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社会現象となった6年前の“考察系ドラマ” 異例の2クール放送、爪痕を残した“名作”を振り返る

  • 2025.4.1

秋元康が企画・原案を務めた2019年放送のドラマ、日本テレビ系『あなたの番です』。「あな番」という通称で人気を呼んだ本作は、謎が謎を呼ぶストーリーが話題を集め、放送当時、視聴者がSNSでさまざまな考察が繰り広げられた。その後の“考察系”ドラマの火付け役となった。1クールを経て衝撃ラストを迎えると、まさかの第2章がスタート。その後2021年には、異なる世界線の劇場版も描かれるなど、社会現象とも呼べる大きな爪痕を残した本作の魅力を改めて振り返る。

(C)SANKEI

複雑な人間関係、クセ強キャラクターの存在で犯人探しの考察が白熱!

15歳年の離れた新婚夫婦・手塚菜奈(原田知世)と翔太(田中圭)は、マンション「キウンクエ蔵前」に引っ越し新生活をスタートさせた。菜奈はマンションの住民会に出席するが、そこでまさかの「お互いに殺したい人物を発表し合う」交換殺人ゲームが行われることに。住民たちがただのゲームだと思っているなか、投票用紙には名前が書かれていた管理人が死亡した。交換殺人ゲームをきっかけに、マンション住民に関係する人物が次々に死亡し…。

連続殺人事件の真相解明を軸に、毎回予想だにしない展開が待ち受け、視聴者を翻弄し、刺激し続けた本作。凄惨な描写もある一方で、児島俊明役の我が家・坪倉由幸、藤井役の片桐仁と久住役の袴田吉彦、のコミカルな掛け合いなども、視聴者が沸いた。また、袴田は、久住役と袴田本人の一人二役を担い、現実世界のスキャンダルネタが描かれるなど“カオス”な展開も…!

次々に明かされる住人たちの複雑な人間関係や、クセ強なキャラクターたちが怪しさを漂わせ、視聴者の考察も白熱していた。なかでも、早苗を演じた木村多江の怪演は「目が離せない」「狂気通り越して笑っちゃった」大きな反響を呼んだ。

菜奈と翔太ら、住民たちが事件の真相を追う中、第一章は菜奈の死という残酷なラストを迎え、ドラマは異例の2クール放送に突入したのだ。

愛する妻を奪われた“翔太”田中圭が奔走する「反撃篇」

第二章「反撃篇」は、奈菜を殺された翔太、新たに引っ越してきた住民・二階堂(横浜流星)、そして黒島(西野七瀬)らが中心となり、黒幕探しが本格化する。そんななか、黒島と同じ大学の院生でAIの研究をしている二階堂の協力を得て、交換殺人とは異なる快楽殺人の疑いが浮上する。

住人の新たな秘密が明らかとなったり、怪しげな新キャラクターも登場。第二章では、奈緒が演じる尾野が翔太に付きまとうようになり、奇行もエスカレートしていく。不気味さがさらに増した尾野が、視聴者を翻弄した。

二階堂と黒島の恋の行方も描かれつつ、黒島の過去や関係者の秘密も徐々に明かされていく。そんななかで、翔太の菜奈への愛を感じられるある違和感がきっかけで、事件の真相解明が加速し、衝撃の事実にたどり着く。

思わぬキャラクターの動きでミスリードも誘った第二章。2クールで展開した壮大な物語に、放送終了後、ロスの声が続出し「あな番の無い日曜がこんなに寂しいなんて」「20話じゃ足りないよ」という声も上がっていたほど。キャラクターも物語も視聴者を震撼させるほどのインパクトを残し、その緻密な伏線描写は今見てもドキドキさせられずにはいられない。

そして、2021年に劇場版が公開。劇場版では、交換殺人ゲームが始まらなかった世界線で物語が展開する。手塚夫妻がマンションに引っ越してから2年後、船上ウェディングパーティーで連続殺人事件が起こり…。ドラマで登場した人物が新たな立ち位置&姿で登場したり、新キャラクターも登場。ドラマとあわせて、パラレルストーリーの劇場版も楽しみたい。



ライター:小松加奈
ライター/編集者。音楽・映画・ドラマ・アニメなどのエンタメ系を中心にインタビュー/レビュー/コラム記事などを手掛ける。

※記事内の情報は執筆時点の情報です