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托卵に気付いた田中圭“宏樹”の行動…「あなたの子よ」と偽った主人公の末路は? 木曜劇場『わたしの宝物』

  • 2024.11.21

夫・神崎宏樹(田中圭)との夫婦関係に悩む主人公・美羽(松本若菜)が、たまたま再会した幼馴染・冬月稜(深澤辰哉)との子どもを妊娠。宏樹に「あなたの子よ」と偽って産み育てる“托卵”をテーマにしたドラマ『わたしの宝物』が、ある登場人物によって一気に“不倫ドラマ”に様変わりしている。SNS上では「女の嫉妬こわい」「本当に親友なの?」と、その登場人物に言及する声が多い。

美羽への嫉妬で暴走する、意外な人物とは

男女関係なく、嫉妬という感情は本人にとっても扱いづらいものだ。ドラマ『わたしの宝物』に登場する小森真琴(恒松祐里)は、もともと美羽と同じ会社で働いていた後輩。現在でも歳の離れた親友同士として交流が続いている。そんな真琴が、とあるきっかけから美羽に対して嫉妬を爆発させてしまう。

あくまで、お互いの関係に区切りをつけるために、別れを言い合うために会っていた美羽と冬月を目撃した真琴。抱き合う二人を見て、彼らは現在進行形で浮気をしているのだ、と早合点してしまう。

かねてより、女としても妻としても、自分より恵まれた状況にいる美羽のことを、真琴は羨んでいたのだろう。男女という性別の区分けだけに、乱暴に押し込むつもりはない。しかし、女性の友人同士で発生しやすい、なんとも言葉にしにくい感情は存在する。

独身同士だと思っていたのに、片方が条件の良い男性と幸せな結婚を決めた。子どもがいない同士だと思っていたのに、片方が妊娠した。学生時代に散々交わしたような未熟で稚拙なやりとりを、大人になっても形や質を変えて繰り返している。目の当たりにしたくない感情を、真琴はこれでもかと見せつけてくるようなキャラクターだ

直接、美羽に詳しい事情を聞く前に、宏樹や冬月に探りを入れるような言動をする。真琴はあくまで仕事の打ち合わせだと言い募り、自身が経営する雑貨屋に冬月を呼び寄せ、美羽と引き合わせたうえで娘の栞まで冬月に抱かせようとした。その粘り気のある執着心は、嫉妬という燃料だけで燃やされているのだろうか。そうだとしたら、SNS上で「本当に親友だと思っていたのか」と疑問の声が挙がるのも無理はない。

冬月はどう出る?

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(C)SANKEI

真琴から、美羽が不倫していること、娘の栞も自分の子ではないかもしれない、と示唆された宏樹は、茫然自失としてしまう。そんな彼が栞を連れてひっそりと向かったのは、無人の海だった。

美羽が不倫をしたとして、その末に自分ではない男の子どもを産み、あまつさえそれを「あなたの子よ」と偽ったのだとして、宏樹はそれをどう受け取るのだろうか。モラハラ発言で美羽を苦しめていた時期の宏樹なら、すぐさま美羽に真実を問い正し、糾弾しただろう。

しかし、栞という子どもを持ったいまの宏樹は、夫であり父となっている。くわえて、自分がどれだけ利己的な言動で妻を傷つけてきたか、身をもって知っているはずだ。そのストレスが、美羽を倫理に反するおこないへと走らせてしまった。職場でのストレスに苛まれ続けた宏樹なら、自然とそんな背景を想像してもおかしくはない。

この状況を動かすのは、冬月、そして彼に好意を寄せる水木莉紗(さとうほなみ)だろう。宏樹と冬月、そして莉紗は仕事を通してすでに顔見知りになっている。宏樹が美羽の夫である事実を知っているのは、冬月だけだ。真琴に不倫を疑われている彼が、誰のために行動を起こすのか。それは、美羽以外にいない。

莉紗に思いを告げられた冬月が、なんとか美羽への思いを断ち切ってくれれば。そして、美羽が正直に宏樹へ真実を告白し、それでも良好な夫婦(家族)関係を築いていくために、手を取り合えれば。そんなふうに考えてしまうが、冬月の言うように、心の中は「自分の思い通りにならない」。どうか、娘の栞だけは健やかであってほしい、と願うことしかできないのかもしれない。



ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X(旧Twitter):@yuu_uu_