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社会現象を巻き起こした『Mother』『カルテット』を手がけた“大人気脚本家”の新作!忘れられない作品に…?

  • 2025.2.7

2025年2月7日公開の松たか子主演映画『ファーストキス  1ST KISS』。夫を亡くした主人公が、彼と出会う直前にタイムトラベルし、過去を変えることで、夫が生きている未来にしようと試みるファンタジックなラブストーリー。脚本は『花束みたいな恋をした』の坂元裕二、監督は『ラストマイル』の塚原あゆ子。最強のコンビが手掛ける感動作だ。

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(C)2025「1ST KISS」製作委員会

『ファーストキス  1ST KISS』のあらすじ

硯カンナ(松たか子)と駈(松村北斗)は、結婚して15年の夫婦。いつしか夫婦生活はすれ違っていき、離婚話も出る中、駈は事故で亡くなってしまう。思ってもいなかった突然の別れに、カンナは呆然となる。

ところが、車で移動中、駈と初めて出会った15年前の夏にタイムトラベルしてしまったカンナは、若き日の駈を見て、「やっぱり私はこの人が好きだ」と感じ、再び恋に落ちる。

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(C)2025「1ST KISS」製作委員会

時間を行き来しながら、20代の駈と気持ちを重ね合わせていく40代のカンナは、事故死してしまう彼の未来を変えたいと思うようになり、あれこれと試してみるが、自分と結婚しないことが駈を救える唯一の方法だと気づく……。

国内外で人気を不動のものにした脚本家

1989年、『同・級・生』で連続ドラマの脚本家デビューを飾った坂元。柴門ふみの同名漫画の実写化で、安田成美、緒形直人、菊池桃子、石田純一、山口智子らが出演しており、“トレンディドラマ”と呼ばれるヒット作となった。連ドラデビュー作から、坂元の脚本作を観てきた筆者は、『東京ラブストーリー』や『二十歳の約束』も夢中で観たことを覚えている。

数々のドラマを手掛ける中、坂元による完全オリジナルストーリーの『Mother』は圧巻で、社会現象を巻き起こすほどの大ヒットとなり、トルコやフランス、韓国、ウクライナ、タイ、中国などでリメイクされた。ちなみに、筆者が最も好きな坂元作品は『Mother』だ。

『Mother』に続いて、『Woman』『anone』と、坂元はオリジナル脚本シリーズのドラマを手掛け、現代を生きる女性たちの懸命な姿を綴って、多くの視聴者から共感を得た。さらに、『最高の離婚』や『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』などの群像ラブストーリーも送り出し、ファンを増やし続けた坂元。

映画では、『花束みたいな恋をした』でオリジナルの脚本を書き下ろし、大ヒットを記録。菅田将暉と有村架純のW主演で、普遍的な若者の恋愛模様を描出し、世代を問わず共感を呼んだ。そして、『怪物』では日本映画初となるカンヌ国際映画祭脚本賞を受賞し、国内外問わず人気脚本家の座を不動のものにした。

坂元裕二と松たか子の黄金タッグ

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(C)2025「1ST KISS」製作委員会

世界の第一線で活躍し続ける坂元の最新オリジナル脚本作『ファーストキス  1ST KISS』で、主演を務めている松は、ドラマ『カルテット』や『大豆田とわ子と三人の元夫』でも坂元とタッグを組み、両作とも大ヒットさせた。今回の映画でも、坂元の書くカンナの愛らしさが伝わってきて、彼女を演じる松の魅力が前面に押し出されている。

松と松村は年齢差があるが、それを感じさせないラブストーリーが坂元によって紡ぎ出され、タイムトラベルによる先読みできない展開で、ラストには大きな感動が待ち受ける。

精力的な活動で大人気の監督

人気脚本家の坂元に負けないほど、2010年代頃からヒットを飛ばし続け、注目を集めている最強クリエイターの塚原が、本作で監督を務めている。塚原は数々の作品で助監督(演出補)を担当した後、2005年のドラマ『夢で逢いましょう』で監督デビュー。プロデューサー業も並行して行いつつ、湊かなえ原作の『夜行観覧車』『Nのために』『リバース』が高い評価を受け、誰もが知る監督となった。

そして、『アンナチュラル』『MIU404』が爆発的ヒットを記録し、両作のシェアード・ユニバース(共有された世界観)映画として製作された監督作『ラストマイル』がロングランヒットとなったことは記憶に新しい。ドラマ『グランメゾン東京』から、続編となる『映画 グランメゾン★パリ』も誕生し、塚原の精力的な監督業も話題を呼んでいる。

そのほか、『重版出来!』『最愛』『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』や、日曜劇場『下剋上球児』『海に眠るダイヤモンド』などでも活躍し、映画も『コーヒーが冷めないうちに』『わたしの幸せな結婚』を監督。『コーヒーが冷めないうちに』にはファンタジーテイストがあるし、『わたしの幸せな結婚』で描かれるファンタジー・ラブストーリーも大好きなので、『ファーストキス  1ST KISS』のタイムトラベルというファンタジー要素も大いに楽しめた。

坂元・塚原・松・松村の素晴らしい四重奏

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(C)2025「1ST KISS」製作委員会

坂元も塚原も、ファンが非常に多いヒットメーカーで、今回2人が脚本と監督を務める『ファーストキス  1ST KISS』は、実力派の人気俳優である松と松村が共演し、共感ポイントも多く、とても面白い映画となっている。追ってレビューも執筆し、より詳しく魅力をお伝えしたいと思うが、坂元、塚原、松、松村の作り出す空間に没入し、ぜひ4人による素晴らしい“カルテット”をたっぷりと味わってほしい。忘れられない作品になること請け合いだ。



『ファーストキス  1ST KISS』2025年2月7日(金)全国東宝系にてロードショー
出演:松たか子、松村北斗、吉岡里帆、森七菜、リリー・フランキー ほか
脚本:坂元裕二
監督:塚原あゆ子
配給:東宝
公式サイト:https://1stkiss-movie.toho.co.jp/
(C)2025『1ST KISS』製作委員会

ライター:清水久美子(Kumiko Shimizu)
海外ドラマ・映画・音楽について取材・執筆。日本のドラマ・韓国ドラマも守備範囲。朝ドラは長年見続けています。声優をリスペクトしており、吹替やアニメ作品もできる限りチェック。特撮出身俳優のその後を見守り、松坂桃李さんはデビュー時に取材して以来、応援し続けています。
X(旧Twitter):@KumikoShimizuWP