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厳しい声が続いた朝ドラ『おむすび』 新章突入で好意的な意見が続々

  • 2024.12.7
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(C)NHK

糸島編から、新章にあたる「2007年 再びの神戸」編に突入した連続テレビ小説『おむすび』。「どう見たらいいかわからない」「テンションがカジュアルすぎる」など厳しい声もある本作だが、栄養士になるため栄養専門学校に入学した主人公・結(橋本環奈)の奮闘、阪神・淡路大震災の記憶、そして結の恋人・四ツ木翔也(佐野勇斗)をめぐるスランプなど、着眼点が増えてきた新章に対し「おもしろくなってきた」と好意的な声も多い。

糸島編から神戸・栄養専門学校編へ

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阪神・淡路大震災で自宅が全壊した米田家。父・米田聖人(北村有起哉)の実家である糸島へ家族で移り、農業に従事していた様子や、結が平成のギャル文化+姉の歩(仲里依紗)との関係性に向き合う過程を描いたのが物語の始まり。

続く新章では、プロ野球選手を目指す恋人・翔也の身体作りのため、栄養士を目指すことに決めた結が神戸の栄養学校に入学してからの奮闘にスポットライトをあてている。

防災訓練の炊き出し担当に任命された結は、栄養士としての基本の仕事でもある「大量調理」のノウハウを身につける意味でも、メニューや調理の仕方を工夫。サッチンこと矢吹沙智(山本舞香)など、同班のメンバーと試行錯誤しながら、なんとか炊き出しを終えたのが第10週「人それぞれでよか」だった。

糸島という狭い範囲から、元いた神戸へと移ったことで、翔也とのやりとりや栄養学校の仲間たち、以前に交流のあった商店街の面々との接点が増えた。シンプルに、結が人としても成長し、育ってきた環境が違えば価値観も違って当たり前、という事実を飲み下す葛藤が、見ていて応援したくなる所以なのだと感じさせる。

そして栄養学校の同班であるサッチン、カスミンこと湯上佳純(平祐奈)、モリモリこと森川学(小手伸也)をはじめ、翔也と同じ星河電器野球部で、エース選手として活躍する澤田龍志(関口メンディー)など、新章に登場する魅力的なキャラクターも、良いエッセンスとして機能している。登場は次週以降となるが、星河電器の社員食堂で若手調理師として働く原口尚弥(萩原利久)への期待も高い。

翔也のスランプはどう解決するか?

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結が防災訓練の炊き出し担当として奔走しているあいだ、翔也はなかなか良い球を投げられず、いわゆるスランプ状態に陥っているようだ。投げれば投げるほど穴に入り込んでいくような苦境に立たされる翔也にとって、もちろん結の存在は救いとなっているだろう。しかし同時に、親しい関係だからこそ、悩みを開けっぴろげにはできない苦しみもあるはず。

そんな翔也を静かに見守り、ここぞというタイミングで助言をくれるのが澤田だ。彼は以前、結がつくったレシピを忠実に守って食事管理をする翔也に対し「それじゃ足りないだろ?」とシンプルな言葉で軌道修正を促してくれていた。思った通りの球を投げられず、眉間に皺を寄せる翔也の肩を、ふっと楽にしてくれたのも澤田だった。

長く続く打ち込み練習の最後、いつもとは違う球の感触を得た翔也。球速にばかりこだわっていた彼に、澤田は「変化球を磨け」と一言告げる。おそらく翔也は、澤田の言葉をきっかけにして変化球を武器としていくのだろう。

澤田を演じる関口メンディーに対しては、SNS上でも「役が板に付いている」「説得力がある」と好評だ。己を律し、エース選手としてチームを牽引していく役柄である以上、フィジカル面でも信頼できる人物でなければ務まらない。次週以降も、この役ならこの人、と安心して観られるキャスティングで、本作の魅力を支えてくれることを楽しみにしたい。



NHK 連続テレビ小説『おむすび』毎週月曜〜土曜あさ8時放送
NHKプラスで見逃し配信中

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。Twitter:@yuu_uu_