同じ数×同じ数の形をした掛け算は「二乗」と呼びます。
2×2は2の二乗、3×3は3の二乗です。
二乗は数が大きくなるほど答えが出しにくくなりますが、ある方法を用いると計算が簡略化できます。
今回の問題で、その方法を確認してみましょう。
問題
次の計算を暗算でしなさい。
29×29
解答
正解は、「841」です。
この問題、ある方法を使うと暗算でも計算可能です。
次の「ポイント」で簡単に出来る計算方法を確認してみましょう。
ポイント
この問題のポイントは、「乗法公式の利用」です。
乗法公式とは式を展開するときに使う式です。
いくつかの種類がありますが、今回使うのは次の式です。
(x+a)(x−a)=x^2−a^2
左辺と右辺がどうして一緒になるのか分からない人は、次の式展開過程を確認してください。
(x+a)(x−a)
=x(x−a)+a(x−a)←(x−a)をひとかたまりにして分配法則を使う
=x^2−ax+ax−a^2
=x^2−a^2
この公式を少し変形すると、次のようにx^2(x掛けるx)を求める式に変形できます。
x^2−a^2=(x+a)(x−a)←左右を入れ替え
x^2−a^2+a^2=(x+a)(x−a)+a^2←左辺から-a^2を消すため両辺に+a^2する
x^2=(x+a)(x−a)+a^2
今回は29の二乗を求めたいので、x=29とすると、29^2=(29+a)(29−a)+a^2となります。
ここで、(29+a)に注目です。
aに1を入れれば、29+1=30というきりの良い数字が登場するので、計算が全体的に楽になります。
それでは、a=1としたときの29^2(29×29)の式と計算過程を見てみましょう。
29^2
=(29+1)(29−1)+1^2
=30×28+1
=840+1
=841
筆算で解くよりもシンプルな計算で答えが出せたのではないでしょうか。
まとめ
今回の問題では、二乗の計算を楽にする方法を紹介しました。
二乗する数がきりの良い数字になるように変形してから計算すると、式がかなり単純になることを実感できたのではないでしょうか。
なおここで紹介した方法は、インド式数学の手法の一種です。
インド式数学に興味が出てきたという人は、ぜひ別の問題にも挑戦してみてください。
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
二桁の数どうしの掛け算にもう一問挑戦!