1. トップ
  2. 33年前、日本中が浮き足立った“金曜革命ソング” 働く人々の週末に灯をともした“社会的応援歌”

33年前、日本中が浮き足立った“金曜革命ソング” 働く人々の週末に灯をともした“社会的応援歌”

  • 2025.6.26

「33年前、“金曜日”が特別な響きを持った瞬間を覚えてる?」

1992年9月19日にリリースされたDREAMS COME TRUEの11thシングル『決戦は金曜日/太陽が見てる』は、当時のJ-POPシーンに強烈なインパクトを与えた両A面シングルだ。

中でも『決戦は金曜日』は、そのタイトルが示す通り、週の終わりを待ち望む働く人々にとっての“ウキウキ感”を見事に代弁した一曲として、同シングルの売上100万枚超えのミリオンヒットに大きく貢献し、今もなお語り継がれている名曲である。

“ウィークデー”の終わりに込めた、ポジティブなメッセージ

undefined
(C)SANKEI

イントロが流れ出しただけで、心が自然と沸き立つようなグルーヴ。そして吉田美和のパワフルで伸びやかなボーカルと、中村正人による緻密かつファンキーなアレンジが一体となり、楽曲全体に抗いがたいほどの高揚感を生み出す。仕事を終えた金曜日、これから始まる短い週末に思わずワクワクしてしまう気持ちとリンクすることで、この曲は本当の意味で完成するのだ。

そしてこの曲の歌詞には、何よりも“等身大の女性像”が惜しみなく溢れている。これまでに経験した取るに足らない数々の“恋愛めいたもの”を押しのけ、ようやく見つけた想い人への大きくなっていく気持ち。そして、まさに“決戦である金曜日”に意を決して、完璧人準備して息巻いて、その人に会いに行く直前の果てしない緊張感。そういったリアルで生々しい感情を、伝わりやすい情景描写と言葉の連続で、でもダイナミックなものとして描いたことが、多くの聴衆の共感を呼んだ理由であろう。

バブルの余韻がまだ残りつつも、社会全体に徐々に疲れや不安が見え始めていた1990年代初頭、日本経済は転換期を迎えていた。人々の価値観も多様化していく中、この曲は、ただ明るいだけでなく、逆境さえも力に変えるような強さ、そして少しの切なさを併せ持つ働く女性たちへの“社会的応援歌”となった。彼女たちの日常に寄り添い、週末への希望を与えるこの曲は、単なるヒットソングを超え、当時の社会のムードを象徴する一曲として深く浸透した。

色褪せぬ輝きを放つ、ドリカムのマスターピース

1990年代のDREAMS COME TRUEは、まさにJ-POPの中心にいた。彼らの楽曲は、単なる“楽しい曲”に留まらず、社会の空気を変える“現象”となっていた。『決戦は金曜日』はその象徴的な一曲だ。金曜日の夜になると、クラブで、カラオケで、オフィスで、そして街のいたるところでこの曲が流れ、日本中を浮き足立たせ、人々はそれぞれの“金曜日”を高揚感とともに楽しんだ。

この曲をきっかけに、週末の意味がポジティブに変わり、働くことへのモチベーションが高まった人も少なくなかったはずだ。DREAMS COME TRUEは、その音楽を通じて、人々の日常に深く入り込み、ポジティブな変化をもたらした。彼らが「働く日本人」の感情を代弁し、金曜日に革命を起こし、明日への活力を与え続けた功績は計り知れない。

リリースから30年以上が経過した今もなお、その輝きは色褪せることなく、多くの人々の心に残り続けている。DREAMS COME TRUEが日本にもたらした「音楽で時代を彩る」という偉大な功績。その象徴として、この曲はこれからも永遠に語り継がれていくだろう。


※この記事は執筆時点の情報です。