「最近、急に白髪が増えた気がする」――そんなふうに感じたことはありませんか?白髪は年齢とともに増えていくものですが、短期間で急激に目立つようになった場合は、加齢だけでは説明できないケースもあります。実は、白髪の増加には“体の異変”が関係していることがあるのです。外見の変化に気づいたときこそ、体の内側からのサインに目を向けてみることが大切です。
白髪が増えるメカニズムと「加齢以外の原因」
白髪は、髪の毛の色素を作る「メラノサイト」という細胞がうまく働かなくなることで発生します。加齢によってメラノサイトの働きが低下するのは自然な現象ですが、それ以外にもさまざまな要因が白髪を気づかぬうちに悪化させています。
代表的な要因のひとつが精神的ストレスです。強いストレスがかかると自律神経やホルモンバランスが乱れ、メラノサイトの機能に悪影響を与えることが分かっています。また、慢性的な睡眠不足や栄養不足も白髪を増やすリスクを高めるので、なるべく避けてください。とくにビタミンB12、鉄分、亜鉛などが不足すると、髪の健康を支える代謝機能が低下しやすくなります。
さらに見落としがちなのが生活習慣病やホルモン異常といった内科的要因です。たとえば、甲状腺ホルモンの異常(バセドウ病や橋本病など)は髪の色や質に影響を与えることがありますし、肝機能や腎機能の低下も、髪に十分な栄養を届ける力を弱めてしまう可能性があります。
白髪が“体の異変サイン”になる理由
髪の毛は生命維持に直接関わらない部分のため、体調が悪くなると優先順位が低くなり、真っ先に栄養供給が後回しになります。つまり、髪のトラブルは体内の不調が表面化した「後発的なサイン」であることが多いのです。
特に、急激な白髪の増加は慢性的な血行不良や内臓の働きの低下と関係している場合があります。血液の循環が悪くなると、頭皮の毛根に十分な酸素や栄養が届かなくなり、色素を作る細胞の働きが鈍ってしまいます。こうした血流の悪化は、冷え性、運動不足、長時間のデスクワークなどからも引き起こされます。
また、女性の場合は更年期によるホルモンの変化も見逃せません。女性ホルモンのエストロゲンには、髪のハリやツヤ、色を保つ働きがあります。40代以降になるとエストロゲンの分泌が減少しやすく、それが白髪の増加にもつながってきます。
白髪の出る場所にも注目すると、体調のサインが見えることもあります。たとえば、頭頂部や前髪の生え際に集中して白髪が増えてきた場合、胃腸の不調やホルモンバランスの乱れが疑われるケースもあると指摘されています。
白髪の変化は“体調の鏡”かもしれない
白髪が急に増えたと感じたとき、それはただの加齢現象ではなく、体内で何かが変化しているサインかもしれません。ストレス、睡眠不足、栄養バランスの乱れ、運動不足、さらにはホルモン異常や内臓の不調など、白髪の背景にはさまざまな「隠れた体の異変」が隠れています。
もちろん、すぐに大きな病気というわけではありませんが、「なんとなく体がだるい」「髪のツヤもなくなってきた」といった小さな変化を見逃さず、生活習慣を見直すきっかけにしてみることが大切です。白髪を染めて隠すだけでなく、内側から健康を整える意識も忘れないようにしたいですね。
監修者:三村浩章(合同会社サステア CEO、ヘアメイククール 代表、滋賀県美容組合副理事長、シャンプーソムリエ)
シャンプーソムリエの資格を持つ現役美容師。
今までに向き合ったお客様の数延べ12万人以上。
高校卒業後、神戸のサロンに勤務。その後滋賀県彦根市にCOURを出店。
ヘアショー、各種セミナー、神コレのヘアメイク、雑誌のヘアメイク、メーカーのプロダクトの企画テストなどをこなす。
またシャンプーオタクが作った「サステア」をECサイトにて販売中