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『ふてほど』で、人気が急上昇!Z世代ながら昭和の女を演じ切った“若手女優”に注目

  • 2024.12.6

2024年に放送されたドラマ『不適切にもほどがある!』がユーキャンの新語・流行語大賞の年間大賞を受賞したことで、あらためて再注目されている。宮藤官九郎脚本、阿部サダヲ主演のタッグで、昭和に生きる時代錯誤なスパルタ体育教師・小川市郎(阿部サダヲ)が、令和にタイムスリップするコメディだった。このドラマをきっかけにファン層を広げた女優・河合優実の演技に触れつつ、本作のキャスティングの妙について再考したい。

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(C)SANKEI

『ふてほど』きっかけで認知を広げた河合優実

河合優実が演じたのは、シングルファーザーである市郎の一人娘・純子。昭和カルチャーを代表するような長いスカートのセーラー服に、当時流行した聖子ちゃんカット、さらには薄く潰した学生鞄を手にタバコをふかす様はスケバンそのもの。河合自身は2000年生まれのZ世代ど真ん中だが、彼女のアンニュイな面立ちも相まって、見事に昭和を生きる自然な純子像が立ち上っていたと言える。

河合は2019年にデビューし、2021年〜2022年にかけて公開された映画『由宇子の天秤』『サマーフィルムにのって』での演技が評価され、映画好きの間では早くもコアなファンがつくほど認知を獲得していた。

それから2024年、クドカン脚本のドラマ『不適切にもほどがある!』で純子役を演じたことにより、日ごろ映画を観ない層にもファンを広げた河合。その演技力もさることながら、自身のキャラクターとは乖離して見える破天荒な純子を演じたことで、より魅力が増幅した。

タイムスリップものであることから、純子の生きる未来がどう変化していくのか、時代の機微も含め表現しなければならない側面も、河合から醸し出される独特の重厚感に繋がったのだろう。

本作には、社会学者のフェミニストといった立ち位置のキャラクター・向坂サカエ(吉田羊)も登場。彼女の立場を考えると理解しにくい言動が目立ったことで、視聴者からは厳しい声が挙がることも多かった。

しかし本作は、昭和と令和をタイムスリップする物語の構成を上手く利用し、二つの時代の変遷をたどることで、いかにコンプライアンスやSNSにまつわる課題が令和に飛び交うようになったかを示してみせた。流行語大賞に相応しい、と多くの視聴者が感じる『ふてほど』だったからこそ、大きな波に乗って、河合の俳優としての魅力も多くの人の知るところとなったのだろう。

大ヒットの理由はキャスティングの妙?

ドラマ『ふてほど』は、主演の阿部サダヲや河合優実はもちろん、先述した吉田羊や、彼女が演じたサカエの息子・向坂キヨシを演じた坂元愛登、シングルマザー・犬島渚を演じた仲里依紗、純子が恋をするムッチ先輩と、令和に生きる秋津睦実の両方を演じた磯村勇斗など、「安心して観ていられる」「この人が出ている作品なら観る」と多くの視聴者に信頼されている俳優が集った

クドカン節と呼ばれる、業界の暗黙の了解に切り込んだギリギリのセリフ回しや、「癖があるけど、やっぱり嫌いになれない」と思わせるストーリーテリングも『ふてほど』大ヒットの所以だ。くわえて、河合をはじめとするキャスティングの妙も、本作のロングヒットに繋がっていると言わざるを得ない。

河合と同じように、本作をきっかけに認知を広げた坂元愛登は、本人の年齢もキヨシと同じ頃合いの15歳。あどけなさが残りつつも、一見すると10代半ばとは思えない安定感のある演技に「この子すごい!」と話題になった。その後放送されたドラマ『スカイキャッスル』でも、物語の軸を貫く、とある事件に深く関わるキャラクターを演じており、独特の存在感を見せている。

季節が変わるごとに、放送されるドラマも目まぐるしく移り変わっていく。前シーズンにどんなドラマが放送されていたか忘れてしまうほどだが、おそらく『ふてほど』に関しては、何年経っても時代を象徴する作品として、多くのファンに思い出されることになるはずだ。



ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X(旧Twitter):@yuu_uu_



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