“神回”と高評価された大きな理由は？　妖怪たちの“裏事情”を考察　大人気アニメ『ダンダダン』

大きな話題を呼んでいる現在放送中のTVアニメ『ダンダダン』。本作は様々なジャンルが詰め込まれており、なかでも面白いのが“オカルト”の要素だ。オカルン（高倉健）とモモ（綾瀬桃）の前に現れ、時に追い詰め、時に協力する怪異。個性豊かな妖怪や宇宙人の元ネタとなった都市伝説（諸説あり）と、なぜおそろしい見た目にもかかわらず妖怪たちを好きになってしまうのか考察したい。

※当記事は第1話～第7話までのネタバレを含みます。

妖怪や宇宙人の元ネタとなった都市伝説

第1話で初登場した妖怪・ターボババア。オカルンを呪い、彼のタマを取ってしまった張本人だ。オカルンとモモに挑まれ繰り広げた鬼ごっこのシーンでは、サイエンスSARUによる圧倒的な作画で描かれたアクションシーンが大きな反響を呼んだ。

ターボババアの元ネタは、高速道路やトンネルを時速100～140キロで走る老女の都市伝説。全国に逸話があり、「ターボばあちゃん」「ジェットババア」「100キロババア」と各地で呼び方は違っているが、車のような速さで並走するおばあちゃんという内容は変わらない。噂は1990年代に日本で広がったもののようで、追いかけられるだけだったり追いつかれたら死んだり言い伝えにもばらつきが。

同じく第1話でモモが捕まってしまったセルポ星人の元ネタは、1960年代にアメリカ政府が秘密裏に行ったと言われている「プロジェクト・セルポ」という極秘計画だと思われる。昔アメリカにUFOが墜落し、生き残った1人の宇宙人がきっかけで計画がスタートした。

第2話で登場しオカルンたちと壮絶なバトルを繰り広げたフラッドウッズモンスターは、同名の宇宙人が元ネタだ。1952年にアメリカ合衆国ウェストバージニア州のフラッドウッズという町で初めて目撃され、3メートルを超える巨大な体を持つという。フラッドウッズモンスターの霧を吸い込んだ住民は健康被害を訴え、喉の腫れや鼻の痛みを起こしたそう。

第6話で初登場し、アイラ（白鳥愛羅）に執着していたアクロバティックさらさら。さらさらした長い髪と赤いワンピースというビジュアルをしており、戦闘では強力なパワーと俊敏さを発揮する。

アクロバティックさらさらの元ネタは、2008年ごろから目撃されるようになったという「アクロバティックサラサラ」だ。福島県の市街地をメインに、北海道から広島あたりまでの場所で目撃されている。高い場所で見られることが多く、目が合った人を追いかけて連れ去ると言われている。

なぜ憎めない？妖怪たちの“裏事情”

本作に登場する妖怪や宇宙人はおそろしい見た目をしている。もしフラッドウッズモンスターに出会ったらその巨大さに腰を抜かすだろうし、アクロバティックさらさらの眼球のない目に顔を覗き込まれたらぞっとしてしまう。しかし、下ネタを言ったり話し方が特徴的だったりとギャグ要素が強く、抵抗感なく見られるのだ。

また、妖怪たちには作中での裏事情が。ターボババアを一度倒した後、彼女は成仏できない少女の霊を慰めてまわっていたんだろうとモモの祖母・星子は推測。実は慈悲深いターボババアの隠された一面が垣間見え、少し切ない気持ちになるのだ。

アクロバティックさらさらは、大事な娘をさらわれた後に死んでしまったという悲劇的な過去があった。1話分を使って描かれた彼女のエピソードはあまりにも悲しく、涙を流すモモやアイラと同じように涙腺が崩壊してしまう。第7話が“神回”とSNSでも高く評価されたのは、美麗な作画と感情移入せずにはいられないアクロバティックさらさらが大きな理由だろう。

本作で登場する妖怪たちは、おそろしい見た目をしているものの憎めない。そのうえ、どこか親しみやすさも感じる。妖怪や宇宙人も含めて魅力的なキャラクターが多い『ダンダダン』。今後どのような怪異が登場するのか期待したい。

ダンダダン
ABEMAにて毎週木曜25時より無料放送
放送後1週間、最新話を無料で視聴できる。
［番組URL］https://abema.tv/video/title/593-10
【(C)龍幸伸／集英社・ダンダダン製作委員会】

ライター：まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムやレビュー、映画の作品評を手がける。X（旧Twitter）：@kaku_magari

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