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“嵐”活動休止後、2021年に主演発表… 松本潤が大河ドラマに刻んだ“俳優人生の転機” 

  • 2025.5.28
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※Google Geminiにて作成

松本潤が主演するTBS系日曜劇場『19番目のカルテ』が、7月にスタートすることが発表された。総合診療科を描く新しいヒューマン医療エンタテインメントで、松本はキャリア30年目で自身初の医師役を務める。『99.9-刑事専門弁護士- SEASON Ⅱ』以来、約7年ぶりの日曜劇場主演であり、2023年放送の大河ドラマ『どうする家康』以来のドラマ出演となる。

嵐が来年春に行うツアーをもって活動終了することがアナウンスされてすぐの制作発表であり、俳優・松本潤にとっての新たなフェーズに入ることは明らか。思えば、『どうする家康』の際も、2020年12月31日をもってグループとしての活動を休止、その翌月の2021年1月に大河主演が発表されたのだった。

松本潤が演じた徳川家康は、天才ではなく、か弱い凡人

『どうする家康』で松本が演じる徳川家康は、視聴者に新たな“家康像”を叩きつけた。“狸親父”とも形容される家康だが、脚本・古沢良太が描いたのは“か弱きプリンス”。徳川家臣団に守られながら、自身の弱さを実感し、様々な選択=「どうする?」を迫られていく。そんな自問自答を続けた先で、家康は変化し、ついには“神の君”にまで到達する。

筆者は『どうする家康』放送終盤に、古沢にインタビューをしているが、印象的だったのは『どうする家康』は家康の成長物語では決してなく、「家康は何か大きな喪失とか耐え難い挫折を経て、そのタイミングで変化しているので、僕の中では成長ではなく、「心が壊れていっている」というか。彼本来の人間らしさ、優しさ、弱さ、幸せを捨てていっているという解釈で僕は書いていました」と語っていたこと。その結果、怪物のように恐れられ、あるいは人ではない神のように扱われるようになったのだと。

その言葉を聞いて思い浮かぶのは、瀬名(有村架純)との別れ。さらには信長(岡田准一)といった、演じる松本にとっても縁深い共演の上で『どうする家康』は形成されている。天才ではなく、か弱い凡人としての家康。「彼の人生は艱難辛苦の連続で、その過程で変貌していく物語をやりたいと松本潤さんにお願いしたわけですけど、最初に作った全48回の構成を彼は熱心に読み込んで、どこでどう変化していくのがいいのかを懸命に考えて、家康像の段階みたいなものをご自分の中で計算しながら現場に入っていった印象があります」と話していたことも印象深い。

展覧会『PERSPECTIVE』に投影された、『どうする家康』での精神的/身体感覚の変化

松本にとって『どうする家康』がどれほど重要な作品だったかは、展覧会『PERSPECTIVE ‐時をつなぐ眼差し‐』が表している。『PERSPECTIVE』は、6人のクリエイターとのコラボレーションを通して、松本潤が得た“言葉と視点“を体感する展覧会で、約1年半の撮影で徳川家康という役を通じて彼に訪れた、精神的変化、身体感覚の変化をコラボレーターが、空間に作品化、インスタレーション化したものだ。

松本のInstagramは『どうする家康』の放送に合わせて開設したアカウントであり、投稿を覗くとずっしりと厚いフォトアルバムを開くようにして、ドラマの名シーンがありありと蘇ってくる。そして、展覧会に訪れるキャスト陣との写真も。それは『どうする家康』が、松本潤という作品を作り上げたということでもあるように思える。

松本潤だけでなく、櫻井翔、二宮和也も俳優として活発化

『19番目のカルテ』と同じクールには、櫻井翔が主演を務める『占拠』シリーズ第3弾『XXX占拠』の放送も発表されており、土曜・日曜と続けて嵐の2人が主演を張ることが話題になっている。時を同じくして、二宮和也は映画『8番出口』でカンヌに初上陸。嵐の活動終了の発表に寂しさを感じる一方で、俳優としてメンバーが活発になってきているのは嬉しいことである。


ライター:渡辺彰浩
1988年生まれ。福島県出身。リアルサウンド編集部を経て独立。荒木飛呂彦、藤井健太郎、乃木坂46など多岐にわたるインタビューを担当。映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』、ドラマ『岸辺露伴は動かない』展、『LIVE AZUMA』ではオフィシャルライターを務める。