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37年前、恋も仕事もオシャレに決めた“青春刑事ドラマ” トレンディの夜を彩った“フジ月9枠”の衝撃

  • 2025.5.5
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(C)SANKEI

1988年、テレビの中に“軽快な都会の香り”が流れ込んだ。

「37年前の冬、どんなドラマに胸をときめかせていたか覚えてる?」

昭和から平成へ向かう直前の日本は、バブル経済の真っただ中。街は活気にあふれ、ファッション、音楽、グルメ……すべてが“今が一番アツい”と信じられていた。そんな時代を象徴するように、ひとつのドラマがフジテレビの月曜夜9時に登場する。

『君の瞳をタイホする!』ーー1988年1月4日放送開始。

タイトルのインパクト通り、“ラブコメ×刑事ドラマ×トレンディ”という、当時の“すべて”が詰まった作品だった。

明るくて、軽くて、どこか切ないーー新時代の都会派ドラマ

物語の舞台は、渋谷の道玄坂警察署。ファッションセンス抜群の刑事たちが、恋に悩み、仕事に奔走しながら、事件を解決していくーーという、“事件より恋愛が主役”のスタイルが斬新だった。

主演は陣内孝則。相手役には浅野ゆう子。そのほか柳葉敏郎、三上博史、石野真子など、後にトレンディドラマの主役級となる俳優たちが顔を揃え、“オトナの青春群像劇”として高い支持を集めた。

当時の若者たちの“憧れの生き方”がこのドラマにはあった。音楽、服装、恋愛観、部屋のインテリアまで、「君タイ」を真似することが“流行”だった時代だ。

なぜ『君の瞳をタイホする!』はヒットしたのか?

最大の魅力は、“刑事ドラマなのに事件が軽い”という逆転の発想。本来、刑事ものといえばシリアスで重厚なストーリーが主流だった中で、この作品はラブストーリーと会話劇に重きを置き、事件はあくまで“人間模様のスパイス”として扱った。

さらに、当時としては珍しくロケ中心の撮影で、渋谷・代官山などのリアルな街並みが映されることで、“自分もそこにいるような臨場感”が視聴者の共感を呼んだ。

主題歌は、久保田利伸の「You were mine」。ソウルフルで大人っぽいこの楽曲が、ドラマの世界観にぴったりハマり、「ドラマ×音楽」の相乗効果を生み出した。

トレンディドラマの“走り”として、文化を動かした

この作品の成功は、以降のフジテレビ“月9”枠に大きな影響を与える。『抱きしめたい!』『東京ラブストーリー』『101回目のプロポーズ』など、90年代の月曜9時ドラマの礎を築いたとも言われている。

“事件が主軸ではなく、登場人物の気持ちが主軸”という構造は、2020年代の作品にさえ受け継がれる、ドラマの一つの方向性を示した。

37年経っても、軽やかさは色褪せない

『君の瞳をタイホする!』は、当時を生きた人たちの“月曜夜の記憶”として今も心に残っている。

ファッション、音楽、セリフ、ロケ地……どれを取っても、“あの頃の東京”を思い出すためのピースが詰まっている。そして何より、このドラマは“自由に恋して、自分らしく働いて、仲間と笑う”という、普遍的な憧れを描いていた。

令和の今、“理想のチーム”、“恋と仕事のバランス”を模索している人にとっても、あの頃のドラマが投げかけた問いは、案外今の方がリアルに響くのかもしれない。


※この記事は執筆時点の情報です。