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まさに“令和の山口百恵” 6年前にデビュー、圧巻の演技力で朝ドラ視聴者を席巻した【名女優】

  • 2025.5.21
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(C)SANKEI

昨年、『あんのこと』で第48回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞に輝いた河合優実。

さらに第49回エランドール賞新人賞も受賞し、まさにいま一番注目されている女優のひとりと言っても過言ではない。今の時点で2025年は4本の映画に出演しており、それぞれで河合にしか出せない色で観る人の心をつかんでいる。

そんな河合優実の魅力について改めて迫る。

河合優実だからこそ生まれた役

デビューは2019年。『inゼリー』のCMに出演し、その時点で話題を呼んでいた。

映画デビュー作は『よどみなく、やまない』(2019年)。テレビドラマは2019年に『インハンド』の第4話に出たのが初だ。

デビュー時から静かに注目され続けていた河合だが、やはり話題になったのは2024年のドラマ『不適切にもほどがある!』、通称『ふてほど』での小川純子役だろう。阿部サダヲ演じる小川一郎の娘役を演じた。80年代の独特のファッションで、スケバン女子高生、女子大生、素朴な母……と純子の思春期から母親になるまでの姿を巧みに演じた。

最近では、「令和の山口百恵」と言われているが、顔立ちの影響もあるのだろうか、80年代がとてもしっくりきていた。いわゆる「聖子ちゃんカット」が浮かない。と、ついビジュアルに触れてしまいがちだが、父親に反発しながらも、大きな愛を持ち、心のどこかで常に寂しさを持っている繊細な演技が心を打つ。

『ふてほど』はそもそも昭和時代をいまの令和から見て「なんてことだ、あり得ない!」「コンプライアンスとは!?」と言い、令和を昭和時代から見て「窮屈すぎない?」「コンプライアンスって一体なんなんだ!」とやんややんや言う部分が強い。

それが河合がいることによって、人間の温かみやふれあいの大切さをグッと深めている。そして、昭和でも令和でも、誰かを大切に思う気持ちは変わらないのだというメッセージを阿部と共に伝えた。

涙せずにはいられない『あんぱん』での名演技

連続テレビ小説『あんぱん』で河合が演じるのはヒロイン・朝田のぶ(今田美桜)の妹・蘭子だ。のぶよりもしっかり者で、おてんばなのぶとは真逆なタイプ。

そんな蘭子の見せ場のひとつとなったのが、祖父・釜次(吉田鋼太郎)の弟子・原豪(細田佳央太)とのシーンだ。

いまの『あんぱん』の舞台は戦時。豪のもとにも赤紙が届き、戦争へと赴かなければならなくなってしまう。

赤紙が届けば「おめでとう」と言い、戦争に行くことを「お国のため」と言って誇りに思わなければならない。ただ、本心は別だ。見送る側は行ってほしくないと思うし、送られる側は死にたくない、大切な人を置いて行きたくない、と思う。

蘭子は豪に思いを寄せていたが、気持ちを伝えられずにいた。それが出征の日、互いの想いを吐露するシーンがまさに名演技。個人的にはそこでボロボロに泣いた。細田の演技も素晴らしいのだが、河合の筋肉のわずかな動きまでコントロールしているのではないかと思うような演技に涙がダバダバとこぼれた。

もちろん、今の日本では戦争に愛する人を見送るという経験がない人がほとんどだ。それでも、その想いを容易に想像させる。

「頼むから豪は生きて帰ってきてくれ」と強く願わずにはいられなかった。

今後の河合優実は?

注目を浴びているだけに、「次はどのような作品に出演するのか」ということが気になる人も多いのではないだろうか。

ただ、どんな役を演じても、河合なら納得させられてしまいそう。今、彼女が出演するなら、彼女が選ぶなら、と作品への妙な信頼感はある。

映画『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』では凛とした女子大生を熱演。同時に女子大生らしいキュートさも観られ、ますます今後への期待が高まった。

きっと、未来では「〇〇の河合優実」と言われる女優も出てくるはず。令和の女優と言えば、河合優実と言われる日はそう遠くないだろう。


ライター:ふくだりょうこ(Fukuda Ryoko)
うさぎと暮らすライター。シナリオやインタビュー、コラム、エッセイなどを中心に執筆。小説とお酒と音楽とドラマがあればだいたいご機嫌。