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「間違いなく名作」「すべてが素晴らしい」6年経った今でも"伝説"のドラマを振り返る

  • 2024.9.27

数々の人気作を生み出してきた脚本家・野木亜紀子さん×監督・塚原あゆ子さん×プロデューサー・新井順子さんのタッグ。そんな3人が手掛けた映画『ラストマイル』が8月に公開し、同じく3人のタッグによるドラマ『アンナチュラル』『MIU404』の世界線が交差したことが話題になっている。10月からはTBS日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』が放送が予定されており、ますます目が離せない。そこで今回は、視聴者に大きな爪痕を残した『アンナチュラル』の魅力に迫ってみたい。放送から6年経ってもなお、色褪せることなく、「まさに伝説のドラマ」「間違いなく名作」などと言った声が語り継がれている。

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(C)SANKEI

個性豊かなUDIラボの面々が魅力的! 「誰一人として欠かせない」

『アンナチュラル』は、TBS系金曜ドラマ枠で2018年に放送され、石原さとみさん主演で1話完結型でおくる法医学ミステリードラマ。石原さんは“法医解剖医”の三澄ミコトを演じた。

舞台は、日本に新設された死因究明専門のスペシャリストが集まる「不自然死究明研究所(UDIラボ)」。そこに運び込まれる“不自然な死”(アンナチュラル・デス)」の死体をめぐり、ミコトはクセの強いメンバーたちと共に、連日UDIラボに運び込まれる死体に向かいメスを握る。

「法医学は未来のための仕事」という信念で法医解剖医という仕事に向き合うミコト。そんな彼女は、幼い頃、一家心中に巻き込まれるも命を救われた壮絶な過去があった。第1話では、恋人を失い絶望を感じていた女性に「そんな気分じゃないから。食べるんです」とパンを勧め、一緒に食べるシーンも。物語では随所でミコトが食べるシーンが丁寧に描かれており、その姿に“生”や“生きていく”ことを感じられずにはいられない。

ミコトと行動を共にすることが多い記録員・久部六郎を窪田正孝さんが演じた。久部は医者一家の三男坊である医学生で、UDIラボの内部事情を探るために週刊誌編集者に送りこまれた人物だった。周囲を欺いていたが、UDIラボにはなくてはならない存在だった久部。彼がミコトたちの影響で変化していく様子もまた見どころの一つだ。

そして、態度も口が悪いが法医解剖医として確かな腕を持つ中堂系を井浦新さんが演じた。中堂は何者かに恋人・夕希子を殺害された、“赤い金魚”の印がある遺体を捜すために国内の不自然死の情報が集まるUDIで働いていて…。

そんな3人と、ミコトを支える臨床検査技師・東海林夕子(市川実日子)や、中堂班の臨床検査技師・坂本(飯尾和樹/ずん)、UDIラボの所長・神倉保夫(松重豊)も実に個性豊か。シリアスで重厚なストーリーの中で、熱量の高いチームワークを生み出した人間味あふれるキャラクターたちが、視聴者に爽快さや笑い、ほっとした気持ちを味わわせてくれたことも魅力の一つだといえるだろう。

公式サイトのBBSでは「ミコト先生、不条理な死に負けたくないという思いで闘い続ける姿がかっこいい」「みんないろいろな過去や影があって、それを受け止めながら、自分らしく、前向きに生きていく姿にひかれた」「誰一人として欠かせない」という感想も寄せられていた。

「見終わった後は必ず考えさせられていました」深い余韻を残す人間ドラマ

各話の物語では、MERSコロナウイルス、SNSの弊害、過重労働、イジメなど、他人事ではいられない身近な題材が描かれ、視聴者の心を引きつけた。そして、各話の事件とともに、UDIラボ関係者の謎に迫るストーリーがドラマの縦軸に。ミコトの過去、スパイ的な立ち位置の久部、そして終盤では中堂系の恋人が殺害された事件の真相が描かれた。

第5話で中堂は「考えたことがあるか? 永遠に答えの出ない問いを繰り返す人生。今、結論を出さなければ、もう二度とこの人物がどうして死んだのかを知ることができない。永遠に答えの出ない問いに一生向き合い続けなければいけない。そういうやつを一人でも減らすのが法医学の仕事じゃないのか?」とミコトに言う場面がある。大事な人を殺された過去がある中堂だからこそ、言葉が重く心に突き刺さる印象的なシーンだ。

遺族や亡くなった被害者の思い、付随する絶望や希望が丁寧に描かれていたのも特徴的。特殊な世界に身をおくUDIラボのメンバーの普通の人と変わらない日常も描かれ、視聴者の共感や感動を誘った。清々しいだけでなく、時に苦さもあるドラマの後味に寄り添った米津玄師による主題歌「Lemon」も物語とともに深く心に刻まれることに。

BBSでは「見終わった後は必ず考えさせられていました」「心に刺さるドラマ」「明るい内容じゃないのに、不思議と元気をもらえる」「ハッピーエンドばっかりじゃなくて、人間くささのある展開が大好き」「脚本家・演出家・出演者すべてが素晴らしい」と称賛の声が続出。改めて、この制作陣とキャストだからこそ成しえた唯一無二の世界観に、圧倒させられずにはいられない。


TBS金曜ドラマ『アンナチュラル』

ライター:小松加奈
ライター/編集者。音楽・映画・ドラマ・アニメなどのエンタメ系を中心にインタビュー/レビュー/コラム記事などを手掛ける。

※記事内の情報は執筆時点の情報です