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18年前の人気ドラマに垣間見えた、国民的女優の“真の才能” 40歳を迎えた今、注目の新作にかかる期待

  • 2025.3.24

1991年から2024年3月まで続いた日テレ水曜22時枠は、『anego』や『働きマン』など、働く女性をターゲットとしたドラマが多かった。特に、2000年代は、恋愛と仕事がバランス良く描かれた名作が多い。2007年に放送された綾瀬はるか主演のドラマ『ホタルノヒカリ』もその一つ。今や、大河ドラマのナレーションを務める綾瀬はるかの初の連続ドラマ単独主演作だ。

干物女の不器用な恋愛模様が可愛すぎる

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(C)SANKEI

『ホタルノヒカリ』は、会社では有能なOLとしてキビキビ働き、家ではジャージにちょんまげ姿で缶ビール片手に縁側でゴロゴロする干物女と呼ばれる主人公・雨宮蛍の不器用な恋愛模様が描かれる物語。面倒だと恋愛へ無関心を決め込んでいた蛍の家に、ある日会社の上司である高野誠一(藤木直人)が引っ越してきて、互いに不本意ながら同居することに。また、蛍と高野が働く部署に、ロンドンから帰国した新進気鋭のデザイナー・手嶋マコト(加藤和樹)が配属される。蛍はマコトに徐々に惹かれていき、久しぶりに恋愛をすることに。

蛍のお茶目なアホっぷりと高野の丁寧な口調ながらするどいツッコミによるコミカルなやりとり、慣れない恋愛をしたせいでマコトに対して挙動不審な態度を取ってしまう蛍がなんとも可愛らしい。また、干物女の恋愛模様だけでなく、蛍がインテリア事業部での仕事に必死に取り組む様子も描かれており、家と会社でのギャップが大きいのも魅力的だ。自宅で資料を作成したり、発想を膨らませて企画を作ったりなど、真剣な蛍の様子を見ていると、自分も仕事を頑張ろうという気持ちにさせられる。

蛍はとても不器用だ。会社で必死に頑張る分、家ではダラダラゴロゴロすることで英気を養っている。また、仕事を頑張ると、その分恋愛に意識が向けられなくなる。そんな不器用な蛍の姿には、少なからず共感できる部分がある。アホだなあと思いながらも、応援してしまうのだ。

綾瀬はるかのコメディエンヌとしての才能

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(C)SANKEI

このドラマは、蛍の心の声が主体で進行するドラマだ。綾瀬はるかのコミカルな動きに、感情豊かな声色のモノローグが重なることで、綾瀬はるかの可愛くて面白い魅力が炸裂している。最近は、『義母と娘のブルース』や『天国と地獄』『元彼の遺言状』など、綾瀬はるかはシリアスな役柄を演じることが多くなってきた。『ホタルノヒカリ』は、20代の綾瀬はるかのコメディエンヌっぷりを楽しめる作品なのだ。

『ホタルノヒカリ』は、2024年にヒットした『西園寺さんは家事をしない』の原作者・ひうらさとるが描いた同名漫画が原作の作品。松本若菜が演じた西園寺さんは、令和の働く女性が共感するヒロインだったが、蛍は女性の価値観が多様化し始めた平成を思い出させてくれるヒロインということができるだろう。

男女の感覚や、服装、メイクなど、随所に平成を感じられるが、登場人物たちが相手を思い、不器用に恋愛をする姿には、時代が変わっても共感する部分が大きい。外で頑張り、家では自分らしく、そしてありのままの自分でいられる人の側にいることが一番だというメッセージを受け取ってほしい。

6月からはNHK土曜ドラマ『ひとりでしにたい』で、主演を務める綾瀬。こちらの作品も漫画が原作の作品。死と笑いが融合した終活コメディだ。40代の綾瀬だからできるコメディエンヌっぷりに期待したい。



ライター:古澤椋子
ドラマや映画コラム、インタビュー、イベントレポートなどを執筆するライター。ドラマ・映画・アニメ・漫画とともに育つ。X(旧Twitter):@k_ar0202