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偶然の代役が『ひょうきん族』を変えた? 北野武が明かす“明石家さんま参入”の裏事情

  • 2025.2.3

北野武が『中田敦彦のYouTube大学』に出演。その1時間に及ぶ対談の中で、テレビ史に残る人気番組『ひょうきん族』の知られざる舞台裏が明かされた。なかでも注目を集めたのが、明石家さんまの起用の真相だ。この予期せぬ出会いは、どのように『ひょうきん族』黄金期への扉を開いたのか。

“偶然”から始まった黄金タッグ…高田純次の代打で番組を変えた明石家さんま

実は、当初の“ブラックデビル”役は高田純次だった。コント出身の純次は北野と息も合い、“タケちゃんマン”と“ブラックデビル”のコンビは順調だったという。

しかし、高田純次が番組に来られなくなった際、代打として現れたのが『さんま』だった。当時のさんまは、番組の中でも異質な存在だったという。「驚いて。さんまが言うこと聞かないのとか、台本無視とか」「こっちとの掛け合いもゼロなの。好き勝手にやっていくわけ」と、北野は振り返る。

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(C)SANKEI

「さんまのぶっとんだ違う話出てきて、これは俺、ボケだけどツッコミに回らないとダメだなと(思った)」と、北野は当時の衝撃を語る。台本通りの掛け合いではなく、自由な展開で笑いを取っていくさんまのスタイルは、それまでの『ひょうきん族』の常識を覆すものだった。

「確かに面白い。それで俺はもうこれは一緒にやるなら任せちゃわなきゃダメだと思って」。北野は、さんまの破天荒な展開に対応するため、自身の立ち位置を大きく変更することを決意する。

“いかりやさん役”から“さんまを立てる役”へ…北野武が下した大きな決断

「ドリフはいかりやさんがいて、加藤さんとか志村けんちゃんのちゃんと統率をとって、いかりやさんがビシビシやって」と、ライバル番組『8時だョ!全員集合』の特徴を説明する北野。いかりや長介がメンバーを統率する形で番組を進行していたドリフに対し、「『ひょうきん族』は『ドリフ』を負かそうと思ってやったんだけど、俺がいかりやさんをやるような感じだったの」と、当初は自身が番組の軸となる存在を目指していたという。

しかし、さんまの加入で状況は一変する。「それ(北野がいかりや役)やってたら、絶対勝てなかったの。さんまちゃんが来て、まるっきり違うことやったんで、これはもうさんまちゃんに任せるべきだ」と、番組の方向性を大きく転換する決断を下した北野。それは、自身が前面に出るのではなく、さんまの才能を最大限に活かす道を選んだということだった。

その決断は功を奏し、「それでやっと視聴率が並んだり、勝ったり負けたりなって」という状況を振り返る。しかし皮肉にも、「お互いに潰し合いになって2つともダメになっちゃった」と、北野は番組終焉の経緯も語った。

「さんまの威力はすごかった」。北野のこの一言には、当時の混沌とした状況の中で、新しい時代の風を感じ取っていた様子が垣間見える。

「時代に柔軟」「懐が深い」…視聴者が見つめた“北野武の真髄”

この舞台裏の告白からは、北野武という存在の特異性が改めて浮き彫りになった。当時を知る視聴者からも、その手腕を評価する声が寄せられている。

武さんって常に新しい物を否定しないのよな。あれだけTVで活躍してyoutubeなんか駄目だろとかも言わない。常に時代にアジャストしてバージョンアップしていてかっこいい
こみ上げる思いが大きすぎる。 子供の頃見ていたひょうきん族。そうそう、それで8時だよ全員集合を見なくなったんだ。当時の時代背景、武さん、さんまさんの生き様。すべてに感動のストーリーが濃すぎて泣けます。
たけしさんは本当に頭の良い方なんですね。子供の頃ひょうきん族観てて、いたずら好きの無茶苦茶するおじさんだとしか思ってなかったけど、無茶苦茶やってたのはさんまさんでそこにツッコミで落として笑いに換えてドリフに追いついて行ったんだね。

番組の成功は、時として偶然の産物かもしれない。しかし北野は、代打で現れたさんまの破天荒な才能を即座に見抜き、自身の立ち位置を変えることで、その能力を最大限に引き出した。

「いかりやさん役」から「さんまを立てる役」へ。その柔軟な姿勢と決断力が、後の『ひょうきん族』黄金期を生み出すことになる。まさに、プロデューサー的な眼力と、エンターテイナーとしての懐の深さを併せ持つ北野だからこその采配だったと言えるだろう。

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