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通称「首もげキスシーン」が強烈…!『光る君へ』沼コンビの登場で、再注目された“4年前のドラマ”とは?

  • 2024.10.25

平安時代中期を主な舞台とした、最古の女性文学『源氏物語』の著者・紫式部が主人公の大河ドラマ『光る君へ』が好評だ。主人公のまひろ(藤式部)を演じるのは、吉高由里子。『源氏物語』の主人公・光源氏、そして、そのモデルとされている藤原道長を演じるのは、柄本佑。この二人の再共演でにわかに再注目されているドラマが、2020年放送の『知らなくていいコト』(日テレ系列)だ。

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(C)SANKEI

柄本佑演じる“尾高沼”にハマる視聴者多数

吉高由里子演じる「週刊イースト』の記者・真壁ケイトが主人公の『知らなくていいコト』。『光る君へ』と同じ脚本家・大石静が筆をとっていることから、吉高由里子&柄本佑コンビの再来も、さもありなん、と思える。ジャンルはお仕事系ヒューマンドラマだが、ケイト、そして柄本佑演じるフリーカメラマン・尾高由一郎(既婚者)との禁断の恋模様が主軸となり、視聴者の心を揺さぶり続ける。

偶然の類似だが、ケイト&尾高も、まひろ&道長も、禁断で不実の恋に陥っている。世間的には決して許されない、けれど、二人の間にしかわからない不文律によって成立し、温度を上げていく恋心。直接セリフにはされなくとも、交わされる視線や、曖昧な感情を滲ませた表情によって、もどかしさを表出させる吉高&柄本の技量は見事としか言えない。

『知らなくていいコト』のケイトは、週刊誌記者らしく日々、精力的にスクープをとって、良質な記事を送り出している。自分の仕事に誇りを持ち、恋人の野中春樹(重岡大毅)とも満足できる関係を築いていた。

しかし、母・真壁杏南(秋吉久美子)がくも膜下出血で急死したことをきっかけに、自身の出生にまつわる秘密を知ってしまう。命を手放す間際、ケイトの父は「キアヌ・リーブス」であると意味ありげに呟いた杏南だったが、ケイトは30年前に起こった殺人事件の犯人とされている乃十阿徹(小林薫)こそ実父なのでは、という可能性に行き当たる。

真実を知った前後、ケイトは春樹から「結婚しよう」とプロポーズを受けていたが、彼は見事に前言撤回する。殺人犯の娘かもしれないケイトと結婚する事態を怖がり、どんどん稚拙な人間性を発露させていく春樹。そんな哀れな姿とは打って変わり、ケイトの話を聞いて親身に寄り添う尾高の誠実さと優しさに、魅力を覚え沼落ちする視聴者が続出した。

ケイトと尾高はかつて交際していた仲だが、別れてしまい、いまや尾高は子どももいる既婚者である。二人はどこへ出しても恥ずかしくない“不倫カップル”に違いないのだが、彼らの背景を知っていれば応援せずにはいられない。どうしたって抗えない引力のように、はたまた磁力のように、運命の力もあいまって惹きつけ合うケイトと尾高を見ながら「どうかこの二人が幸せになれる道はないものか……」と、願っていた視聴者のほうが多いだろう。

『光る君へ』不実の恋の行方は?

とりわけ尾高の艶めきが爆発したのは、3話の回想シーンと、6話の通称・首もげキスシーンだ。ケイトと尾高が恋人同士になるきっかけとなった、車中でのキスシーンは、その前後のセリフやシチュエーションとともに強い印象を残した。

当時まだ新人だったケイトは、尾高と組んで芸能人のスキャンダル現場を激写。熱烈なキスの現場を見て、その雰囲気にあてられたのか、一仕事終えた達成感からか「キスがしたい」と口走るケイト。吉高由里子が演じるからこそ、どこかサバサバとしていながらも清潔な情欲が感じられる場面だが、そのつぶやきに応じるかのようにキスをする柄本佑演じる尾高の一挙手一投足も美しく余韻を留め置いた。

6話の首もげキスは、ケイトと尾高があらためて二人の立ち位置や、お互いの気持ちについて言及している最中に起こる。もともと恋仲にあった二人だからこそ、他者には想像の範囲が及ばないところで、微に入り細を穿つように心を交換し合っている。それは、当人同士でさえも言葉にできない営みであるに違いない。

尾高が既婚者であることは、頭では理解できているケイト。どうにか気持ちを押し留め、元いた場所から動かずにいようと努力するが、ギリギリのところで張り詰めていた堤防を決壊させたのは尾高だった。数々の恋愛ドラマを並べても歴史に残るキスシーンは、ドラマファンの間でまさに語り草になっている。

そんな吉高&柄本コンビが、大河ドラマ『光る君へ』で、またもや運命で繋がれた役柄を演じている。ケイト&尾高のやりとりを思い出し、再び沼入りする視聴者続出のまひろ&道長の恋路は、どんな末路を辿るのだろうか。



ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。Twitter:@yuu_uu_