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「さすがヒロアカ」「差別問題が生々しくてリアル」メインキャラクター以外を描く回にSNSで大きな反響

  • 2024.9.6
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(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会

最終決戦が繰り広げられている現在放送中のTVアニメ『僕のヒーローアカデミア』第7期。死柄木弔(しがらきとむら)と緑谷出久(みどりやいずく)の死闘以外にもいくつものバトルが並行して展開しており、第152話ではヴィラン勢力であるスピナーと15000人の一般人が黒霧(くろぎり)奪還のためにセントラル病院に突撃する場面が描かれた。

異形系の個性を持ったヒーローとヴィランの戦い

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(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会

スピナーたちに応戦するのは、雄英高校ヒーロー科1年A組の仲間である障子目蔵(しょうじめぞう)と口田甲司(こうだこうじ)を含んだ200人ほどのヒーローと警官隊。数で圧倒的に不利なヒーロー側は劣勢の状況だ。

ヴィラン勢力と障子には、異形系の個性を持っているという共通点があった。特殊な姿をした一般人は迫害を受けており、スピナーを“代弁者”と崇めヒーローに怒りを爆発させていたのだ。その力は凄まじく、怒声や罵声がそこら中から飛び交う。障子と口田は必死に説得を試みるものの難航。

暴動のなかで、障子が着けていたマスクが取れて口元の大きな傷があらわになる。それは昔、暴力によってつけられた傷だった。過去に障子は川で溺れていた少女を助けたが、異形の姿によって忌み嫌われていた彼は大人たちに感謝されるどころか暴行を受ける。田舎では異形系の個性を持つ人に対する差別がひどかったのだ。

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(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会

ただ、障子にとって少女を助けた記憶は大切な思い出でもあった。彼がヒーローを目指す原点だったからだ。つらく重い過去を抱えながらも懸命に戦う障子に対してSNSでは「好きになってしまう」「心意気がイケメン」「未来永劫幸せになるべき」「あんたがヒーローだよおおお」と絶賛し応援する声であふれた。

いくつもの手をひとつに固めて攻撃を繰り出そうとする障子に、スピナーは「きもっ!」とあざ笑う。しかし、障子は「ああ、これが俺だ!」とひるむ様子はまったくない。自らの個性に誇りを持っている障子がとてもカッコよく見える。

見た目で悪く言われることの多い自身の個性を、障子は憎んだこともあっただろう。だが、少女を助けた原点ともいうべき経験のおかげで彼は己の個性を肯定できているのだ。障子の手と触手がなければ、溺れる少女を救えなかったのだから。

個性を持つ者の葛藤を描く『ヒロアカ』

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(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会

異形系の個性だけではなく、普通とは違う個性に悩み苦しむ者がいる。たとえばトガヒミコは他人の血を吸ってその人物に変身するという「変身」の個性を持っており、その特殊な個性によって両親からひどく嫌われていた。

憧れ称賛されるような個性もあれば、差別を受けて嫌われる個性もある。個性の発現が当たり前の世界の光と闇を描くのが『ヒロアカ』の特徴であり、ヴィランであったとしても私たちが共感できる理由なのだろう。

セントラル病院前で対立する敵と味方には、どちらも異形系の個性を持つ者が存在する。彼らは同じく迫害を受けた者同士。一般人たちは煽りたてるヴィランによってヒーローに怒りをぶつけ続けているが、これまでに障子や口田の叫びに揺れる描写があった。なにかのきっかけで変化が起きる可能性は十分にある。

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(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会

第152話についてSNSでは「ウルっときた」「差別問題が生々しくてリアル、似たようなことは現実にもありそう」「メインキャラクター以外にもスポットが当たるのいい」「王道展開の次にこのエピソードを持ってくるのさすがヒロアカ」と大きな反響が。

暴走したスピナーがセントラル病院に到着し、黒霧が奪還される危機に追いやられたヒーローたち。障子と口田の声は一般人たちに、そしてスピナーに届くのだろうか。

僕のヒーローアカデミア
ABEMAにて毎週土曜22時より無料放送。
放送後1週間、最新話を無料で視聴できる。
[番組URL]https://abema.tv/video/title/19-15
【(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会】


ライター:まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムや映画の作品評、マンガのレビューを手がける。X:@kaku_magari