家族にとって大切な日である「結婚式」。とくに兄弟姉妹の晴れ姿を見届けるのは、人生の中でも特別な経験です。そんな感動的な一日――のはずが、思いがけない一言で心に深いモヤモヤが残ってしまった…そんな体験を話してくれたのは、当時20代だったAさん(仮名)。場所は沖縄、家族だけで行われた妹さんのリゾートウェディングでの出来事でした。
初めての沖縄、家族の思い出ができるはずの旅だった
妹の結婚式が沖縄で行われると聞いたとき、Aさんは心から楽しみにしていました。
沖縄に行くのは初めてで、結婚式という大イベントだけでなく、両親とのんびり観光をしたり、美味しいものを食べたりと、期待に胸をふくらませていたといいます。
「家族水入らずの旅行なんて、なかなかない機会でしたし、なにより妹の晴れ姿を見るのが楽しみでした」
式の前日はチャペルの下見があり、リハーサルを兼ねて座席の確認をする時間が設けられました。ホテルのスタッフが各人に声をかけて案内をしていたそのとき、思わぬ出来事が起きたのです。
「お母様、こちらへ」――私に向けられた、まさかの一言
「私に目を合わせて、“お母様、こちらへどうぞ”って言われたんです」
Aさんは当時まだ20代。母親は少し離れた場所に立っていたにもかかわらず、50代くらいの女性スタッフは、Aさんのことを母親と勘違いしたのです。
最初は耳を疑ったAさんですが、次の瞬間、心にズシンと何かがのしかかったような気持ちになりました。
若くして子どもがいてもおかしくない年齢とはいえ、自分にとってはまだ先の話。しかも、めでたい家族の式典の場で、思いがけず“母”と呼ばれたショックは大きかったといいます。
「母はちゃんとすぐ近くにいたんです。それなのに、こちらをじっと見て“お母様”って。完全に決めつけた言い方だったので、えっ?と思いました」
問題はそれだけではありませんでした。スタッフは勘違いに気づいた後も、とくに謝る様子はなく、淡々と本来の母親のもとへ向かい、業務を続けたそうです。
「その瞬間、なんだか自分がすごく否定されたような気持ちになって…。自分の見た目がそんなに老けてるの?って不安にもなりましたし、それよりも、誤解があったなら一言くらいあってもよかったんじゃないかなって」
結婚式という非日常の場であったからこそ、ひとつの言葉が心に強く残ってしまったのかもしれません。
我慢して終わったけれど…今なら、言ってもよかったかもしれない
Aさんは、そのとき感じた不快感や違和感を、結局その場では表に出しませんでした。
「妹の結婚式だったから。せっかくのお祝いムードを壊したくなくて、ぐっと飲み込みました」
ウェディング会社に苦情を入れることも一瞬考えたそうですが、家族に水を差したくないという思いが勝ち、そのまま過ごすことに。しかし時間が経って思うのは、もしあのとき自分のような思いを誰かが今後もするかもしれないとしたら、ひとこと伝えておけばよかったのではないか、ということ。
「やっぱり、人に対して“見た目で決めつけること”って、想像以上に失礼なことだと思うんです。お祝い事の場だからこそ、誰にとっても気持ちよく過ごせるように配慮してほしかったなと、今でも思います」
Aさんのように、日常ではなかなか味わわない体験をすることがあるのが、冠婚葬祭の場でもあります。誰かの言葉や態度が、思い出を台無しにしてしまわないよう、ちょっとした気配りが大切です。
まとめ
Aさんのエピソードは、「配慮の大切さ」を改めて考えさせてくれます。
接客業に携わる人はもちろん、日常生活のなかでも、相手がどう感じるかを思いやる気持ちを忘れないようにしたいものです。
また、誰かのために遠慮する優しさも素敵ですが、自分の気持ちにももう少し正直になってもいいのかもしれませんね。
※本記事では読者の皆さんに投稿していただいた体験談を紹介しています。
アンケート実施日:2025年3月24日
投稿方法:TRILL 募集フォームより
投稿者:40代女性(会社員)