小学生のころにはたくさん解いてきた小数の計算問題ですが、大人になってから改めて計算しようとしたことはありますか。
長らく使っていない知識は、どうしても古びていくものです。久しぶりに小数の問題に挑戦して、計算力が衰えていないか確かめてみましょう。
問題
次の計算問題を解いてください。
5.5+5.5÷1.1
解答
正解は、「10.5」です。
6.0、あるいは10と間違えてしまった人、途中で割り切れなくなってしまった人はいませんか?
正しい計算の手順を次の「ポイント」で確認してみましょう。
ポイント
この問題のポイントは、「小数の割り算の方法」です。
まず、この問題、どこから計算したらよいと思いますか?
「5.5+5.5」から始めてしまうのは間違いです。
計算のルールでは、割り算や掛け算は、足し算や引き算より優先的に計算しなければなりません。よって、まずは「5.5÷1.1」から計算します。
5.5+5.5÷1.1
では、小数の割り算の方法を確認しましょう。
小数の割り算は、まず、割る数に10の倍数を掛けて整数にします。そのあと、割られる数にも同じ10の倍すを掛けてから計算します。
今回は割る数に10を掛けると整数になりますので、割られる数にも同じ10を掛けてから計算します。
では、やってみましょう。
5.5+5.5÷1.1
=5.5+(5.5×10)÷(1.1×10)
=5.5+55÷11
=5.5+5
後は足し算をするだけです。
5.5+5
=10.5
小数の割り算の仕組み
小数の割り算では、割る数と同じだけ、割られる数に10の倍数を掛け、割る数を整数にして計算しました。
しかし、勝手に式の中の数に10の倍数を掛けて、最終的な答えが変わらないのか不思議に思う人もいるかもしれません。
小数の割り算の仕組みについては、割り算を分数として表すと分かります。
割り算は、「割られる数/割る数」という分数で表せます。そして、分数には、分子と分母に同じ数を掛けたり割ったりしても表している数は変わらないという特徴がありました。
よって、「分母(割る数)に掛けた10の倍数」を「分子(割られる数)」にも掛けてあげれば、分数が表している数は変化せず、割り算の意味も変わらないのです。
今回の問題でいえば、次のような過程を踏んでいると考えてください。
5.5+5.5÷1.1
=5.5+5.5/1.1 ←分数で割り算を表す
=5.5+(5.5×10)/(1.1×10)←分子にも分母にも10を掛けて分母を整数にする
=5.5+55/11
=5.5+55÷11
=5.5+5
このように、割る数が小数だと計算しづらいので、10の倍数を掛けて整数にし、計算しているのです。ただし、割り算の意味を変えないためにも、割られる数にも同じ数を掛けることを忘れないようにしましょう。
まとめ
今回の問題はいかがでしたか?
小数の割り算では、まず割る数に10の倍数を掛けて整数にします。次に、割られる数も同じ10の倍数を掛けてから、計算を行います。この流れを覚えておけば、筆算をせずに小数の割り算ができます。
他にも懐かしい算数の問題をたくさん用意していますので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
※当メディアでご紹介する数学関連記事においては、複数の解法をもつものもございます。 あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
監修:株式会社カルチャー・プロ(公式HP / インスタグラム)
「誠実なモノづくり」を信条とし、高い専門性を有する編集者が幼児から大人向けまで幅広い年代に向けての学習教材を制作する編集プロダクション。家庭や学校、塾などで日々使われている教材だけでなく各種テストや教養系の一般書などを制作。社会や教育を取り囲む環境の変化に対応するため、新しい技術にも着目し、教育業界の未来も模索しながら、下支えしている会社。社内はフラットに意見が言い合える雰囲気で、パートナー、クライアントからの信頼も厚い。
類似の数学問題にもう1問挑戦!