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社会現象を起こした“語り継がれる名作” 正当な続編の放送で再注目! アニメで描かれた“迫力ある描写”のウラ側

  • 2024.11.26

アニメや漫画について有識者とゲストが掘り下げるABEMAの人気番組『SHIBUYA ANIME BASE(シブアニ)』#26の放送回では、漫画家・しげの秀一が特集された。1980年代から走り屋たちの熱き戦いを描き続け、いまも第一線活躍するしげのの代表作はいずれもアニメ化されており、今も最新作『MFゴースト』が放送中。長きにわたって愛され続けるしげの作品の魅力が番組で語られた。

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(C)AbemaTV,Inc.

バイクブームを起こした金字塔『バリバリ伝説』

しげの秀一が注目されたのは1983年から1991年にかけて「週刊少年マガジン」で連載された『バリバリ伝説』だ。高校生のオートバイ乗り巨摩郡(こまぐん)がアマチュアのバイク乗りから世界に向けて羽ばたいていく成長を描いたこの作品は、累計発行部数2800万部を超える大ヒットを記録。本作をきっかけに起きたバイクブームが起き、社会現象となった。緻密なオートバイの描写と迫力とスピード感あふれるレースシーン、そして、バイクにかける男たちの情熱と熱い友情が魅力の作品だ。

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同作は、1986年にOVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)としてアニメ化。「Part I 筑波篇」、「Part II 鈴鹿篇」の2部作で構成されており、Part Iでは行動レースでグンと秀吉が出会い、同級生の一ノ瀬美由紀に鈴鹿でのレース参加を誘われる所までを描き、Part IIではグンたちが鈴鹿のレースに挑む姿が展開する。ヒロイン役の伊藤歩惟役として、当時アイドルとして大人気だった荻野目洋子が出演していることでも話題となった。1987年には、再編集された劇場版が公開された。

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番組内では同作の魅力を「マフラーの揺れまで描写するリアルさ」や「パーツの一つひとつまで緻密に再現した作画」にあると紹介。また、主人公・郡とライバルの聖秀吉との熱い友情と絆の感動的なドラマとして紹介。レースで転倒した秀吉が傷だらけになりながらバイクを押して、グンに託す名シーンが当時の若者の心を震わせたと紹介された。

世界にドリフトを知らしめた『頭文字D』

そして90年代後半から2000年にかけて一世風靡したしげの秀一のもう一つの代表作が『頭文字D』だ。車の走り屋を題材にした作品で、累計発行部数5800万部を超え、走り屋マンガの金字塔と呼ばれ歴史に名を残す作品だ。峠道でのレースで最速を競う男たちの物語で、主人公が乗るトヨタ・スプリンタートレノ・AE86型、通称「ハチロク」の人気を再燃させた作品だ。

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実家が豆腐屋で、配達を手伝わされていた主人公・藤原拓海が、走りの魅力に目覚めて最速を目指す熱いストーリーが読者の共感を読んだ本作。アニメにおいては、カーレースシーンに3DCGを導入し、迫力ある描写を可能にしたことでも知られる。また、音楽にはユーロビートを採用し、ノリノリの音楽に合わせて展開されるレースが高揚感を感じさせてくれた。

同作は6度もアニメ化され、長期的な人気を獲得。ドリフトというテクニックを海外でも有名にした作品としても知られている。そんな同作の魅力を番組内では、マニアをうならせるリアルな描写にあると紹介。中でもタイヤやエンジン音といったサウンドエフェクトは、実際の車から録音されているという。

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車体に「藤原とうふ店」と入った、馬力は他の最新車種に劣るハチロクで並み居るライバルたちを追い抜いていく姿は爽快感抜群。超絶テクニックの数々をアニメで再現し、車の走行の描写に劇的に進化させた作品と言える。

近未来を舞台に熱いレースが展開『MFゴースト』

そして、現在放送中なのが『頭文字D』の正当な続編『MFゴースト』だ。『頭文字D』の世界の近未来、化石燃料を動力源にする自動車は生産中止となり、燃料電池や電気自動車に取って代わられた世界で、絶滅危惧種となった内燃機関自動車の公道レース「MFG」が世界中で人気となっている世界が舞台だ。

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主人公は19歳の片桐カナタ。イギリスの名門レーススクールをトップの成績で卒業し、日本人の父を探すために来日。MFGに挑んで有名になり、父を探そうとしている。

カナタが乗るのは、『頭文字D』の拓海のハチロクのコンセプトを受け継ぐ「トヨタ・86」だ。やはり外国車に比べてパワーに劣る86で並み居る競合を相手に圧倒的なドライビングテクニックを見せつける、レースを勝ち抜いていく姿をダイナミックな描写満載で描いている。

3D技術も進化しており、『頭文字D』の時と比べてさらに迫力とスピード感あふれるレースシーンが展開する。高橋啓介など『頭文字D』のキャラクターも登場し、往年のファンにとっても楽しい要素が満載。また、カナタが藤原拓海の弟子であることも明かされた。

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そんな『MFゴースト』は10月から第2シーズンの放送が開始されている。第1シーズンではMFG初戦を9位にランクインし、世間の度肝を抜いたカナタが第2シーズンでさらなる進化を遂げることに、番組内で期待が寄せられた。カナタの進化とともにアニメのレースシーンも迫力を増していく。毎週、エキサイティングな展開が続いており、見逃せない展開となっている。

SHIBUYA ANIME BASE #26
[出演者]メインMC:ハライチ・岩井勇気 サブMC:徳井青空 ゲスト:森田成一、日笠陽子
[番組URL]https://abema.tv/video/episode/218-706_s1_p5027
(C)AbemaTV,Inc.


ライター:杉本穂高
映画ライター。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。X(旧Twitter):@Hotakasugi