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32年前、日本中が涙した“優しすぎるロックバラード” 170万枚超を売り上げた“包み込む愛の名曲”

  • 2025.6.23

「32年前、ロックバンドが見せた、やわらかく包み込むような優しき衝撃を覚えてる?」

1993年6月2日にリリースされたB’zの13thシングル『裸足の女神』は、当時の彼らの勢いを象徴するナンバーでありながら、それまでのハードでアグレッシブな印象とは一線を画す楽曲だった。ギラギラとした攻撃的なギターリフやシャウトではなく、やわらかく包み込むようなサウンド。そこに乗る稲葉浩志の力強くもどこか切なげな歌声が、これまでのB’zにはなかった新たな情感を見せてくれた。

B’zといえば、“攻めのロック”というイメージが先行しがちだ。爆音のギターと圧倒的なボーカルでライブ会場を熱狂させ、数々のミリオンヒットを連発してきた彼ら。しかし、この『裸足の女神』は、むしろ“守るような愛”を感じさせる。タイトルの“裸足の女神”が象徴するように、繊細で、傷つきやすい存在をそっと包み込むような、優しさに満ちた世界観が広がっていた。それは、B’zが持つ多様な音楽性の一端を垣間見せる、ファンにとっても新鮮な驚きだった。また、170万枚を超える売上を記録したこの曲は、まさに“包み込む愛の名曲”として、日本の音楽史に燦然と輝き続けている。

J-POPの王者が見せた"余白"の美学

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(C)SANKEI

『裸足の女神』には、B’zの楽曲において特筆すべき“余白”、つまり聴き手の想像力を刺激する空間の美学がある。イントロからして静かに始まり、サビに向かってじわじわと感情を高めていく構成は、B’zらしいロックのダイナミズムを残しながらも、バラードとしての深い感動を生み出している。

松本孝弘のギターも、決して前に出過ぎることなく、稲葉の歌声を優しく包み込むようなアレンジで響く。時に激しく、時に叙情的に奏でられるギターは、楽曲全体の情感を一層深める役割を果たしている。B’zという“熱さ”の象徴のような存在が、これほどまでに“静けさ”と“優しさ”を美しく奏でたことは、当時としても新鮮な驚きであり、彼らの音楽的懐の深さを証明する作品となった。彼らはこの曲で、力強いだけではない、繊細な感情表現をも可能にするバンドとしての新たな境地を開いたと言えるだろう。

“心の中にいる誰か”を思い出す曲

『裸足の女神』の歌詞には、一切の説明的な言葉がない。具体的な物語や情景を描写するのではなく、あくまで抽象的、かつ示唆的な言葉が紡がれる。それでもなぜか、この曲を聴く誰もが、心の中に浮かぶ“あるひとり”や“大切な存在”を思い出してしまうような不思議な力がある。

「キズをかくさないでいいよ」「ひとりで泣かないでもいいよ」──そんなシンプルな言葉の裏側には、愛する者への静かで深い感情のうねりが確かに存在している。無理に感情を押し付けることなく、聴き手それぞれの“思い”にそっと寄り添う懐の深さがこの曲にはある。だからこそ、多くの人がこの曲を聴いて涙を流すのは、自分の個人的な経験や感情と重ね合わせられるからに他ならない。それは、特定の誰かに向けられたラブソングであると同時に、普遍的な「愛」の形を歌い上げた名曲なのだ。

日本中が涙した“優しすぎるロックバラード”

『裸足の女神』は、リリースから30年以上が経過した現在も、ライブで歌われることの多いファン人気の高い楽曲であり、B’zという“ロックの王者”が、単なる激しさだけでなく、優しさや繊細さ、そして温かさを持ち合わせていたことを証明する一曲だ。

初期の衝動的なエネルギーから、より円熟した音楽性へと進化を遂げる過渡期に生まれたこの曲は、B’zという稀有な存在の、“熱さ”と“優しさ”という相反する要素が最も美しくバランスした瞬間を捉えているのかもしれない。激しさだけでは表現しきれない、心の奥底に響くB’zの魅力。それが『裸足の女神』には凝縮されており、これからも多くの人々の心に寄り添い、愛され続けていくだろう。


※この記事は執筆時点の情報です。