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すでに"ヒット確定"か 『新水曜ドラマ』試写会から絶賛の声が相次ぐワケ

  • 2024.10.9

2024年秋、フジテレビが新たなミステリードラマを送り出す。10月9日放送『全領域異常解決室』(通称・全決)は、主演・藤原竜也を筆頭に、広瀬アリス、成海璃子、ユースケ・サンタマリア、小日向文世、柿澤勇人、福本莉子らが名を連ねる、未確認生命体=UMAが関連するとみられる事件に立ち向かっていく本格ミステリードラマだ。1話放送前に行われた試写ならびにキャスト登壇トークイベントの様子から、すでに本作の成功が見えている。

1話完結型なのに続きが気になる?

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『全領域異常解決室』(C)フジテレビ

藤原竜也演じる全決の室長代理・興玉雅(おきたま・みやび)は、クールで冷静、奇怪な事件が発生しても眉ひとつ動かさず、その場を理知的に分析して解決策を探ろうとする人物だ。

そもそも全決とは、人的とは思えない異常性をともなった事件を解決へと導く、内閣からの信頼も厚い世界最古の調査期間だとされている。雅の「室長代理」という肩書きが気になるところだが、その理由は1話では明かされない。

本作の脚本を手がけるのは、これまでも『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(2021/TBS系列)や『マイファミリー』(2022/TBS系列)などのオリジナルドラマを発表し、百発百中で話題をかっさらってきた黒岩勉。舞台をフジテレビに移したミステリードラマとあって、自然と期待が高まらざるを得ない。

1話完結型なのにも関わらず、続きが気になってしまうのは、おそらく今後も本作の根底に漂う謎に関わってくるであろうUMA「ヒルコ」の存在が大きい。1話では、被害者の身につけていた洋服や靴、鞄、大量の血液などは現場に残されているのに、肝心の遺体だけが見つからない不可解な事件が起こる。その謎に「ヒルコ」が関係しているのではないか、とあらゆる可能性を検討しながら、物語が進んでいく。

いっぽ間違えれば、少々気をてらったオカルトものとして捉えられかねないテーマだ。これまでも『ケイゾク』(1999/TBS系列)や一部設定を引き継いで制作されたシリーズ『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』(2010他/TBS系列)などの話題性を備えた作品が発表されている。

しかし令和の今、目の肥えた視聴者にリアリティをもって納得してもらうには、オカルトさを保ちつつ現実的で腹落ちしやすい解決策の提示が必要だろう。そのバランスもさることながら、主演・藤原竜也を筆頭とする役者陣の芝居が素晴らしく、違和感なく終盤まで引き込まれてしまう。殺人事件のトリックそのものはもちろん、解決に至るまでの流れも自然だ。

本気と遊びの融合

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『全領域異常解決室』(C)フジテレビ

10月初旬に行われた1話完成披露試写では、出演役者陣によるトークイベントも開催された。藤原竜也や広瀬アリス、そしてユースケ・サンタマリアの丁々発止の掛け合いは、本編を漂う緊張感とは趣きを異にしている。笑いとリラックスで彩られた現場は、作品やお互いの芝居に対しての敬意あってこそ成り立つものだろう。

まさに、本気と遊びの融合。遊ぶように芝居に向き合い、生まれた本気が作品に還元される。本気で遊ぶ大人たちの本格ミステリードラマが、おもしろくないわけがない。イベント中も和気あいあいと話が止まらない役者陣、終了予定時間までに間に合わせようと慌て出す様まで微笑ましい。

このドラマの登場人物たちは、主に3組に分かれているように見える。

まず藤原演じる雅、広瀬アリス演じる雨野小夢、小日向文世演じる宇喜之民生ら全決チーム。

そしてユースケ・サンタマリア演じる荒波健吾、成海璃子演じる二宮のの子、小宮璃央演じる北野天馬ら警視庁捜査一課ヒルコ専従班。

最後に、迫田孝也演じる、頼まれればなんでも運ぶデリバリースタッフ・芹田正彦と、福本莉子謎の少女・豊玉妃花、柿澤勇人演じる内閣官房国家安全担当審議官・直毘吉道だ。

この3組がどう影響し合い、ときに手を貸し合うかによって、物語が縦横無尽に動いていく。3組それぞれの視点から見て、謎のUMA・ヒルコはどんな存在として映るのか……。まだまだ闇に包まれた部分も多い今後の物語を想像しながら、思いめぐらせてみるのも楽しいかもしれない。



フジテレビ系『全領域異常解決室』10月9日(水)スタート!毎週水曜よる10時〜

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X(旧Twitter):@yuu_uu_