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残酷な拷問描写があっても「それでも面白い」「最高すぎる」マンガ大賞受賞の注目作『チ。』 6話

  • 2024.11.14

現在放送中のTVアニメ『チ。 ―地球の運動について―』。魚豊による原作漫画は第26回手塚治虫文化賞でマンガ大賞を受賞しており、衝撃的な展開で大きな反響を呼んでいる話題作だ。第6話では、主人公・オクジーと修道士・バデーニが出会い、世界を揺るがす真実にたどり着く姿が描かれた。

※本記事は、1話~5話の重要なネタバレを含みます。

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(C)魚豊/小学館/チ。 -地球の運動について-製作委員会

ろうそくで目玉を……バデーニが受けた“罰”

バデーニのもとにやってきたオクジーは、代闘士の同僚・グラスがつけていた火星の記録を見せる。グラスは火星の軌道が変わり絶望してしまったが、博識なバデーニは火星のような惑星が逆行すると知っていた。そして、バデーニが左遷された経緯について回想が始まる。

修道院にて、バデーニは膨大な量の問題を解き勉強していた。だが、修道院長から「ここでは想定を超えた勉強は許されない」と言われ、鞭打ちの懲罰を受ける。

反抗するバデーニは、何度も自らの体を鞭打ちして勉強の自由を主張する。彼は惑星が後ろに戻る“逆行”に対して大きな疑問を抱いていた。神が宇宙の設計を間違えるなどありえないと考え、この難問の理由を求めるバデーニ。

図書室に保管してある異端者の禁書を読みたいバデーニに、修道院長は禁書を読むことを厳しく禁じた。しかし、バデーニは修道院長の部屋に禁書が置いてあるのを見つけ、開いてしまう。

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(C)魚豊/小学館/チ。 -地球の運動について-製作委員会

それを目撃した修道院長たちに捕らわれたバデーニは、左遷を命じられる。さらに、彼は火のついたろうそくをどろりと垂らされ目玉を焼かれる。現在のバデーニが片目に眼帯をしているのは、禁書を読んだ罰として焼かれてしまったからだったのだ。

本作にてたびたび出てくる拷問シーン。第1章にて異端審問官・ノヴァクが異端者に行っていた酷い拷問も目を背けたくなるようなものだった。今回のろうそくで目玉を焼かれるシーンも、苦手な人にとってはゾッとするものだっただろう。

だが、血が流れるような拷問やグロテスクなシーンがあるからこそ、キャラクターたちの迫真さがより際立つ。命と信念を懸けて地動説を証明しようとする者たちの物語である『チ。』において、“命懸け”の説得力を持たせるためにこういった痛々しいシーンは切っても切り離せないといってもいいだろう。

さまざまな意味が込められたラストのセリフ

オクジーに案内され異端者によって引き継がれた書類を読んだバデーニは、「宇宙が変わるぞ」と確信。オクジーとバデーニは歩いて火星と地球の軌道を再現し、地球は動いており逆行の正体は地球から観測しているせいでそう見えているだけだと証明する。

実験を経て「天界は地球と調和している」「我々の住む大地はあの美しさの一員だったのかもしれない」と語るバデーニに、オクジーは衝撃を受ける。そして、空を見上げて「今日の空なんかキレイじゃないですか?」とつぶやくオクジー。無数のおぞましい眼に見える空をオクジーが克服した瞬間だった。

美しい星空が映るオクジーの眼のカットが印象的だ。星を見るには眼が必要であり、バデーニが失ってしまったのも眼。オープニング映像もキャラクターたちの目元のアップから始まる。本作において“眼”はひとつの重要な要素のように思う。

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(C)魚豊/小学館/チ。 -地球の運動について-製作委員会

また、ラストの「世界を動かせ」というバデーニのセリフは、「世の中を変えろ」「常識を覆せ」のようにさまざまな意味合いが込められている。またもや飛び出したアツい言葉に胸を打たれた視聴者も少なくないだろう。

第6話に対してSNSでは「毎度内容最高すぎる」「漫画読んだから内容分かっててもそれでも面白い」「どう変わっていくのか今後気になる」「これまた気になる展開」「毎話映像の美しさに感動する…」「アニメ化してくれてありがとう」との声があがった。

バデーニの過去と惑星の逆行の理由が判明した第6話。第1章の主人公・ラファウのように、オクジーの変化も見どころだ。引き継がれていく地動説の物語は、今後どのように進むのだろうか。

チ。 ―地球の運動について―
ABEMAにて毎週土曜日夜24時10分より無料独占・見放題最速配信
放送後1週間、最新話を無料で視聴できる。
[番組URL]https://abema.tv/video/title/568-32
【(C)魚豊/小学館/チ。 -地球の運動について-製作委員会】


ライター:まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムやレビュー、映画の作品評を手がける。X(旧Twitter):@kaku_magari