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“国民的俳優”ついに大河ドラマ主演決定…!戦隊シリーズから時代劇まで“見ないともったいない”名作5選

  • 2025.3.24

NHK大河ドラマの主演。それは俳優・松坂桃李を応援するファンにとって、長年の悲願だった。これまで松坂は、2014年の『軍師官兵衛』と2019年の『いだてん〜東京オリムピック噺〜』という2本の大河ドラマに出演したが、両方とも主演ではなかった。前者では主人公・黒田官兵衛(岡田准一)の息子・黒田長政、後者では主人公の1人である田畑政治(阿部サダヲ)の右腕的存在・岩田幸彰を演じ、それぞれ印象的な主要キャラクターではあった。それゆえに、「今度こそは主演!」と願わずにはいられず、新作の主演発表の度に固唾を呑んだ。そしてついに、2027年の『逆賊の幕臣』の主演に決まった時は、喜びで胸がいっぱいになった。

ハマり役になりそうな予感がする大河ドラマの主人公

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(C)SANKEI

『逆賊の幕臣』で松坂が演じるのは、幕臣・小栗上野介忠順(おぐりこうずけのすけただまさ)。“勝海舟のライバル”と言われた人物だが、明治新政府に「逆賊」とされ、歴史の闇に葬られたため、あまり知られていない主人公だ。2500石の名門旗本で、天才的なエリート官僚。そして、周囲を呆れさせるようなオタク気質で、日本初の株式会社設立など、さまざまな改革を推進。武士でありながら経済に明るく、何度も勘定奉行を務めたという。松坂が演じている姿が目に浮かび、彼にとってハマり役になりそうな予感がする。2027年が今から待ち遠しい!

念願の大河ドラマ主演が発表された後、デビュー当初から彼を応援してきた筆者は、『松坂桃李の出演作品』について執筆する機会をいただいた。おすすめ作はかなり多いが、今回は主演作だけに絞り、松坂の魅力をたっぷりと感じられる5作品を厳選。筆者独自の視点で紹介していく。「あれが入っていないなんて」と不満に思う人もいるかもしれないが、どうかご容赦いただき、この5作を観れば“桃友”(松坂のファンの呼び名)にならずにいられないと筆者が感じる作品を選んでみた。

第5位『離婚しようよ』

松坂が新人議員役を演じるコメディ・ドラマ。選挙が終わったら、夫婦仲が冷め切った妻と離婚しようと決めるが、妻が新しい恋をすることには納得できず、右往左往する様子が面白い主人公。松坂は、ダメな部分が多い主人公を見事に表現し、演技の引き出しの多さを知らしめた。

結婚5年目の東海林夫妻は、夫婦生活の危機を迎えていた。父の地盤を引き継ぎ、愛媛で初当選を果たした新人議員の大志(松坂)は、国会で数々の失態を重ねた挙句、女子アナウンサーとの不倫が報じられてしまう。一方、妻で女優のゆい(仲里依紗)は、愛媛を舞台にした連続ドラマ『巫女ちゃん』で大ブレイク。国民的な支持を集めている。2人は仕事や世間体のためにおしどり夫婦を演じてきたが、ほとんど会話もなく、妊活にも疲れ、離婚へと向かう。

お坊ちゃん議員の大志は、ハッキリ言ってあまり頭がよろしくないが、とても人間的なキャラクターで、不倫しながらも妻のことも諦め切れなかったり、地元の有権者に親身に接したりと、気づけば応援したくなる主人公。議員として成長しようと奮闘する大志の姿から、現状を変えるためには選挙に行こうというメッセージが感じられ、本作への松坂の想いがしっかりと伝わってくる、素敵な作品だ。

第4位『今ここにある危機とぼくの好感度について』

好感度ばかり気にするイケメンアナウンサーが、思いがけず名門国立大学の広報課で働くことになり、大学が直面するさまざまな問題処理に振り回されながら、自分の生き方を見つけていくブラックコメディ・ドラマ。モデル出身の松坂のビジュアルが生かされつつ、当たり障りのない発言をしながら生きてきた主人公が、メキメキと成長していく過程を松坂がチャーミングに体現している。

意味があるようで、実際は中身がスカスカの話ばかりするアナウンサーの神崎真(松坂)は、人気が低迷し、恩師・三芳(松重豊)の誘いで大学の広報マンに転身。理事たちに呼び出された真は、スター教授・岸谷(辰巳琢郎)の論文不正を告発した非正規研究者・みのり(鈴木杏)に接触するよう命じられるが、彼女は真がほんの一時期付き合った元カノだった。

大学で次々に巻き起こる不祥事に振り回されるも、その場しのぎで逃げ切ろうとして追い込まれていく真。番組ポスターには「むずかしいことは考えない。えらい人には好かれたい。それが、ぼくの生きる道」と書かれていて、ダメダメな雰囲気でグデーッと横向きに倒れている真に扮する松坂が最高だ。物語の背景には現代社会が抱える矛盾がはびこっており、やがて好感度よりも大事なことに逃げずに向き合うようになる真を通して、本作にも深いメッセージが込められていることがわかってくる。視聴者にエンターテインメントを届けながら、気づきを与えてくれる作品に出演し続ける俳優・松坂桃李の魅力が詰まっている。

