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宗教団体からクレーム殺到…【映画界で物議を醸した問題作品】イエスの生死を描いた衝撃作が“世界を揺るがせた”理由

  • 2025.3.11

映画の中には、観た人の間で大きな議論を引き起こすほどの衝撃的な内容を描いた作品も少なくありません。今回は、そんな映画界で最も“物議を醸し出した”問題作品を5選まとめました。

本記事ではその中から、1989年公開の映画『最後の誘惑』をご紹介します。十字架にかけられ死を目前にしたキリストが見た、“幻覚”をテーマにした本作が物議を醸し出した理由とは…?

※この記事は、個人的な感想をもとに作品選定・制作された記事です。
※ 一部、ストーリーや役柄に関する感想を含みます。

死を前にキリストは何を想う…映画界で“物議を醸し出した”問題作品『最後の誘惑』

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イメージ画像:Canva
  • 作品名:映画『最後の誘惑
  • 公開日:1988年8月12日

あらすじ

ニコス・カザンザキスの小説『キリスト最後のこころみ』を原作に、 マーティン・スコセッシ監督が映画化。

イエス・キリスト(ウィレム・デフォー)は、常に聞こえてくる謎の声に頭を悩ませていました。しかし、その声は神からの呼びかけであると気付いたイエスは、“預言者”として神の声を広めることを決意します。

預言者となったイエスに、人々は従うようになります。その後、“救世主”となってさまざまな奇跡を起こすイエス。しかし、弟子であるユダ(ハーヴェイ・カイテル)の裏切りによって、イエスは危険人物として処刑されることになります。

十字架に張りつけられたイエスは、死を目前にしてある幻覚を見るのでした—。

宗教問題でクレーム殺到…映画『最後の誘惑』物議を醸し出した理由とは?

作中、死を目前にしたイエスの前に女の子の姿をした天使が現れます。天使はイエスに向かって、神の計らいであるとして人としての人生を楽しむように告げるのです。天使と神に助けられたイエスは、結婚した後に多くの子どもにも恵まれ、幸せな日々を過ごします。その後、死を迎えようとしていたイエスはユダの発言によって、天使が悪魔であることに気付き絶望して息絶えたところで物語は幕を閉じます。

聖書には、イエスは神の子として記載されています。“神の子”と言っても、「神の子ども」というわけではなく、「神そのもの」という意味合いがあります。つまり、聖書においてイエスは人の姿かたちをした神なのです。

一方、映画『最後の誘惑』ではイエスを神の子ではなく、人の子として描いた部分が物議を醸し出したようです。特に、キリスト教関連団体から批判が殺到し、上映禁止を求める抗議運動も広まったのだとか。その影響から、キリスト教信者の多い国や地域では、実際に上映禁止となったそうです。

原作者と監督の野心を感じる…固定観念を打ち破った衝撃作

映画『最後の誘惑』は、イエスを斬新な解釈で描いたことで物議を醸し出した作品です。キリスト教関連団体からは批判を受けましたが、固定観念を打ち破った本作を高評価する方も見られました。

キリスト教の映画と言いつつ、めちゃめちゃ映画で面白かった。スコセッシの描きたいものがわかりやすく描かれてるのがとてもいい。名匠は名匠ですね。
スコセッシで一番好きな映画だな。ピーター・ガブリエルの音楽もいい。パウロが家庭をもったキリストを否認するシーンが印象的。
信仰が身近にないニンゲンからすれば、ひとつの価値観、ひとつの宗派という柔軟で軽い解釈ができてしまう。

まだ映画『最後の誘惑』を観たことがない方、また本記事を読んで映画『最後の誘惑』に興味を持っていただけた方は、“スコセッシ節”が効いた本作をぜひ目撃してみてください!


ライター:天木拓海
映画・アニメ・ドラマなど、エンタメ作品を観ることを趣味としているライター。エンタメ関連のテーマを中心に、作品考察記事/コラム記事などを手掛ける。

※記事は執筆時点の情報です。