一見とても暗算できないような問題でも、計算方法を変えるとすぐに答えが出てしまうことがあります。
今回は、そんな問題の一つに挑戦です。筆算でも答えを出すのに時間がかかりそうですが…。さて、あなたは10秒以内に答えを出せるでしょうか?
問題
次の計算をしなさい。
割り切れない場合は、答えを整数にして余りを出しなさい。
8002÷9
※制限時間は10秒です。
解答
正解は、「889あまり1」です。
どうやって計算すれば、制限時間内にこの答えにたどり着けるのでしょうか?
次の「ポイント」で、暗算方法を解説します。
ポイント
この問題は、「9で割る割り算」である点がポイントになります。
9で割る割り算は、次のように「割られる数の桁を順番に足す」ことで求められます。
<四桁の数1000a+100b+10c+d÷9の暗算方法>
※aは千の位、bは百の位、cは十の位、dは一の位の数を表す
1.答えの一番大きい位(ここでは百の位)=a
2.答えの二番目に大きい位(ここでは十の位)=a+b
3.答えの三番目に大きい位(ここでは一の位)=a+b+c
4.余り=a+b+c+d
※余りが9以上になった場合は、一つ上の手順に9の個数分の数を繰り上げる。
では、早速この方法で今回の問題を暗算してみましょう。
8002÷9
1.答えの一番大きい位(ここでは百の位)=8
2.答えの二番目に大きい位(ここでは十の位)=8+0=8
3.答えの三番目に大きい位(ここでは一の位)=8+0+0=8
4.余り=8+0+0+2=10 10は9以上なので、一つ上の手順(一の位)に繰り上げを行う。
<繰り上げの手順>
10=1+9×1なので、この式には9が1個含まれている。よって1を「一の位」に繰り上げる。
答えの一の位 8+1=9
あまり 1
答えは889あまり1
割られる数に0が多く含まれているので、この暗算方法ならスピーディーに答えが出せますね。
暗算方法が成り立つ理由は?
問題の答えが出たところで、どうしてこのような暗算方法が成り立つのか、考えてみましょう。
四桁の数を表す「1000a+100b+10c+d」という式を、9の倍数が現れるように変形していきます。変形する部分を強調した太字部分に注目してください。
1000a+100b+10c+d
=900a+100a+100b+10c+d ←1000aを900aと100aに分解
=900a+100(a+b)+10c+d
=900a+90(a+b)+10(a+b)+10c+d ←100(a+b)を90(a+b)と10(a+b)に分解
=900a+90(a+b)+10(a+b+c)+d
=900a+90(a+b)+9(a+b+c)+(a+b+c)+d ←10(a+b+c)を9(a+b+c)と(a+b+c)に分解
=900a+90(a+b)+9(a+b+c)+(a+b+c+d)
=9{100a+10(a+b)+(a+b+c)}+(a+b+c+d)
「9{100a+10(a+b)+(a+b+c)}+(a+b+c+d)」を9で割ると、答えは「100a+10(a+b)+(a+b+c)」になり、あまりが(a+b+c+d)になります。これは、先に紹介した暗算手順と一致しますね。
まとめ
今回の問題では、9で割る問題の暗算方法について紹介しました。割られる数の桁を足していくだけなので、簡単でしたね。
この暗算方法は、インド式計算方法の一種として知られています。便利な暗算方法がたくさんありますので、興味がある人は他のインド式計算法についても調べてみてくださいね。
※当メディアでご紹介する数学関連記事においては、複数の解法をもつものもございます。 あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
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