さすがに無理があるでしょ…２年前“ツッコミが止まらなかった”NHK夜ドラ、“続編・初回放送”で見せた主人公の変貌

シーズン1の爆走ぶりから一転、舞台はなんと“高校”へ。夜ドラ『ワタシってサバサバしてるから』がシーズン2で描くのは、自称サバサバ女・網浜奈美（丸山礼）の“第2の人生”だ。スキャンダル、炎上、政界進出を経て、なんと「婚活に有利だから」という理由で高校教師に就任した奈美。視聴者を裏切らない“図太さ”と、どこか愛おしい存在感は健在である。気づけばまた、今夜も彼女を追いかけてしまう。

「えっ、奈美ってこんなに綺麗だったっけ？」丸山礼の変貌

『ワタシってサバサバしてるから』（通称：ワタサバ）シーズン2の初回放送を観た視聴者の多くが、まずその点に驚いたのではないだろうか。主演・丸山礼は、その持ち前のコメディセンスと芝居の勘の良さはそのままに、ぐっとスリムになった姿で帰ってきた。SNSでも「痩せて綺麗になってる！」という感想が見られ、まさに“見た目だけが変わっても中身は変わらない”網浜奈美像を絶妙に体現している。

『ワタサバ』の主人公・網浜奈美は、いわゆる“自称サバサバ系”の象徴だ。性にオープンで、空気を読まず、思い込みで突っ走る。視聴者にとっては“イラっとくるけど、なぜか嫌いになれない”という、クセの強い人物である。

シーズン1では出版社からIT企業へと転職し、スキャンダル、炎上、そして政界進出という破天荒なキャリアを駆け抜けた網浜。シーズン2の舞台はなんと高校。星開高校の教師として“サバサバ”を武器に新たな人間関係に飛び込んでいく。

視聴者のツッコミは止まらない。なぜ彼女が高校の先生に……？ どこにそんな採用枠が……？ と、あらゆる意味で現実味はない。けれど、そこがいい。これはフィクションだ。しかも“網浜奈美という生き物”を楽しむための、都合よく調整された世界なのだ。

ツッコミと愛が止まらない展開

今回、彼女の新たな相棒として配置されたのは、若く理想に燃える教師・姫野真理（井桁弘恵）。熱血と常識の塊である姫野は、校内で何かと対立している貝原教頭（高岡早紀）との関係にも悩まされており、そこに網浜が副担任として割り込んでくる構図は、まさに火に油を注ぐものとしか思えない。だが、それがこのドラマの魅力でもある。

このドラマの魅力は、なんといっても主人公の網浜奈美のキャラクター性に起因するだろう。決して人としての魅力に溢れているわけでもない網浜を、一周回って応援したくなってしまうのは、このドラマの構造上非常に巧妙な仕掛けがなされているからではないか。

そう。シーズン1でも使われていた“あと〇日で奈美を好きになる！”という謎のカウントダウン構造だ。これは嫌悪からの“情”へと、感情の舵を切らせる名案だった。今回もその手法を引き継ぎつつ、より大胆に“網浜無双”を展開している。

人材開発室、IT企業、政治、そして教育現場。どこへ行っても彼女は“迷惑をかける存在”だが、なぜか周囲に味方ができる。GOGOCITYでの騒動で再会した大手通販会社社長・ジェームズ（栗原類）とのエピソードもさることながら、毎回「いや、それはさすがに無理あるでしょ……」と苦笑いしながらも、最後には「まあ、憎めないかもな」となる。そこにあるのは、彼女の徹底的な“開き直り”と“切り替えの速さ”である。

傷つくことを恐れず、打たれ強く、何度でも立ち上がる。網浜奈美は、どんな意味でも最強なのだ。

奈美の図太さと人たらし力は最強の武器

そして今回、その“最強の女”を演じる丸山礼にかかる期待も大きい。彼女の見た目の変化が、ドラマに新たな緊張感をもたらしているのもおもしろい。

網浜の行きつけスナックが“サヴァ”から“諒ちゃん”に変わり、ストーリーテラーがアンミカからIKKOに交代するなど、細かいアップデートも効いている。ドラマとしては緩い展開も多いが、だからこそ、観る側も肩肘張らずに付き合える。

『ワタシってサバサバしてるから』は、たしかにリアルな人間像ではないかもしれない。でも、そういう“虚構の強さ”にこそ、疲れた日々のなかでふと救われることがある。網浜奈美が、今日も図太く生きている。そんな風に思えるだけで、明日もちょっとだけ強くなれそうな気がするのだ。

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NHK 夜ドラ『ワタシってサバサバしてるから２』毎週月曜～木曜よる10時45分放送
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ライター：北村有（Kitamura Yuu）
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X（旧Twitter）：@yuu_uu_