結婚して家族が増えるというのは、人生の中でも大きな転機です。けれど、それが「義実家との同居」となると話は少し変わってきます。
気を遣いながらの生活、価値観の違い…戸惑いやストレスは避けられないもの。そんな中、妊娠中というデリケートな時期に、ある“ひと言”で心が大きく傷ついたというAさん(仮名)の体験を紹介します。
それは「善意」の仮面をかぶった、無神経さが引き起こした出来事でした。
妊娠中に体調を崩した私に、かけられた“まさかの一言”
結婚を機に、夫の実家で義両親と同居を始めたAさん。義母は看護師ということもあり、「体調面では少し安心かな」と感じていたといいます。
しかし、妊娠中のある日、風邪をこじらせて気管支炎になってしまいました。妊娠中ということもあり、強い薬は使えず、自然治癒に頼るしかない状況に。
その結果、症状はなかなか治らず、咳が長引き、苦しい日々が続いたそうです。
そんなある日、義母がふとAさんに向かって言ったのです。
「私らがたばこやめたら、〇〇ちゃん(Aさん)も早く治るのにねぇ」
言葉だけ見れば、“思いやり”のようにも思えるこの一言。けれどAさんにとって、それはまるで責任を回避するための皮肉のように聞こえました。
「だったら、やめてください…って心の中で何度も叫びました。でも、結局やめてくれるわけもなく、毎日副流煙にさらされる環境は変わりませんでした」
しかも、その発言をした義母は、現役の看護師。健康や妊婦への影響について十分に理解している立場にもかかわらず、自らの生活スタイルは変えようとはしなかったのです。
Aさんにとって、身体の不調以上に辛かったのは、そんな環境に「何も疑問を持たない」義家族の態度でした。
「妊婦がいる家で、タバコをやめないどころか、『やめたら早く治るのに』なんて、まるでこっちが好きで長引かせてるかのような言い方をされて、本当に悔しかったです」
義母だけでなく、義父も喫煙者。室内での喫煙が当たり前の家庭環境で、Aさんは常に煙の中で生活をしていました。
もちろん換気扇や空気清浄機があるわけでもなく、妊婦にとって最悪とも言える環境。
「そもそも気管支炎になったのも、お前らのせいでは?って思いましたよ。本当に」
けれど、当時は妊娠中ということもあり、自分の健康とお腹の赤ちゃんを優先したくて、無理に波風を立てることも避けたAさん。
「ここで何か言って関係がこじれたらどうしよう」「夫にも気を遣わせたくない」——そんな思いから、結局は言いたいことを飲み込んでしまったといいます。
「家族だからこそ」伝えるべきだった、心のSOS
出産を経て、今となっては「もっと自分の気持ちを大切にすればよかった」と感じているAさん。
「無神経な言葉や態度に対して、我慢することが『大人の対応』だと思ってました。でも、あの時はきちんと伝えておくべきだったなと後悔もあります」
特に「妊娠中」という特別な時期は、体も心も非常に繊細です。そんな時に、自分ではコントロールできない環境の中で、気を遣いながら生活することのストレスは想像以上。
家族だからこそ、本音を言うのが難しいこともあります。けれど、本当の思いやりとは、「察すること」ではなく、「聞くこと」や「歩み寄ること」なのかもしれません。
Aさんの経験は、妊婦に限らず、誰かと暮らす上での“無意識の加害性”に気づかせてくれるエピソードです。
「気づかい」と「気づけなさ」は紙一重
善意に見えるひと言が、相手を傷つけることもある。
身内だからこそ、見逃されがちな無神経な言動が、思った以上に相手の心にダメージを与えることもある。
Aさんの体験は、「看護師である義母が」「妊婦の嫁に対して」かけたひと言だったからこそ、読者の心にも強く残るエピソードかもしれません。
人と暮らすということは、当たり前の感覚を見直すことでもあります。
そして、どんなに“近しい関係”であっても、「相手の立場に立つ想像力」は常に持ち続けたいものです。
※本記事では読者の皆さんに投稿していただいた体験談を紹介しています。
アンケート実施日:2025年3月26日
投稿方法:TRILL 募集フォームより
投稿者:40代女性(会社員)