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「精神的にズタボロにされる…」「キツイ」“痛烈な展開”に悲痛の叫び…国民的アーティストの“心震わせる主題歌”が大絶賛の秀作

  • 2025.5.23

忘れられない名作には、時代を超えて愛される理由があります。今回は、そんな名作ドラマを5本セレクトしました。本記事では第1弾として、NHKの朝ドラ『とと姉ちゃん』をご紹介します。父の死をきっかけに「家族を守る」と誓った一人の少女が直面する、戦争、差別、恋、そして仕事―。彼女が最後まで守りたかったものとは――。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

 「ととの代わりになる」結婚を諦めて起業した、戦後のカリスマ女性起業家

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(C)SANKEI
  • 作品名:『とと姉ちゃん』
  • 放送期間:2016年4月4日〜10月1日
  • 主演:高畑充希(小橋常子 役)

幼くして父を亡くした常子(高畑充希)は、「とと(父)の代わり」として一家を支えます。戦争に翻弄されながら、愛する人との結婚よりも家族と仕事を選ぶという苦い決断を経て、戦後の混乱期に立ち上げたのは、女性たちの暮らしに寄り添う雑誌『あなたの暮し』――。

このドラマは、生活雑誌『暮しの手帖』を創刊した編集者・大橋鎭子さんの実話をモチーフに描かれています。常子が手を組む編集長・花山伊佐次のモチーフは、『暮しの手帖』初代編集長の花森安治さん。戦後、女性の立場がまだ弱かった時代に、大橋さんは自ら出版社を立ち上げ、花森さんと共に家事・ファッション・健康・商品テストなど、暮らしに役立つ情報を発信しました。

SNSに広がった波紋、「所詮、女」の破壊力

この作品が多くの反響を呼んだのは、昭和という時代を背景に、女性の生きづらさを描いた点にあります。

たとえば、火事の現場で常子が水を運び、消火に加わろうとしたところ、「お前は所詮、女なんだから引っ込んでろ!」と、男性たちから罵声を浴びせられる場面。また、「何が“とと”の代わりじゃ。わしらは、ちゃんと働いて稼いどるのに」と、女性の立場を嘲笑うような言葉も描かれました。

SNSでは「男尊女卑が酷い時代だな」「15歳っていう幼さで不器用ながら懸命にととになろうとしている常子ちゃんの頑張りがわかるから、あの三兄弟の一番上の“所詮お前は女なんだよ”は顔面ぶん殴りたくなった」「精神的にズタボロにされる言葉だ…」「“とと”としていいとこ見せようとしたんだろうけど、“お前は所詮女だ”と現実突きつけられたのはキツイね」といった声が。
当時の現実をあえて描いたことで、常子への共感だけでなく、疑問や違和感を呼び起こした本作は、時代の価値観に向き合う意欲的な一作となりました。

「二度、悲しまされた」切なすぎる展開に主演も本音

ドラマ中盤では、常子が恋人・星野武蔵(坂口健太郎)からプロポーズされる場面がありますが、「家族を優先したい」として求婚を断ります。戦後、再会したふたりは再び心を通わせますが、最終的には結ばれず、それぞれの道を選びました。

この展開に、SNSでは「2人の幸せを願ってた」「くっつけば良いのにと何度思ったことか」と別れを惜しむ声が相次ぎました。
一方で、恋よりも家族と仕事を選んだ常子の姿には、「自分の道を貫く姿勢が今の時代にも響く」と共感の声も。

常子役の高畑充希さんも「二度、悲しまされた」と苦笑まじりに語っています。高畑さんも坂口健太郎さんも「常子の相手は星野だと思っていた」そうです。

「この曲があってこそ」――心を揺さぶる主題歌

『とと姉ちゃん』の主題歌「花束を君に」は、宇多田ヒカルさんが5年ぶりに活動を再開した際の第一弾シングルです。亡き母・藤圭子さんへの想いを込めた歌詞には、深い愛情と別れの悲しみがにじんでいます。

ドラマでは、幼くして父を亡くした常子が、家族を支えながら時代を生き抜く姿が描かれ、この曲はそんな常子の人生と重なりました。SNSには「この曲があってドラマが完成していると思わせる位、ドラマの一部になりました」「主題歌の『花束を君に』は何回聴いても泣ける」といった感想が寄せられています。

「ふつうの暮らし」が“名作”になるまで

NHKの朝ドラ『とと姉ちゃん』が“忘れられない名作”と語り継がれているのは、激動の時代を懸命に生きたひとりの女性の姿を、実話をもとに丁寧に描いたからです。

父の代わりに家族を支え、愛する人との別れを経験しながらも、信念を貫いた主人公・常子の姿に、多くの視聴者が涙し、励まされました。暮らしを守り抜いたひとりの女性の物語は、今を生きる私たちに「ふだんの生活」の尊さを伝えてくれます――。


※記事は執筆時点の情報です