「42年前の今頃、何が流行していたか覚えてる?」
1983年といえば、音楽では松田聖子や中森明菜がアイドルブームを牽引し、映画では『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』が世界的ヒットを記録。ゲーム業界ではファミリーコンピュータ(ファミコン)が発売され、日本の家庭にゲーム文化が広がり始めた時代だった。
そんな中、日本の映画界に語り継がれる名作が誕生した。
『時をかける少女』——1983年7月16日公開。
筒井康隆の小説を原作に、細田守の2006年版リメイクとともに、今もなお多くの人々に愛されるこの作品。その魅力と、時代を超えて語り継がれる理由を振り返ってみよう。
日本中を魅了した名作映画——『時をかける少女』とは?
『時をかける少女』は、筒井康隆による同名小説を原作とした映画で、1983年版は大林宣彦監督、主演は原田知世が務めた。
主人公の少女が偶然の事故によって時間を跳躍(タイムリープ)する力を得たことで、日常が変化し、やがて切ない結末へと向かっていく青春SF作品。甘酸っぱい初恋の感情と、不可逆な時間の流れが織り成す物語は、多くの観客の心を打った。
この映画は、大林宣彦監督の幻想的な映像美と原田知世の透明感あふれる演技によって、「青春映画の金字塔」と呼ばれる作品となった。
2006年には細田守監督によるアニメ映画としてリメイクされ、新たな視点から『時をかける少女』が語られることとなる。
なぜ『時をかける少女』は時代を超えて愛されるのか?
まず第一に、この作品の持つ「時間」をテーマにした普遍性が挙げられる。誰しも「もし過去に戻れたら」「未来を変えられたら」と願ったことがあるはず。その想いを映像化し、青春のひとときと絡めた本作は、多くの世代の心に響く。
また、主人公の成長と、切ない恋愛模様も共感を呼ぶポイント。何気ない日常が、ある瞬間から大きく変わってしまう——。そんな儚さと、時間を戻したくても戻れないもどかしさが、この作品の持つ魅力のひとつだ。
そして、映像美と音楽の力も忘れてはならない。1983年版では、大林監督の独特なファンタジー要素のある演出と、原田知世が歌う主題歌『時をかける少女』が作品の世界観をより引き立てた。2006年版でも、奥華子の『ガーネット』が印象的に使われ、感動をより深める要素となった。
リメイク版の成功と新たな『時をかける少女』
2006年、細田守監督によるアニメ版『時をかける少女』が公開される。
原作の設定を踏襲しながらも、主人公を別の少女に置き換えた「その後の物語」として新たに構築されたこの作品は、大ヒットを記録。特に、映像表現の進化と、疾走感あふれるストーリー展開が高く評価された。
このリメイクの成功によって、『時をかける少女』は単なる過去の名作ではなく、現代にも通じる普遍的なテーマを持つ作品であることが証明された。
時代を超えて愛される名作
1983年に誕生した『時をかける少女』は、2006年のリメイク版を経て、今なお多くの人々の心に残る作品となっている。
「時間を超えることができたら——。」
誰もが一度は抱くこの想いを、映画として鮮やかに描き出した本作。
42年経った今もなお、そのテーマは色褪せることなく、これからも語り継がれていくだろう。
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