工夫して10秒で計算してみて！「38+38−38×38÷38」→暗算できる？

今回は、二桁の数だらけで、さらに四則演算がすべて含まれた複雑な式の計算問題に挑戦です。

一見とても暗算できそうにありませんが…。式の特徴を生かして工夫をすれば、10秒以内の計算も可能です。

ぜひチャレンジしてみてください！

問題

次の計算を暗算でしてください。
38+38−38×38÷38

※制限時間は10秒です。

正解は、「38」です。

問題の式の中には、38という数が繰り返し登場していましたね。

この特徴を使ってどんな工夫ができるのかを考えることが大事です。

詳しくは、次の「ポイント」をご覧ください。

この問題のポイントは、「掛け算と割り算を一緒に計算すること」「同じ数どうしの引き算を先にすること」です。

それぞれ順番に解説していきますね。

まず、この問題では掛け算と割り算から計算をすることに注意しましょう。

なぜなら、計算順のルールは次のように決まっているからです。

<計算順のルール>
次の順番で計算します。

1.()の中
2.掛け算・割り算
3.足し算・引き算

※同じ順番の計算がある場合は、左にあるものを優先して計算します。

今回の問題には、()は含まれていません。よって、最優先すべきは掛け算と割り算になります。

38+38−38×38÷38

計算順のルール（同じ順番の計算がある場合は、左にあるものを優先して計算する）に従うなら、掛け算をしてから割り算に進むことになります。

しかし、この問題の掛け算、38×38を暗算するのはなかなか大変です。

そこで、直後の÷38に注目しましょう。この38は直前の掛け算の掛けられる数と同じです。このような場合、割り算の答えは直前の掛け算の掛ける数になります。

■（掛けられる数）×▲（掛ける数）÷■（掛けられる数と同じ数で割る）=▲（掛ける数）
※＜成り立つ理由＞
■×▲÷■
=(■×▲)/■ ←割り算を分数で表し、■で分子分母を約分する
=▲/1
=▲

よって、今回の問題では、次のように掛け算と割り算を一気に計算することができます。

38+38−38×38÷38
=38+38−38

これで二桁の掛け算をせずとも、掛け算・割り算の答えが出ました。

※■（掛けられる数）×▲（掛ける数）÷▲（掛ける数と同じ数で割る）=■（掛けられる数）も言えます。÷38の38を直前の掛け算の掛ける数と見ても、割り算の答えは38となります。

残りは足し算と引き算です。

38+38−38

同じ順番の計算がある場合は、左にあるものを優先して計算するので、足し算→引き算の順にするのが普通です。ただし、この順番で計算すると、繰り上がりや繰り下がりの計算をしなくてはならないので、暗算しづらい部分があります。

ここで注目したいのが、38−38という引き算部分です。同じ数どうしの引き算なので、この答えは0だとすぐに分かります。しかし、引き算から先に計算するのはルール違反なのではないでしょうか？

ここで、足し算だけの式であれば、計算はどこからしてもかまわないという法則（加法の結合法則）を使います。

<加法の結合法則>
(■+▲)+〇=■+(▲+〇)

38−38は引き算ですが、38+(−38)として足し算の形に変換することができます。すると、式は足し算だけになるため、加法の結合法則が使えるようになります。

38+38−38
=38+38+(−38)
=38+{38+(−38)}←38+(−38)を先に計算する
=38+(38−38)
=38+0
=38

これで計算は終了です。

今回の問題はいかがでしたか？

38×38の部分が難しく見えるかもしれませんが、÷38に注目することで、ややこしい計算をしなくて済みます。また、式を足し算だけの形にして加法の結合法則を使うと、簡単な部分から計算を行うことが可能になります。

大前提となる計算順のルールとほかの法則を組み合わせて、計算が楽になる工夫ができないかを考えていくことがポイントですよ。

※当メディアでご紹介する数学関連記事においては、複数の解法をもつものもございます。あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。

文（編集）：VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。

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