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「こういうの待ってた」放送のたびにXトレンド入り!これぞドラマの醍醐味… “木10”が異例の大ウケ

  • 2025.5.22

4月24日から放送が始まった芳根京子主演の『波うららかに、めおと日和』が、放送するたびに、X(旧Twitter)のトレンド1位を獲得するなど、大きな話題を呼んでいる。シンプルなラブコメのたまらない可愛らしさにメロメロになっている人が多いようだ。

昭和初期ならではの恋模様

本作は講談社の漫画アプリ「コミックDAYS」にて連載中の、西香はちによる同名漫画が原作。恋愛経験のないウブな女性・関谷なつ美(芳根京子)と口下手な帝国海軍中尉・江端瀧昌(本田響矢)が結婚をきっかけに出会ったことで始まる恋模様が描かれている。時代は昭和11年。現在放送中の朝ドラ『あんぱん』でも描かれているように、そういった結婚が珍しくなかった時代だ。

マッチングアプリでもなければ、お見合いでもない。相手と話したことも会ったこともない状態で結婚したなつ美と瀧昌の夫婦関係は、否が応でも相手を意識せざるを得ない。互いに恋愛に不慣れな二人は、第1話では手が触れ合っただけで戸惑い、引っ越しの片付けをするだけでも一苦労。相手の話すことに動揺し、緊張するものの、相手の優しさを受け取れば新鮮に喜ぶ。結婚から始まった関係であっても、互いに相手を大切にしようという感情が滲み出ており、不器用に距離を縮めていく二人が愛らしくて仕方がない。

そしてこの作品は、二人の戸惑う胸の内を解説するかのような心の声がたっぷりと描かれている。なつ美が何を考えているのか、瀧昌がどのようになつ美を意識しているのかを知っているのは視聴者のみ。この“神の視点”から二人を見守れるというのが本作の醍醐味だ。うまく思いを伝え合えない二人が、互いに翻弄されながらも、喜んだり、寂しくなったりしているのを見ていると、誰かを愛おしく思う気持ちの尊さを味わうことができる。

令和に昭和のラブコメがウケるワケ

現代を舞台にしたラブコメでヒットを飛ばすドラマは少なくなりつつある。恋愛だけに比重を持たせることができずに、仕事観や結婚観、親子関係、ジェンダーの問題、または過激な不倫もの、ミステリー要素などと掛け算しなければ、現代を舞台にしたラブコメは成り立たなくなっている。現代ものでシンプルなラブコメは難しいという時代だ。そういったさまざまな要素を持つ物語や社会問題を背景に持つラブコメももちろん面白いが、それぞれの人が多様な価値観を持つ時代に、視聴者全員に刺さる面白さを持ち、誰が見てもツッコミどころのない物語を作るのは困難を極める。

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(C)SANKEI

『波うららかに、めおと日和』は、昭和初期を舞台にしたことで、こういったハードルを見事に飛び越えている。家事と仕事の男女分業制やなつ美の献身的な態度などは、現代であれば違和感があるが、昭和初期だったら違和感なく見られる。また、昭和独特の習慣や服装、日用品、帝国海軍独自の決まりごとなどは、視聴者にとってツッコミどころではなく、知識欲を満たしてくれる部分になる。なつ美と瀧昌がただただ互いを想い合うというシンプルな恋模様に集中しながら、昭和という時代を追体験できるドラマになっているのだ。

SNSでは放送のたびに「こういうの待ってた!」「キュンキュンする!」と二人の可愛さに骨抜きになっている視聴者の声が上がっている。ストーリーはもちろん、着物や軍服なども含め、二人のビジュアルを魅力に感じている人も多いようだ。

誰かのために暮らしを守り、日々の生活に楽しみを見出すこと、誰かを愛おしく思うが故にドキドキしたり、会えないことに寂しく思ったりする感情は、令和の現代にも通じる普遍的な感情だ。ただただ、人を想うことの素晴らしさを堪能する木曜10時を楽しむ春にしたい。



ライター:古澤椋子
ドラマや映画コラム、インタビュー、イベントレポートなどを執筆するライター。ドラマ・映画・アニメ・漫画とともに育つ。
X(旧Twitter):@k_ar0202