多くの場合、桁数の多い割り算は筆算を使わないとなかなか答えが出せません。
しかし、一見難しそうな割り算でも、計算の工夫をすれば暗算で計算することができる場合があります。
今回の問題もその一つ。あなたは暗算で四桁の割り算ができるでしょうか?
問題
次の計算問題を暗算してください。
1212÷25
解答
正解は、「48.48」です。
筆算を使えばもちろん答えは出ますが、その計算過程は長く、途中でうんざりしてしまうかもしれません。
しかし、「ある工夫」をすると暗算でスピーディーに答えを求めることが可能になります。
では、その工夫とは?
次の「ポイント」で確認してみましょう。
ポイント
この問題を計算するポイントは、÷25に注目することです。
「25×4=100」という点が大きなカギになります。
ここで、改めて問題を見てみましょう。
1212÷25
この÷25が÷100だったとしたら、計算がとても楽になると思いませんか?
÷100は割られる数の桁を二桁下げます。小数点の位置を左に二桁分ずらすと言い換えることもできます。割られる数の小数点の位置を移動すればよいだけなので、÷100はとても簡単な計算なのです。
しかし、勝手に÷25を4倍して÷100にすることはできません。1212÷25と1212÷100では二つの式の意味は全く違うからです。
1212÷25≠1212÷100
そこで、割られる数1212の方も4倍してみます。すると、もとの式と変形後の式の意味は全く同じになるのです。
1212÷25=(1212×4)÷(25×4)=4848÷100
÷100の形が出てきましたので、4848の桁を二つ下げた(小数点を左に二桁分ずらした)48.48が答えだとすぐ分かります。
1212を25でそのまま割るのは暗算では無理かもしれませんが、1212を4倍して二桁下げるのは簡単ですね。
×4しても式の意味が変わらない理由
では、なぜ割られる数と割る数を4倍しても式の意味が変わらないのでしょうか。
これは、割り算を分数としてとらえると理解しやすくなります。
割り算は、割られる数/割る数の分数で表現できます。1212÷25は1212/25です。
分数には、分子と分母の両方に同じ数を掛けても表現している数が変わらないという特徴があります。そのため、分子の1212にも分母の25にも4を掛けるなら、分数の形はもとの1212/25と変わりません。
これは、割られる数、割る数の両方に4を掛けても割り算の意味が変わらない、ということにもなります。
まとめると、頭の中で以下のような計算過程を考えればこの問題は暗算できるということになります。
1212÷25
=1212/25
=(1212×4)/(25×4)←分子と分母両方に×4
=(1212×4)÷(25×4)
=4848÷100
=48.48
まとめ
今回の問題はいかがだったでしょうか。
25という数字は計算を工夫するうえで、かなり重要なカギになります。
問題に25が出てきたら×4して100にし、計算が楽にならないかどうか考えてみるといいですよ。
工夫一つで計算がぐっと楽になる問題は他にもたくさんあります。ぜひいろいろな問題に挑戦してみてください。
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
監修:株式会社かえでプロダクション(公式HP)
「編集技術で過去と未来をつなぐ」小学生・中学生・高校生の学習用教材を執筆・編集・校正する編集専門のプロダクション。英語・算数/数学・国語・理科・社会の主要5科目のテキストやドリル、テストや模試、デジタル系の教材など幅広く制作。教材からできる教育を目指し、教育業界を支える会社。会社独自の福利厚生が充実しており、社員が働きやすい環境を整え、新しい働き方で第三者機関から認定を受けている。
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