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「目を疑った」「上手すぎる」60代男性を演じたあのちゃんの演技力に賞賛の嵐!“火曜新ドラマ”

  • 2024.10.29

第1話が放送されるや否や、想定外のおもしろさにSNSがわいた『民王R』(テレ朝系列)。主人公であり総理大臣の武藤泰山(遠藤憲一)の中身が、他者と入れ替わってしまう……という基本の筋書きは、前シリーズと変わらない。しかし、今回の入れ替わりの対象は“全国民”だ。おそらく回ごとに違う国民と入れ替わる斬新な設定に加え、第1話で入れ替わった毒舌秘書の冴島優佳(あのちゃん)に対しても「あのちゃん、上手すぎる!」「目を疑った」と好評の声が多い。

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(C)SANKEI

『民王』名物の“入れ替わり”演技

池井戸潤による同名小説を原作としたドラマ『民王』シリーズ。2015年に放送された本作は、遠藤憲一演じる総理大臣・武藤泰山と、菅田将暉演じるその息子・翔が主人公。まさに昭和を代表する昔ながらの価値観をすっぽり着込んだような泰山と、料理や美容に詳しく、政治家の息子としてはどこか覇気に欠ける翔は、親子といえども馬が合わない。

そんな二人の中身が入れ替わったことで、翔は泰山として、泰山は翔として生きることを余儀なくされる。留年までしている翔に政治家が務まるのか、昭和気質の泰山にキャンパスライフを乗り切れるのか、果たして……といったあらすじは、リーガルコメディとして耳目を惹くものであった。

いわば『民王』ブランドとしての“入れ替わり”演技が確立したとも言える。2024年に続編として帰ってきた『民王R』第1話では、泰山とその秘書・優佳が入れ替わる展開に。

優佳を演じるあのちゃんは、シンガーソングライターやタレントとして活躍しているが、昨今では俳優としてドラマや映画に出演することも多い。『トリリオンゲーム』(2023/TBS系列)ではキャバ嬢役としてゲスト出演し、『ギークス〜警察署の変人たち〜』(2024/フジ系列)では河井リリカとしてレギュラー出演。映画『【推しの子】』でMEMちょ役を演じることも解禁され、話題を集めている。

あのちゃんの演技には賛否両論あるものの、本作『民王R』の優佳については絶賛されている。強面で渋い声の60代男性と入れ替わった設定を、まさに体当たりで演じきった。特徴的な声音・発声は封印され、徹底的に泰山になりきっている。これまでの演技経験の蓄積はもちろん、映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』(2024)で中川凰蘭の声を担当した際、ストイックに役を追求した体験が生かされているのも感じ取れる。

入れ替わり対象は全国民!毎回変わるゲストに期待

互いに入れ替わってしまった泰山と優佳は、紆余曲折ありつつも、なんとか第1話のうちに元に戻ることができた。しかし、泰山の入れ替わりが終わったわけではない。なんと、次の入れ替わりの対象は全国民次回予告では、おそらく人を殺してしまったであろう殺人犯・木下直樹(曽田陵介)と中身が入れ替わってしまった様子が見てとれる。

いつ、どのタイミングで、誰と入れ替わるかわからない。そんな不確定要素がスリリングに挿入された、斬新な設定が持ち込まれた。前シリーズでは息子の翔と入れ替わってしまった泰山だが、圧倒的に状況が異なる。1話ごとに見知らぬ他人の人生を背負うことになる展開は、泰山の政治家運命をどう左右するのか

毎回、違う国民と入れ替わるということは、そのたびにさまざまな俳優の“入れ替わり”演技が見られるということだ。直近では、日曜劇場『天国と地獄〜サイコな2人〜』(2021/TBS系列)でW主演を担っていた、綾瀬はるかと高橋一生の記憶が鮮明かもしれない。綾瀬はるか演じる刑事・望月彩子と、高橋一生演じるベンチャー企業の社長・日高陽斗が入れ替わってしまう筋書きで、両者の演技のリアルさに話題が集中した。

9年の時を経てリターンした『民王R』、毎回変わるゲストに演技に期待を向けつつ、本作が送り出す「政治とはどうあるべきか」といったメッセージにも注目したい。



ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。Twitter:@yuu_uu_