1. トップ
  2. 2020年に放送された“無視できない名作”… 主演2人が再びタッグを結成した“待望の新作”

2020年に放送された“無視できない名作”… 主演2人が再びタッグを結成した“待望の新作”

  • 2025.5.26
undefined
(C)SANKEI

注目作の多い7月期のドラマの中でも、すでに大きな反響を集めているのが、阿部サダヲが主演、松たか子が共演するドラマ『しあわせな結婚』だ。

大石静がオリジナル脚本を手がける本作は、お茶の間から絶大な支持を得ている弁護士・原田幸太郎(阿部サダヲ)を主人公に据えたマリッジ・サスペンス。仕事に支障が出ることを嫌い独身を貫いてきた幸太郎だったが、入院先の病院で鈴木ネルラ(松たか子)と出会い、電撃結婚する。しかしその後、彼女が抱えていた大きな秘密が徐々に明らかになっていくというストーリーだ。

映画『ジヌよさらば〜かむろば村へ〜』(2015年)以来10年ぶりに夫婦役を務めることになった阿部と松。その前にも映画『夢売るふたり』(2012年)で夫婦役を演じている2人は、ドラマスペシャル『スイッチ』(2020年)での共演が記憶に新しい。今回の『しあわせな結婚』のゼネラルプロデューサーを務める中川慎子氏は、『スイッチ』時代にプロデューサーとしてクレジットされており、同じテレビ朝日系としてこの2作の繋がりは無視できないだろう。

阿部サダヲが演じる、さりげないカッコよさ

『しあわせな結婚』の脚本を務めるのは、大石静。大河ドラマ『光る君へ』(2024年)に続く作品となり、まだ松の出演が発表されていない、タイトルすら伏せられた状態で、異例の制作発表会見が開かれたことからも、テレビ朝日が『しあわせな結婚』に賭ける期待がひしひしと伝わってくる。テレ朝ドラマとしては史上初となるポッドキャストまで展開されており、その「#0」の回にて、大石は「私が素敵と思える阿部さん」を構想していく中で、「『スイッチ』の検事さんの役があって、それは幼馴染の弁護士の人を、喧嘩しながらもずっと守ってる感じが、さりげなくカッコいいなと思って、そのタッチでいきたいなと思いました」と明かしている。

脚本・坂元裕二による『スイッチ』は、検察官の駒月直(阿部サダヲ)と弁護士の蔦谷円(松たか子)の元恋人によるリーガルラブサスペンス。2人は検事と弁護士として対立する構図にあるが、物語の中盤で明かされる駒月と蔦谷の過去、そして蔦谷の殺人衝動を“スイッチ”にして、作品の見方は大きく変容していく。

そこで露わになるのは、大石が話している、阿部が演じるさりげないカッコよさだ。検事と弁護士という立場の上に、それぞれが信じる正義がある中で、駒月は蔦谷と共に事故の“被害者”から“共犯者”となってきた。ワンカットで撮影されたと思われる、2人が激しく愛し合うシーンは、セリフを超えた2人の関係性、知らず知らずのうちに育まれてきた愛が、阿部と松の芝居からメッセージとして放たれている。その“スイッチ”を入れるのも駒月を演じる阿部であり、そこはカッコいいシーンの一つに数えられるだろう。

『しあわせな結婚』は『スイッチ』とは一風変わった阿部サダヲ×松たか子共演ドラマに

坂元裕二作品として会話の応酬が激しい『スイッチ』は、阿部が「相性100%」と話す、これまで何度も共演してきた松だからこそ、演じられた役だったのかもしれない。一方で、『しあわせな結婚』にて松が演じる鈴木ネルラは、感情を表に出さず、ほとんど笑顔も見せないセリフの少ない役柄。ミステリアスな松の演技が見られるはずだ。

阿部が演じる幸太郎は独身主義で、ずっとひとりで暮らしてきた人物。結婚後は幸太郎の家ではなく、ネルラの家で暮らすことになるという。現段階では多くがベールに包まれてはいるが、『不適切にもほどがある!』といった宮藤官九郎作品をはじめとするコメディ寄りの強い阿部のイメージを変える作品の一つになることは間違いない。


ライター:渡辺彰浩
1988年生まれ。福島県出身。リアルサウンド編集部を経て独立。荒木飛呂彦、藤井健太郎、乃木坂46など多岐にわたるインタビューを担当。映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』、ドラマ『岸辺露伴は動かない』展、『LIVE AZUMA』ではオフィシャルライターを務める。