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「やりすぎ」「ぜんぶ自分のせい」主人公の親友による“行き過ぎた正義”にツッコミ殺到…木曜劇場『わたしの宝物』

  • 2024.11.28

ドラマ『わたしの宝物』に登場するキャラクターの一人・小森真琴(恒松祐里)を見ていると、“正義感の暴走”という言葉が脳裏に浮かんで離れなくなる。主人公・神崎美羽(松本若菜)と冬月稜(深澤辰哉)が不倫している、と早合点し、周囲の迷惑を省みずガンガンと突き進んでいく真琴からは、単に美羽に対する嫉妬だけでは説明のつかない、複雑な感情が見受けられる。SNS上でも「真琴やりすぎ」「ぜんぶ自分のせいじゃん」「関係ないのに」と彼女の言動に触れる声が多い。

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(C)SANKEI

真琴の行き過ぎた正義感

美羽と冬月が抱き合っているのを目撃してからというもの、真琴の脳内ではみるみるうちに、あらぬ妄想が形を成してしまったようだ。

宏樹(田中圭)という、優しくて収入もあって子どもの面倒見も良い理想的な夫がいながら、美羽はほかの男性と不倫している。それは宏樹に対する裏切り行為であり、それはまわりまわって、ひっそりと宏樹に好意を持っていた真琴を傷つけもする、という捻じ曲がった被害妄想。

正義感を爆発させた真琴は、美羽に「話してくれるって信じてます」と仄めかし、宏樹や冬月に直接会って「美羽は不倫している」「私は知っている」と告発までした。美羽とは、かつて同じ会社で働いた先輩・後輩の間柄で、年齢が離れていても親友だと思っている、と話していたにも関わらず。

無理もないのかもしれない。真琴は結婚し、一人息子がいるが、現在はシングルマザーだ。離婚した元夫は、あまり家事や育児に積極的ではなかった様子。ことあるごとに挿入されていた、真琴が元夫への不満を漏らすシーンは、彼女が美羽への嫉妬心に駆られて行動を起こすことを示唆していたのかもしれない。

自分はこうもつらい境遇で、家事に育児に雑貨店経営まで一人でこなしているのに、恵まれた美羽は不倫をしている。その事実が、真琴にとってはどうしても許せなく、ただ黙って見ているだけでは飽き足らなくさせてしまったのだろう。

ただの不倫ドラマに留まらない、キャラクター造形の秀逸さ

そんな真琴を立ち止まらせてくれる人がいるとしたら、喫茶店「TOCA」のマスター・浅岡忠行(北村一輝)ではないか。彼が真琴へ放った一連のセリフに賞賛が集まり、SNS上でも話題になっている。

「あんたが動けば動くだけ、みんな不幸になってるんじゃないの?」「正義振りかざすのもほどほどにしないと」「あいつらの正解をさ、あんたが決めんなよ」と立て続く浅岡の言葉は、ほとんどの視聴者が感じていたことに違いない。このセリフを言わせ、真琴を立ち止まらせるために造形されたのが、浅岡というキャラクターだ。そんな気持ちにさえなる。

真琴が暴走し、美羽の立場や心情を顧みずに勝手な行動をしたことで、この『わたしの宝物』はいわゆる典型的な“不倫ドラマ”になるところだった。宏樹に対しても真琴に対しても、中立的に適切な助言をくれる浅岡がいることで、他人の幸せをジャッジしたがる現代人の病理について、あらためて考えるきっかけとなってくれている。

ハッピーエンドの想像がまったくつかないことでも話題の本作。6話では、真実を知った宏樹が、美羽との生活に耐えきれず彼女を自宅から追い出す展開に。娘の栞とも離れ、一人で街中を歩く美羽と冬月が出会ってしまったら……。そして、その様子をまた真琴が見かけでもしたら。どうか、栞だけは幸せに生きていけますように、と願うばかりだ。



ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X(旧Twitter):@yuu_uu_


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