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毎晩15分の“優しい世界”にSNSでも好意的な声続出「美味しそう」「見ているだけで癒される」

  • 2025.1.24
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『バニラな毎日』第1週(C)NHK

甘いものは、心に効く。たとえ糖分や脂質が多いと言われても、食べ過ぎると健康に良くないと囁かれても、この世から甘いお菓子がなくならないのは「救われている」人が多いからだ。1月20日から放送開始のNHK夜ドラ『バニラな毎日』では、パティシエ・白井葵(蓮佛美沙子)と、少々破天荒な料理研究家・佐渡谷真奈美(永作博美)が、人の心をあたたかく救うお菓子の力を教えてくれる。

クセ強な料理研究家・佐渡谷真奈美が爆誕?

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『バニラな毎日』第1週(C)NHK

賀十つばさによる原作小説『バニラな毎日』を映像化した本作。蓮佛美沙子演じる白井葵は、パティシエとして自分のお店を経営してきたが、資金難により悔しくも閉店。カフェのバイトで食い繋ぎながら、お店をそのまま居抜きで借りてくれる人を探すため、家賃を払い続けている。

そんななか、突如あらわれたのが、少々クセの強い破天荒な料理研究家・佐渡谷真奈美。真奈美は葵が経営していたお店のことを知っており、葵の現状を知るや否や「貸してほしい」とゴリ押し。真奈美の「料理研究家」という肩書きに胡散臭さしか感じない葵は、お店への愛着心から貸すのを拒むものの、押し負けてしまう。

真奈美が葵のお店でやりたいことは、お菓子教室。2話では、生徒である順子(土居志央梨)に向けて、マンツーマンでフルーツタルトの作り方を教える。しかし、明らかにお菓子づくりに不慣れな順子を前に、真奈美は一切手を貸さない。最低限の指示だけしている様子は、葵からすれば「失敗したって構わないと思っている」と受け取られても仕方ないほど。

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『バニラな毎日』第1週(C)NHK

真奈美は、通常であればしっかり湯煎しないと上手く溶けないチョコレートも、直接お湯をぶっかければ大丈夫! と教えるような料理研究家だ。パティシエとしてお菓子づくりを生業にしてきた葵にとって、まさに破天荒としか言えない手法である。

それでも、不思議と真奈美のやり方は間違いではない。そのことを実感するごとに、葵の真奈美に対する見方が変わっていくのがわかる。

毎晩15分、お菓子の前で深呼吸

真奈美を演じる永作博美は、これまでもドラマ『半径5メートル』(2021)や『舞いあがれ!』(2022)などNHK作品で存在感を示してきた。『バニラな毎日』で演じる真奈美も、疲れた心にそっと寄り添うような、あたたかさと陽気さを兼ね備えたキャラクターを体現している

フルーツタルトづくりを“失敗”してしまった順子は、真奈美や葵に手厳しい言葉を投げて帰ってしまう。しかし真奈美は次回の教室もあると信じ、葵に「ねえ、次、何つくったら上手くいくと思う?」と聞く。葵の提案によってタルトタタンをつくることに決定。順子は無事に、2回目のお菓子教室にも姿を見せてくれた。

彼女が不安定だったのは、外資系のコンサルタント会社で働く自分の境遇について、過度なプレッシャーと焦りを覚えていたからだった。せっかくやりたい仕事に就けたにも関わらず、周囲から無遠慮にせき立てられ、休職に追い込まれていた順子。お菓子づくりに対しても、どうしても肩に力が入ってしまう彼女に対し、真奈美は「深呼吸して」と語りかける。

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『バニラな毎日』第1週(C)NHK

真奈美によると「タルトタタンってね、失敗からできたお菓子なの」。偶然の産物によって出来上がったお菓子は、店の名物になるほどの出来栄えとなった。たとえ周りからは“失敗”と受け取られても、後からいくらでも覆すことはできる。バニラの香りを深呼吸で吸い込みながら、少しずつ心を落ち着かせていく順子の精神に、真奈美からの「自分の心の声だけは、聞き逃さないであげてね」という語りかけは隅々まで染み入ったはずだ

毎晩15分、お菓子の前で甘い香りを深呼吸するような喜びと静謐さに満ちる『バニラな毎日』。作中で仕上げられるお菓子に、SNS上でも「美味しそう」「見ているだけで癒される」と好意的な声が多い。次は、どんなめくるめくお菓子の世界を見せてくれるのだろう。

NHK 夜ドラ『バニラな毎日』毎週月曜~木曜よる10時45分放送
NHKプラスで見逃し配信中

※記事は執筆時点の情報です



ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。Twitter:@yuu_uu_