早いんじゃないか」と考え、実際に迎えに行ったこともある。

「玄関出たら外じゃないんで。だからドアtoドアっていう概念が人よりもなんかワンクッションあるというか。ドアtoドアtoドアなんで、何回かそのくぐり抜ける門があるんですよ」

この独特な表現が示すように、一般的な「ドアtoドア」とは程遠い配達環境。それでも月8万円程度をウーバーイーツに費やしているのは、一度20階から降りる煩わしさの方が上回るからだ。

景色なんて視界にすら入らない

4年間の居住でAさんが実感したもう一つの意外な事実。それは景色への完全な慣れだった。

「もう見てないですね。視界にすら入ってないですね」

カーテンを閉めることすら超越し、文字通り景色を認識していない状態。タワーマンションの醍醐味とも言える眺望が、日常の一部となって意識から消え去っていた。

しかし、景色以外の住環境への満足度は非常に高い。シアタールームでの映画鑑賞、コワーキングスペースでの作業、24時間365日利用可能なゴミ収集所、無料の清掃サービスなど、充実した共用設備が生活の質を大幅に向上させている。

「次引っ越すってなってもタワーマン100%」と断言するほど、総合的な満足度は高い。再開発で商業施設が相次いで閉鎖しても「毎日ウーバー生活なんで」と影響を受けていないのも、彼のライフスタイルならではだ。

まとめ

セキュリティを求めてたどり着いたタワーマンション生活。憧れの住まいは確かに安全で快適だったが、思わぬ「配達の壁」が立ちはだかった。月8万円という出費を覚悟してでもウーバー生活を続けるAさんの選択は、現代的なライフスタイルとタワーマンションの構造的な問題を浮き彫りにしている。

景色への慣れという意外な落とし穴はあるものの、充実した設備とステータス性への満足は変わらないのはさすがタワマンの一言。彼の体験は、タワーマンション生活の光と影を率直に映し出した貴重な証言と言えるだろう。