身の回りには、電卓や表計算ソフトなどの便利なツールがあふれています。
計算ミスなく答えを出す必要がある場面では、これらのツールは非常に重宝します。
しかし、あまり頼りすぎると計算能力が低下してしまうかもしれません。
時には、頭の体操を兼ねて自分で計算してみるのはいかがでしょうか。
今回は、小数と負の数が混ざった少しレベルの高い問題に挑戦してみましょう。
問題
次の計算をしてください。
3.3+2.1÷(−0.7)
あなたは正しく計算できるでしょうか?
解答
正解は、「0.3」です。
小数の計算は算数、負の数の計算は数学で習ったはずですが、はたして覚えていたでしょうか?
もし知識に不安がある人は、次の「ポイント」で計算の仕方を確認してみてください。
ポイント
この問題では、次の四つのポイントが正解へのカギになります。
1.計算の順序
2.小数の割り算
3.負の数の割り算
4.負の数の足し算
順に確認していきましょう。
第一のポイント:計算の順序
この問題は足し算から始まっていますが、足し算から先に計算すると最終的に割り切れなくなってしまいます。
「計算は、足し算・引き算よりも掛け算・割り算からする」という計算の優先順序を押さえておくこと、これが第一のポイントになります。
この問題では、まず2.1÷(−0.7)から計算を始めます。
3.3+2.1÷(−0.7)
第二のポイント:小数の割り算
2.1÷(−0.7)は小数の割り算です。
小数の割り算の計算ルールは、「割る数が整数になるまで10を掛けてから割り算すること」です。
ただし、割る数のみ10を掛けてしまっては、式の意味が変わってしまいます。
2.1÷(−0.7)≠2.1÷(−7)←割る数のみ10を掛けた
そこで、割られる数も割る数と同じだけ整数になるまで10を掛けます。
そうすると、割り算の意味を変えずに形だけ変えることができるのです。
2.1÷(−0.7)=21÷(−7)←割られる数と割る数、どちらにも10を掛けた(×10した)
どうしてこうなるのかは、割り算を分数の形で表現すると分かります。
割り算は、割られる数/割る数という分数の形でも表せます。
2.1÷(−0.7)=2.1/−0.7
分数は分子、分母に同じ数を掛けても表現している数字は変わらないという性質がありました。
よって分子の割られる数、分母の割る数ともに10をかけても割り算の結果に変化はありません。
次の式を見て、割られる数、割る数に10を掛けても割り算の意味が変わらないことを確認してみましょう。
2.1÷(−0.7)
=2.1/−0.7
=(2.1×10)/(−0.7×10)←分子と分母に10を掛けて桁上げする
=21/−7
=21÷(−7)
第三のポイント:負の数の割り算
次に、21÷(−7)の計算の仕方を確認しましょう。
21÷(−7)は負の数の混じった割り算です。
負の数の割り算を計算するときは、次のルールに従います。
・同符号どうしの割り算→答えは正の数
14÷7=2
−14÷(−7)=2
・異符号どうしの割り算→答えは負の数
−14÷7=−2
14÷(−7)=−2
今回は、割られる数が正の数、割る数が負の数で異符号どうしの割り算なので、答えは負の数になります。
21÷(−7)=−3
第四のポイント:負の数の足し算
ここまでの計算で、式は次のようになっています。
3.3+2.1÷(−0.7)
=3.3+(−3)
最後に負の数の足し算が現れました。
負の数の足し算は、引き算として扱うのがルールです。
では、最後の計算をしてみましょう。
3.3+(−3)
=3.3−3
=0.3
答えが出ましたね。
まとめ
今回の問題は、小数と負の数の計算ルールをしっかりと思い出せたかどうかがカギになりました。
また計算の優先順位を間違えないことも大事です。
計算式は一つでも、必要な知識はいくつもあるのですね。
他の問題にも挑戦して、知識の幅を広げてみてはどうでしょうか。
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
小数と負の数が混ざった計算にもう一問挑戦!