第3位『侍戦隊シンケンジャー』

松坂の俳優デビュー作。侍をモチーフにした本作は、スーパー戦隊シリーズの中でも人気が高い。主演の松坂は、レッドで“殿”の志葉丈瑠役。当時、松坂に初めてインタビューした筆者は、ビジュアルもさることながら、彼の人柄の良さに心を打たれ、この先ずっと応援していきたいと思った。ライター活動をする中で、こういった経験は稀だったので、忘れられない作品となった。

この世とあの世の狭間を流れる三途の川に棲む妖怪外道衆。侍戦隊シンケンジャーは、はるか昔から人間たちを襲って、苦しめてきた外道衆と戦い続けてきた。志葉家の現当主である丈瑠と、家臣の子孫である4人の若者たちは、力を合わせて外道衆に立ち向かう。

デビュー後、すぐに殺陣のあるアクションに挑戦することになった松坂。毎回、ハードな撮影に臨みながら、難しい感情を表現する演技を学んでいった。というのも、本作の後半、丈瑠の人物背景において、視聴者を仰天させるような大きなどんでん返しがあり、松坂は新人ながら、主人公の苦悩を繊細に体現しなければならなかったのだ。この時から、日本を代表する俳優の1人となる道へと続く、彼の役者人生が始まった。必見のデビュー作だ。

第2位『あのときキスしておけば』

夢もなく覇気もなく、漫画を読むことが唯一の趣味だというスーパーの従業員が、大好きな漫画の作者と恋に落ちるも、彼女は“おじさん”と入れ替わってしまう異色のラブコメディ。番組公式サイトで「松坂桃李史上“最ポンコツキャラ”」と紹介された主人公を、松坂はものすごく愛らしく好演。SNSには「荒唐無稽な設定なのにキャラに納得感」「全人類に勧めたい恋愛ドラマ」といった声が。何度でも観たいドラマとして、ずっと心に残っている作品だ。

スーパーで青果担当として働く桃地のぞむ(松坂)は、鈍くさくて不運続き。大好きな漫画『SEIKAの空』を読むことだけを楽しみに、日々を過ごしている。ある日、『SEIKAの空』の作者・蟹釜ジョーこと唯月巴(麻生久美子)が、スーパーのレジでクレーマーに絡まれていた桃地を、華麗なキックで救い、2人は急接近。桃地に好意を抱いた巴が彼にキスを迫るが、桃地は受け入れず、後々後悔することに。なぜなら、巴は事故で亡くなってしまい、魂が“おじさん=田中マサオ”(井浦新)に入ったため、今後キスをするなら、マサオとするしかなくなったからだ……。

本作は、見た目だけだとBLのようだが、マサオの中身は巴なので、かなり複雑なラブストーリーとなっている。彼女への想いを募らせる桃地の純愛が愛おしく、松坂と井浦が演じる2人の恋模様がほほ笑ましくてたまらなくなる。スーパーの青果コーナーでアルバイトをした経験があるという松坂と桃地が重なり、毎エピソード、桃地を応援しながら恋の行方を見守った。キュートすぎる松坂を堪能してほしい。

第1位『居眠り磐音』

松坂に「こんな役を演じてほしかった!」と思いながら、全編釘付けになった時代劇映画。春風のように穏やかで、誰に対しても礼節を重んじる優しい人柄に加え、剣も立つ主人公・坂崎磐音。浪人の磐音は、昼間はうなぎ屋で、夜は両替屋の用心棒として働いている。うなぎ屋では近所の子どもたちと明るく会話し、用心棒を務める時は華麗な剣さばきで悪党を討つ。愛らしさと格好良さをあわせ持つ磐音は、松坂にぴったりの役柄だ。

磐音は、故郷・豊後関前藩で起きた、ある哀しい事件により、2人の幼馴染みを失い、祝言を間近に控えた許嫁の奈緒(芳根京子)を残して脱藩。すべてを失い、浪人の身となった彼は江戸で長屋暮らしを始める。長屋の大家・金兵衛(中村梅雀)の紹介で仕事を得て、次第に周囲から信頼されるようになった磐音は、金兵衛の娘・おこん(木村文乃)からも好意を持たれる。そんな折、幕府が流通させた新貨幣をめぐる陰謀に巻き込まれるが、磐音は江戸で出会った大切な人たちを守るため、哀しみを胸に悪に立ち向かう。

江戸での明るい笑顔の磐音は、ちょっと天然っぽい面を感じさせ、松坂そのもののイメージ。だが、友を失った苦悩の表情や、最愛の人である奈緒がたどった哀しい運命を知った時の涙を流す場面での高い演技力は、『侍戦隊シンケンジャー』以降、磨いてきた技術を感じさせる。最も好きな松坂桃李主演作なので、続編を切望している。

さまざまなキャラクターを演じている松坂桃李

松坂は、好感を抱けないような悪役的なキャラクターを怪演したり、心に傷を抱えた人物をシリアスに熱演することも多々あるが、今回は松坂自身の人柄が反映されていたり、愛らしさが感じられる主人公を演じている作品を5本選んだ。これらを観て、“桃友”が増えてくれたら何よりだし、『逆賊の幕臣』への興味を深めてくれたら幸甚だ。



ライター:清水久美子(Kumiko Shimizu)
海外ドラマ・映画・音楽について取材・執筆。日本のドラマ・韓国ドラマも守備範囲。朝ドラは長年見続けています。声優をリスペクトしており、吹替やアニメ作品もできる限りチェック。特撮出身俳優のその後を見守り、松坂桃李さんはデビュー時に取材して以来、応援し続けています。
X(旧Twitter):@KumikoShimizuWP